3Dプリンタ・キットを・・・(その2: ESP8266+Blynkで遠隔操作)
3Dプリンタを使って戦車もどきのシャーシーが組み立ったので、動作させてみることにしました。
色々とNet情報を調べてみると、ESP8266マイコンでWifiに接続し、スマホソフトのBlynkで外部からコントロールするというのが流行っているようです。
早速組み立ててみました(といっても部品購入やら調査やらで実際には構想してから1か月以上経過しています)

上に見えているのがESP8266 D1 mini という Wifi を抱えたマイコンです。
ESP8266 Arduino CoreとしてArduino IDE でプログラミング可能です。Arduino CoreはGitHub からリリースされている
真ん中にあるのがL9110というモータードライブICを2個搭載した基板で、FA130モーターを駆動させます。
電池は3.7Vのリチウムイオン電池を2個使い、1個はESP8266の5V電源端子に、もう1個はモータードライブ基板にそれぞれ単独に接続しています。

最初試した時にESP8266を基板に平らに付けたのだが、Wifi電波受信が悪いようなのでアンテナが縦になるように直角に搭載しました。大分違うようです。

配線を横から見たところです。
電源スイッチは基板の底に付いてます。USB端子もそこから差し込めるように配置しました。
Arduino IDE を使って ESP8266 に書き込むスケッチは以下の内容で、非常にシンプルです。
auth[] 欄にはProject を Blynk に登録すると メールアドレスに送って来るキーを入力します。
ssid[] は Wifi ルーター等のssid を、pass[] にはそのパスワードを入力します。
ESP8266を搭載した WEMOD D1 のスペックです(Upload Speed は 115200 で動作します)
Android スマホでコントロールするBlynk は、Playストアからダウンロードし、ユーザー登録すれば(メルアド、パスワード)使えます。詳細はこちらやこちらで詳しく解説されていますので参考にしてください。
私の場合、4個のボタンで進む方向をコントロールさせるのですが、右上で右前旋回、左上で左前旋回、後ろは同様です。2つのボタンを同時に押せば、前進・後退、右進地旋回・左進地旋回ができます。
画面にボタンを4個置きます。
各々のボタンは、それをクリックして下図の画面で設定します。
押したときだけ動作させるので、PUSH設定です。
GPIOの機能とピン番号を各々のボタンに割り付けます。
ESP8266 Wemos D1 のピン名称とピン番号の対応は以下のようです。
ピン名称(印刷表示) → GPIOピン番号
TX GPIO1
RX GPIO3
D0 GPIO16
D1 GPIO5
D2 GPIO4
D3 GPIO0
D4 GPIO2
D5 GPIO14
D6 GPIO12
D7 GPIO13
D8 GPIO15
今回はGPIO0、2、3,4を使っています。
走行風景

片手操作のため旋回しか表示されていませんが、前進・後進・進地旋回が問題無く操作できます。
裸のシャシーでは感じが出ないですね。カバー等も作ってみましょう
(その3に続く予定)
色々とNet情報を調べてみると、ESP8266マイコンでWifiに接続し、スマホソフトのBlynkで外部からコントロールするというのが流行っているようです。
早速組み立ててみました(といっても部品購入やら調査やらで実際には構想してから1か月以上経過しています)

上に見えているのがESP8266 D1 mini という Wifi を抱えたマイコンです。
ESP8266 Arduino CoreとしてArduino IDE でプログラミング可能です。Arduino CoreはGitHub からリリースされている
真ん中にあるのがL9110というモータードライブICを2個搭載した基板で、FA130モーターを駆動させます。
電池は3.7Vのリチウムイオン電池を2個使い、1個はESP8266の5V電源端子に、もう1個はモータードライブ基板にそれぞれ単独に接続しています。

最初試した時にESP8266を基板に平らに付けたのだが、Wifi電波受信が悪いようなのでアンテナが縦になるように直角に搭載しました。大分違うようです。

配線を横から見たところです。

電源スイッチは基板の底に付いてます。USB端子もそこから差し込めるように配置しました。
Arduino IDE を使って ESP8266 に書き込むスケッチは以下の内容で、非常にシンプルです。

auth[] 欄にはProject を Blynk に登録すると メールアドレスに送って来るキーを入力します。
ssid[] は Wifi ルーター等のssid を、pass[] にはそのパスワードを入力します。

ESP8266を搭載した WEMOD D1 のスペックです(Upload Speed は 115200 で動作します)
Android スマホでコントロールするBlynk は、Playストアからダウンロードし、ユーザー登録すれば(メルアド、パスワード)使えます。詳細はこちらやこちらで詳しく解説されていますので参考にしてください。

私の場合、4個のボタンで進む方向をコントロールさせるのですが、右上で右前旋回、左上で左前旋回、後ろは同様です。2つのボタンを同時に押せば、前進・後退、右進地旋回・左進地旋回ができます。

画面にボタンを4個置きます。

各々のボタンは、それをクリックして下図の画面で設定します。

押したときだけ動作させるので、PUSH設定です。

GPIOの機能とピン番号を各々のボタンに割り付けます。
ESP8266 Wemos D1 のピン名称とピン番号の対応は以下のようです。
ピン名称(印刷表示) → GPIOピン番号
TX GPIO1
RX GPIO3
D0 GPIO16
D1 GPIO5
D2 GPIO4
D3 GPIO0
D4 GPIO2
D5 GPIO14
D6 GPIO12
D7 GPIO13
D8 GPIO15
今回はGPIO0、2、3,4を使っています。
走行風景

片手操作のため旋回しか表示されていませんが、前進・後進・進地旋回が問題無く操作できます。
裸のシャシーでは感じが出ないですね。カバー等も作ってみましょう
(その3に続く予定)
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3Dプリンタ・キットを使ってみました(その1)
Amazonでの買い物ついでに3Dプリンタ・キットを見てみたら、かなりお安いのもが出回っております。
ひところは安いものでも10万円近かったので、とても遊んでみるレベルではなかったのですが、何とこちらは2万円ちょっとで買えます。
ついポチっとやってしまいました。
組立は懇切丁寧なビデオも付いており(Youtubeにもあった)とても簡単でした。
使ってみて気が付いたことは以下の2点です。
・Y軸(向かって前後方向)は固定長ネジ2本とスライドシャフト2本だけなので上下方向の剛性がありません。平らな台に置き動かないようしておかないと、上下Z軸のゼロ位置が動きます。ここは0.1mmクリアランスでベッドとノズル間の調整を行うところなので重要です。手前のステーをセロハンテープで台に固定しました。
・おまけで添付されているPLA材が劣化しているのか、脆くて折れやすい。購入品に交換しました。
さて何を作ってみようかと考えたのが、巷に公開されているパーツデータです。
Youtubeで公開されています。

先のZ軸のゼロ点ズレの問題が当初判らず何個か失敗しましたが、まずまずの完成です。
Arduinoのソフトも公開されていますので簡単に作れました。
何よりも驚いたのはかなり細かな部分も綺麗に造形されていることです。1mm程度の穴も綺麗です。
こうなると自分で3D設計して何かを作ってみたくなります。
Netを徘徊していて出合ったのが、金属を使わずに組み立てられるキャタピラを作っている方のデータでした。
作って組み合わせてみるととても良く設計されています。苦労された成果ですね。
沢山作るには1個ずつ作るには手間がかかり過ぎます。15個並べて3DプリンタのGCODEを生成しました。
次にやっと自分で設計するキャタピラ駆動輪です。
第一号失敗作が右の車です。キャタピラに引っかかる部分が短すぎて空転します。
ということでCADを使って再設計です。
左が駆動輪なのでシャフト穴は六角です。右が従輪です。
これを3D CAD (Autodesk の Fusion360) で設計するとこんな絵になりました。
と書くと、いとも簡単に設計ができたイメージですが、Fusin360の操作方法を覚えるには何度も何度もYoutubeの動画等を参考にして、やっとことで作図ができるようになりました。
でもこのままではベースから浮いた部分があるので、サポート部材を付けねばなりませんが、ソフトの進化は素晴らしいものでMeshmixerというソフトを使えば自動で最適なサポートを付けてくれます。
下の方からキノコが伸びたようなサポートが付いています。
3Dプリンタで整形中です。
完成しました。手ではぎ取ればサポートは簡単に取れます。
本体に接続している部分か0.2φ程度しか無いからです。
動輪と従輪ができたので次のステップはキャタピラを使った車両の製作です。
CADで戦車のような車体を設計しました。
6mmピッチのキャタピラを左右各々51個ずつ使います。
駆動に使うのはTAMIYA のダブルギアボックス(左右独立4速タイプ)です。RA130モーターが2個付いてます。
シャシーです。
これは6mmの厚さで140mmと長いので、普通の部品を作るGCODE作成ツール(Cura 15.04を使用)の条件では強度が保てないことが判りました。密な表面の厚さを0.4mmから0.8mmにすることでまずまずの強度になりました。
車軸を止めるパーツです。
GCODEを生成させる場合は平らな部分を下にします。
長穴部分の上側を成型するときは、何もない中空に溶けたPLA材を糸引くように繋げるのですが、欠落せずに形状ができました。10mm程度の距離ならば繋がるようです。
参考までに内部はポーラス構造です。
GCODEを生成させるツールが自動で作ってくれます。
組み立てました。
オレンジ色に見える部品は柔らかいプラスチックでできたシャフトエンドで、3Dプリンタで作った物ではありません。
さてここまでできました。まだ裸シャーシ状態ですが魚後貸すことをやってみましょう。
上に電池やマイコン機器が載ってます。
(その2に続く)
ひところは安いものでも10万円近かったので、とても遊んでみるレベルではなかったのですが、何とこちらは2万円ちょっとで買えます。
ついポチっとやってしまいました。
組立は懇切丁寧なビデオも付いており(Youtubeにもあった)とても簡単でした。
使ってみて気が付いたことは以下の2点です。
・Y軸(向かって前後方向)は固定長ネジ2本とスライドシャフト2本だけなので上下方向の剛性がありません。平らな台に置き動かないようしておかないと、上下Z軸のゼロ位置が動きます。ここは0.1mmクリアランスでベッドとノズル間の調整を行うところなので重要です。手前のステーをセロハンテープで台に固定しました。
・おまけで添付されているPLA材が劣化しているのか、脆くて折れやすい。購入品に交換しました。
さて何を作ってみようかと考えたのが、巷に公開されているパーツデータです。
Youtubeで公開されています。


先のZ軸のゼロ点ズレの問題が当初判らず何個か失敗しましたが、まずまずの完成です。
Arduinoのソフトも公開されていますので簡単に作れました。
何よりも驚いたのはかなり細かな部分も綺麗に造形されていることです。1mm程度の穴も綺麗です。
こうなると自分で3D設計して何かを作ってみたくなります。
Netを徘徊していて出合ったのが、金属を使わずに組み立てられるキャタピラを作っている方のデータでした。

作って組み合わせてみるととても良く設計されています。苦労された成果ですね。

沢山作るには1個ずつ作るには手間がかかり過ぎます。15個並べて3DプリンタのGCODEを生成しました。
次にやっと自分で設計するキャタピラ駆動輪です。

第一号失敗作が右の車です。キャタピラに引っかかる部分が短すぎて空転します。
ということでCADを使って再設計です。

左が駆動輪なのでシャフト穴は六角です。右が従輪です。

これを3D CAD (Autodesk の Fusion360) で設計するとこんな絵になりました。
と書くと、いとも簡単に設計ができたイメージですが、Fusin360の操作方法を覚えるには何度も何度もYoutubeの動画等を参考にして、やっとことで作図ができるようになりました。
でもこのままではベースから浮いた部分があるので、サポート部材を付けねばなりませんが、ソフトの進化は素晴らしいものでMeshmixerというソフトを使えば自動で最適なサポートを付けてくれます。

下の方からキノコが伸びたようなサポートが付いています。

3Dプリンタで整形中です。

完成しました。手ではぎ取ればサポートは簡単に取れます。
本体に接続している部分か0.2φ程度しか無いからです。
動輪と従輪ができたので次のステップはキャタピラを使った車両の製作です。

CADで戦車のような車体を設計しました。
6mmピッチのキャタピラを左右各々51個ずつ使います。
駆動に使うのはTAMIYA のダブルギアボックス(左右独立4速タイプ)です。RA130モーターが2個付いてます。
シャシーです。
これは6mmの厚さで140mmと長いので、普通の部品を作るGCODE作成ツール(Cura 15.04を使用)の条件では強度が保てないことが判りました。密な表面の厚さを0.4mmから0.8mmにすることでまずまずの強度になりました。


車軸を止めるパーツです。

GCODEを生成させる場合は平らな部分を下にします。
長穴部分の上側を成型するときは、何もない中空に溶けたPLA材を糸引くように繋げるのですが、欠落せずに形状ができました。10mm程度の距離ならば繋がるようです。

参考までに内部はポーラス構造です。
GCODEを生成させるツールが自動で作ってくれます。

組み立てました。

オレンジ色に見える部品は柔らかいプラスチックでできたシャフトエンドで、3Dプリンタで作った物ではありません。
さてここまでできました。まだ裸シャーシ状態ですが魚後貸すことをやってみましょう。
上に電池やマイコン機器が載ってます。
(その2に続く)
ぺるけ式バランス型HPAとTDA1552Qパワーアンプの製作
最近、幼馴染の同郷の友人とLINEで会話したのだが、ひょんなことから音楽が話題になった。
私がヘッドホンアンプを多々作って楽しんでいると話したら、ヘッドホンは使ったことが無いと言う。
・・・色々と話した結果、私のコンパクト型バランス型ヘッドホンアンプとヘッドホンをセットで使ってもらったところ、「これはすごい」との評で、本格的にバランス型ヘッドホンを使ってみたいとの話になった。
結果として作ったアンプがこれです。
【ぺるけ式バランス型ヘッドホンアンプ + TDA1552Q スピーカーアンプ】
右側に見えるのが、ぺるけ式バランス型ヘッドホンアンプの自作基板型です。
この基板は2013年に設計・製作して、こちらの記事に掲載したもののリメイクです。
ぺるけさんの「ヘッドホンアンプを作ろう」ページにも作例として紹介頂きました。
この基板はオリジナルの12V電源時のものですが、最近は15V化されているので、その記事を参考に電源を15Vにして負電圧を-1.5Vから-2.3Vにし(ダイオードを2個から3個)、終段負荷抵抗を8.1Ωから4.7Ωに変更しています。
(ぺるけさんオリジナル設計とは違うところが他にもあります。私の回路は真似しないでください)
「こんな内容とプロセスで作りました」と友人に伝えたい理由もあり、手順を記載します。
【バランス型ヘッドホンアンプの回路図】
これは電源部を搭載した右チャンネル分です。下側だけの左チャンネルもあります。
電源部のダイオードが2個ですが、実回路では3個に直列にしてます。
【同上基板図】
【基板完成】
【抵抗を付けます】
背の低い抵抗、負電圧用ダイオード(この図はまだ2個)、ジャンパー線を付けます。
【トランジスタを付けます】
手前から、定電流用NPNトランジスタ 2SC1815GR が2個、差動増幅用FET 2SK170BL が2個、ダイヤモンドバッファ初段のトランジスタ NPN 2SC1815BR と PNP 2SA1015BR 2セット、終段増幅のトランジスタ NPN 2SC3421Y、PNP 2SA1358Y です。
【2SK170BL のペア選別】
初段差動増幅のFET 2SK170BL のペア選別が最も重要です。
ぺるけさんの選別基準に従って、Vgsが±6mV以内のものを選びます。(実際は5mV範囲内で選んだ)
【2SC1815GR/2SA1015GR の選別】
自作の電流増幅率 hFE 測定器を使って、hFEが ±5 以内に収まるものを選びました。
幸いにも、hFEが260近いロットがあるのでペアが選べました。
【終段増幅 2SC3421y / 2SA1358Y】
私の在庫はこれしかありません。これでおしまいです。4個づつ計8個使いました。
・TDA1552Q アンプの製作
今回作るアンプのメインはバランス型ヘッドホンアンプであるのだが、友人が仕事をしながらBGMを聴きたいという要望があるということなので、迷わず TDA1552Q IC を使ったスピーカー・アンプをお勧めしました。
この TDA1552Q は日本国内では販売が無くなり、ebayで扱っていました。アメリカからmail便で送られてきました。
【ユニバーサル基板の配置を考えます】
JW CAD を使ってユニバーサル基板への配置を考えます。
TDA1552Q という IC の足ピッチは 1.7mm なので、汎用ユニバーサル基板の 2.54mmと会いません。
仕方が無いので変則不等間隔で差し込みました。
BTL回路の左右チャンネルで電源回路が分かれているようなので、個別に設けました。
MUTE 回路は、220uFのコンデンサに10k抵抗からの電流チャージで、MUTE起動を2,3秒遅らすものだが、ヘッドホン回路へ切り替えた際の放電のため、100kをGND間に入れてあります。
【TDA1552Q アンプの完成】
IC 放熱面を下に向けてアンプケースの底板から放熱します。
IC の端子が上向きに出ているので、基板上面での配線が多くなります。
【並べて取り付け位置を検討します】
【ケースへ部品取り付けの穴加工】
【配線して動作確認します】
フロント周りの内部配線です。
右側の2極2端子のスイッチで、スピーカーアンプとヘッドホンアンプ電源の±両方を同時に切り替えます。
これはスピーカーアンプは電源-と信号GNDが繋がっているが、一方のヘッドホンアンプは電源-は負電源-2.3Vに接続されており、ヘッドホンアンプの負電源がGNDに接続されてしまうのを防いでいるのです。
ぺるけ式バランス型ヘッドホンアンプの出音は全く文句の付けようがない、本当に素晴らしいものです。
また、TDA1552Q アンプの音を久しぶりに聴きましたが、透明感の高い音色で、その張り出しも十分に高く、目が覚めると言っても良いような素晴らしさです。繊細感も十分にあり、ヘッドホンの感覚に近さを覚えます。ピアノの残響が秀逸です。
私がヘッドホンアンプを多々作って楽しんでいると話したら、ヘッドホンは使ったことが無いと言う。
・・・色々と話した結果、私のコンパクト型バランス型ヘッドホンアンプとヘッドホンをセットで使ってもらったところ、「これはすごい」との評で、本格的にバランス型ヘッドホンを使ってみたいとの話になった。
結果として作ったアンプがこれです。
【ぺるけ式バランス型ヘッドホンアンプ + TDA1552Q スピーカーアンプ】


右側に見えるのが、ぺるけ式バランス型ヘッドホンアンプの自作基板型です。
この基板は2013年に設計・製作して、こちらの記事に掲載したもののリメイクです。
ぺるけさんの「ヘッドホンアンプを作ろう」ページにも作例として紹介頂きました。
この基板はオリジナルの12V電源時のものですが、最近は15V化されているので、その記事を参考に電源を15Vにして負電圧を-1.5Vから-2.3Vにし(ダイオードを2個から3個)、終段負荷抵抗を8.1Ωから4.7Ωに変更しています。
(ぺるけさんオリジナル設計とは違うところが他にもあります。私の回路は真似しないでください)
「こんな内容とプロセスで作りました」と友人に伝えたい理由もあり、手順を記載します。
【バランス型ヘッドホンアンプの回路図】

これは電源部を搭載した右チャンネル分です。下側だけの左チャンネルもあります。
電源部のダイオードが2個ですが、実回路では3個に直列にしてます。
【同上基板図】

【基板完成】

【抵抗を付けます】

背の低い抵抗、負電圧用ダイオード(この図はまだ2個)、ジャンパー線を付けます。
【トランジスタを付けます】

手前から、定電流用NPNトランジスタ 2SC1815GR が2個、差動増幅用FET 2SK170BL が2個、ダイヤモンドバッファ初段のトランジスタ NPN 2SC1815BR と PNP 2SA1015BR 2セット、終段増幅のトランジスタ NPN 2SC3421Y、PNP 2SA1358Y です。
【2SK170BL のペア選別】

初段差動増幅のFET 2SK170BL のペア選別が最も重要です。
ぺるけさんの選別基準に従って、Vgsが±6mV以内のものを選びます。(実際は5mV範囲内で選んだ)
【2SC1815GR/2SA1015GR の選別】

自作の電流増幅率 hFE 測定器を使って、hFEが ±5 以内に収まるものを選びました。
幸いにも、hFEが260近いロットがあるのでペアが選べました。
【終段増幅 2SC3421y / 2SA1358Y】

私の在庫はこれしかありません。これでおしまいです。4個づつ計8個使いました。
・TDA1552Q アンプの製作
今回作るアンプのメインはバランス型ヘッドホンアンプであるのだが、友人が仕事をしながらBGMを聴きたいという要望があるということなので、迷わず TDA1552Q IC を使ったスピーカー・アンプをお勧めしました。
この TDA1552Q は日本国内では販売が無くなり、ebayで扱っていました。アメリカからmail便で送られてきました。
【ユニバーサル基板の配置を考えます】

JW CAD を使ってユニバーサル基板への配置を考えます。
TDA1552Q という IC の足ピッチは 1.7mm なので、汎用ユニバーサル基板の 2.54mmと会いません。
仕方が無いので変則不等間隔で差し込みました。
BTL回路の左右チャンネルで電源回路が分かれているようなので、個別に設けました。
MUTE 回路は、220uFのコンデンサに10k抵抗からの電流チャージで、MUTE起動を2,3秒遅らすものだが、ヘッドホン回路へ切り替えた際の放電のため、100kをGND間に入れてあります。
【TDA1552Q アンプの完成】

IC 放熱面を下に向けてアンプケースの底板から放熱します。
IC の端子が上向きに出ているので、基板上面での配線が多くなります。
【並べて取り付け位置を検討します】

【ケースへ部品取り付けの穴加工】

【配線して動作確認します】

フロント周りの内部配線です。
右側の2極2端子のスイッチで、スピーカーアンプとヘッドホンアンプ電源の±両方を同時に切り替えます。
これはスピーカーアンプは電源-と信号GNDが繋がっているが、一方のヘッドホンアンプは電源-は負電源-2.3Vに接続されており、ヘッドホンアンプの負電源がGNDに接続されてしまうのを防いでいるのです。
ぺるけ式バランス型ヘッドホンアンプの出音は全く文句の付けようがない、本当に素晴らしいものです。
また、TDA1552Q アンプの音を久しぶりに聴きましたが、透明感の高い音色で、その張り出しも十分に高く、目が覚めると言っても良いような素晴らしさです。繊細感も十分にあり、ヘッドホンの感覚に近さを覚えます。ピアノの残響が秀逸です。
OLD もりあげくんのDC解消
7年前より私が作った、PHONO入力ができるDCステレオパワーアンプを使って頂いている方から連絡があった。
「もりあげくん」というMICアンプを接続してみると、10%ボリューム位から音が上がらない(消える)。
この「もりあげくん」は10年以上前に購入した物らしいが、最近また使ってみようとパワーアンプに繋いでみると問題が出たらしいです。PCに入力してヘッドフォンで使うにはOKとのことらしいです。
注釈:ここに挙げた「OLD もりあげくん」は10年以上前の製品で、以下に記載する問題は現在改善済みです。
「もりあげくん」は良く判らないので、現品をお借りしました。
この写真は、OLDもりあげくんではなく、最近売っているNEWもりあげくんです。
【基板内の構成図】かなり古いものだということは、使っている部品からも推測できます。
2つのMICからの入力を右側のMICアンプ(JRC 4558D)で増幅する。その出力をボリュームで調整する。
その出力をECHOアンプで変調をする。
これらの出力をTONEアンプで変調する。
外部からのLINE入力とミキシングした信号を終段のPOWERアンプで増幅する。
これらのAMP間はカップリング・コンデンサで接続してあります。
【1回目のチェック】
お借りした「もりあげくん」を私が愛用している、ぺるけ式FET+真空管アンプ「ミニワッター」に接続してみると、若干音色に違和感があるもののそれなりに音は出ます。
でも、何かゲインが小さいように感じたので、LINEアンプとして使って頂くようにと思い、拙作の7043D APEAMPを使ったヘッドホンアンプをお貸ししました。
でも、結果は全く同じとのこと。
【2回目のトライ】
10年以上前に購入した「もりあげくん」とのこと。
何種類かのアンプ間に使用している、カップリングコンデンサを疑いました・・・
9個のコンデンサ交換をして頂きましたが、これもまた変化なしとの連絡を頂きました。
【3回目】
これでは膠着状態ですので、「もりあげくん」を再度お借りすると共に、以前作ったDCパワーアンプも一緒にお借りしました。
動作させてみると、最初はかすかに音は出るのですが、ボリュームを少し上げると「プツン」と言って音が消えます。
・・・こんな現象は経験したことありません。何なのでしょうか? どこのAMPに問題があるのでしょうか?
・・・
色々と音の出方を確認していくと、MIC入力でも、LINE入力でも同じ現象が出ていることが判りました。
それではと、LINE入力に1000Hzの基準信号を入れ、「もりあげくん」の出力信号を計測してみました。
【もりあげくんの入力&出力信号】 青が入力、赤が出力信号です
何ということでしょうか!! 出力信号に3VものDCが載っています。
これでは私が作った、DCステレオ・パワーアンプでは動作不良になってしまいます。
もりあげくんの回路を調べてみると、「単電源OPAMP増幅」では出力にDCが載るので、最初に載せた各AMP間にはカップリング・コンデンサが入っています。
しかし、何と! 何と!「POWERアンプの出力にカップリング・コンデンサが入っていない」のです。
いやいや、これには気が付きませんでした。まさか、です。
何と、これは仕様です。
通常、楽曲アンプは外部機器に影響が無いように、出力にDCオフセット電圧を出すことは厳禁なのですが、
何故かこの機器は出力にDCオフセットが出る仕様だったようです。
(調べてみると、先に示した写真の現在販売されているもりあげくんはDCオフセット出力は無くなり、改良されています)
【現品の修正】
出力回路に電解コンデンサを入れた。
電解コンデンサの後方に電荷を開放する抵抗(1.5k)を入れた。
【改善後の出力】
結果的に問題無い出力レベルになりました。
「もりあげくん」というMICアンプを接続してみると、10%ボリューム位から音が上がらない(消える)。
この「もりあげくん」は10年以上前に購入した物らしいが、最近また使ってみようとパワーアンプに繋いでみると問題が出たらしいです。PCに入力してヘッドフォンで使うにはOKとのことらしいです。
注釈:ここに挙げた「OLD もりあげくん」は10年以上前の製品で、以下に記載する問題は現在改善済みです。
「もりあげくん」は良く判らないので、現品をお借りしました。
この写真は、OLDもりあげくんではなく、最近売っているNEWもりあげくんです。

【基板内の構成図】かなり古いものだということは、使っている部品からも推測できます。

2つのMICからの入力を右側のMICアンプ(JRC 4558D)で増幅する。その出力をボリュームで調整する。
その出力をECHOアンプで変調をする。
これらの出力をTONEアンプで変調する。
外部からのLINE入力とミキシングした信号を終段のPOWERアンプで増幅する。
これらのAMP間はカップリング・コンデンサで接続してあります。
【1回目のチェック】
お借りした「もりあげくん」を私が愛用している、ぺるけ式FET+真空管アンプ「ミニワッター」に接続してみると、若干音色に違和感があるもののそれなりに音は出ます。
でも、何かゲインが小さいように感じたので、LINEアンプとして使って頂くようにと思い、拙作の7043D APEAMPを使ったヘッドホンアンプをお貸ししました。
でも、結果は全く同じとのこと。
【2回目のトライ】
10年以上前に購入した「もりあげくん」とのこと。
何種類かのアンプ間に使用している、カップリングコンデンサを疑いました・・・
9個のコンデンサ交換をして頂きましたが、これもまた変化なしとの連絡を頂きました。
【3回目】
これでは膠着状態ですので、「もりあげくん」を再度お借りすると共に、以前作ったDCパワーアンプも一緒にお借りしました。
動作させてみると、最初はかすかに音は出るのですが、ボリュームを少し上げると「プツン」と言って音が消えます。
・・・こんな現象は経験したことありません。何なのでしょうか? どこのAMPに問題があるのでしょうか?
・・・
色々と音の出方を確認していくと、MIC入力でも、LINE入力でも同じ現象が出ていることが判りました。
それではと、LINE入力に1000Hzの基準信号を入れ、「もりあげくん」の出力信号を計測してみました。
【もりあげくんの入力&出力信号】 青が入力、赤が出力信号です

何ということでしょうか!! 出力信号に3VものDCが載っています。
これでは私が作った、DCステレオ・パワーアンプでは動作不良になってしまいます。
もりあげくんの回路を調べてみると、「単電源OPAMP増幅」では出力にDCが載るので、最初に載せた各AMP間にはカップリング・コンデンサが入っています。
しかし、何と! 何と!「POWERアンプの出力にカップリング・コンデンサが入っていない」のです。
いやいや、これには気が付きませんでした。まさか、です。
何と、これは仕様です。
通常、楽曲アンプは外部機器に影響が無いように、出力にDCオフセット電圧を出すことは厳禁なのですが、
何故かこの機器は出力にDCオフセットが出る仕様だったようです。
(調べてみると、先に示した写真の現在販売されているもりあげくんはDCオフセット出力は無くなり、改良されています)
【現品の修正】

出力回路に電解コンデンサを入れた。

電解コンデンサの後方に電荷を開放する抵抗(1.5k)を入れた。
【改善後の出力】

結果的に問題無い出力レベルになりました。
無線デジタル通信FT8のコントローラー
実は私、6年前からアマチェア無線通信を始めておりました。
と言っても、熱心に皆さんとの通信を楽しむのは程ほどで、どちらかと言えば無線通信の機材をいじくって遊ぶのが好きで、アンテナを初めとする各種機材を内製するのが楽しみです。
このアマチェア無線の世界では、最近デジタル通信が爆発的に流行っています。昔、盛んに無線会話を楽しんでいたオールド・ファンがこのデジタル通信で再開局したというような記事を良く目にします。特に最近、全世界でユーザー数が伸びているのがFT8というデジタル通信です。
このFT8の最大の魅力は、私のような50W程度しか出力が出せない無線設備やマンション・ベランダでのしょぼいアンテナでも、海外まで通信ができるという優れた通信性能を持った通信規格です。FT8の詳細に関しては、JF1RPZ・出田OMのこちらの記事を参照ください。
このFT8やそれ以前のJT65を運用する許可を取得し、一昨年の8月頃から受信はできているのですが、使っている無線機がFT-817NDの5W出力機のためか、送信しても応答頂けておりません。orz!
【FT-817と自作・通信コントローラ】
左にFT-817ND、右に自作した通信コントローラー(2作目)が見えます。
通信コントローラーはFT-817NDのACC端子、DATA端子に接続され、デジタル信号の送受、FT-817NDの周波数コントロール(CAT)を行っています。
【コントローラ基板】
上の図とは左右上下が逆ですが・・・
【FT-817NDのCATコントローラ回路図】
RigACCコネクタからの信号でCATを構成しています。
PCとは秋月のAE-UM232R、USB-シリアル変換を使って接続しています。
フォトカプラを使って異常な電位になった場合の回路保護を考慮しています。
使っているトランスはAitendoの小型トランスです。少々変則的な配線をします。
【基板図】
5か所程度のジャンパー線なので片面基板でも良かったのですが、その時の手持ちの関係で両面基板を使ってます。
【FT8通信を行っている Windows8 ノートPC画面】
FT-817NDの上側の棚にPCがあり、コントローラーからPCのMIC端子、PHONE端子(右下)に接続され、FT8デジタル信号の入出力を行っています。
画面で動作しているソフトはWSJT-X V1.9.1です。午前中なので7.074MHzにはFT8信号が入って来ません。私のアンテナ環境はマンション中階(5F)の東向きのため?、夕方以降の入感です。
(今日は全く入感がありませんね。LSBに変更して音声通信状況を聴いてもさっぱりですので、コンデション不良なのかな?)
バンバン受信があった時でも、その局(インドネシアなど南方の島々)に返信しても応答がありませんでした。FT-817NDの送信ランプが点いているので間違いなく送信している筈なのですが(アンテナからの送信信号強度や品質は未確認)、応答ありません。
そんな訳で、FT-817ND出力5Wが弱すぎるのだろうと思い、第2無線機のICOM、IC-7000M、50W に変更しようと思います。
ところが、YAESU FT-817ND と、ICOM IC-7000 では、CATコントローラに若干の違いがあるので、接続端子も含みそのままでは付けられそうもありません。
調べてみると、ICOMではCi-Vというシリアル・インターフェースを使うらしく、REMOTEという3線端子でPCと無線機を接続するらしいです。
・・・諸々調べた結果ですが、以下の結論に達しました。
1.Ci-Vインターフェースは自作してみましょう(FT-817と同様)。買ってもOKですが、あえて自作してみたいです。
2.Ci-Vインターフェースの動作確認を、これもまた自作ソフトでやってみたい。
1.Ci-Vインターフェースの自作
何から何まで自作するには時間が足りないので、先人のブログを辿りました。
参考にというかコピーさせて頂いた回路は「向島ポンポコ日記」という
無線関係の記載が多いブログで、参照させていただいたページはこちらです。
【ICOM用Ci-Vインターフェース回路】
REMOTEと書かれた端子が無線機のCi-V端子に接続されます。
デジタル信号接続のトランスは定番のST-23(2k:2k)です。
【基板図】
ユニバーサル基板を使ったので、0.1 inchのマス目と5飛びの線を引いて、交差位置に部品を置くような図にしています。こうすることで間違いない部品配置ができますが、配線はハンドです。
【作ったコントローラ】
FT817用と大きな違いはありません。REMOTEという端子が今回のポイントです。よく見るとREMOTE端子から線が2本出ているのですが、これは後述します。
2.Ci-Vコントロールの動作確認テスト
このままIC7000に接続しても良いのかもしれませんが、初めてCi-Vコントロールを試す私としては、このハードが確かに動くという確証を得たいと思いました。
そこで色々調べてみると、私が持っているID-31というICOMハンディ無線機もCi-V機能を持っていることが判ったので、これを使ってみることにしました。
ID-31のREMOTE端子はφ3.5のステレオ・プラグの中間部分(オーディオではR端子)を使っているので、もう一本端子を仮に付けました。
さて、Ci-Vコントロールソフトの汎用品(当然フリー)を探しましたが、専用製品ばかりで無さそうです。
色々とNETを彷徨った結果見つけたのがこのページです。
いや、タイトルも私の意図と全く同じ、
「一度やってみたかった!」は、全く私の思いと同じです。
詳しく見てみると、VisualStudio(Basic).NETのコードも載っています。これは至れり尽くせりです。
でも、私はVisualStdio.NETを持っておらず、昔ながらのVisual Basic 6 の環境なので、この記事を参考にCi-Vソフトを勉強しながら、作ったインタフェースが正常に動くかの検証をすることにしました。(.NETのコードファイルもテキスト形式で書かれているので、メモ帳で見ることができます)
久しぶり(多分5年ぶりくらいかな)にVisual Basic 6 のプログラミング・コードに触ります。
触っていると、段々にプログラミングの仕方を思い出します。
関数の定義を大分忘れてます。Googleさんには大変お世話になりました。
【Visual Basic 6 の開発画面】
参照させて頂いた方の画面と全く同じように描いてみました。
上が操作画面の設計状態、下がプログラムコードです。
(注:ByteRead = SerialPort1.Read(ByteData, 0, 16)という部分のコードはオリジナルのVisualStdio.NETのものなので、Visual Basic 6では動きません)
【動作している画面】
これが動いたということは、作ったCi-Vインターフェースが正常に動作しているということです。
上図は「電源ON」コマンドを送出して、ID-31の電源をONさせたところです。19200ボーで通信する場合、FEという16進コードを50個付けねばならないのでFEがたくさん並んでいます。
このソフトの機能は以下です。無線機にコードを送信して何らかの設定を行う部分だけです。無線機からデータを貰う部分はありません。(なので、Mscomm1のOnComm部分が未完成なのです)
・電源ON、OFF
・周波数変更(430.000~440.000まで0.1MHz飛び)
・Mode変更(FM,FM-N,DV)
・スケルチ変更(OPEN、AUTO、LEVEL 1 ~ 9)
・音量変更(VOL 0 ~ 39)
・送信出力変更(Hi:5W、Mid:2.5W、LOW:0.5W、SOL:0.1W)
DV関係の設定値や通信結果を取得する等、まだまだ機能追加ができるCi-V機能のようです。
私が参考にさせて頂いたページの方もプログラム・コードが見れるようになっていたので、愚作ですがVB6のプログラム・コード(Ci-V_Tool_VB6.zip)をこちらに置いておきます。尚、これを動作させるにはVB6標準環境にMicrosoft comm Controll 6.0 コンポーネントを追加させる必要があります(コードを読み込むと自動でコンポーネントがロードされるのか不明ですが・・・)
さて、ICOM、IC-7000をFT8で使うためのCi-Vインターフェースができましたが、7MHz帯のFT8の状態が芳しくありません。殆ど信号が入って来ません(FT-817NDでの受信では)
もしかするとWSJT-X は、FT8のCRC改良でこの12月から切り替わったので(V2.0)、新モードに対応したアクセスが無いのかもしれません。私もV2.0に変更しました。しばらく様子を見てみましょう。
車載状態のIC-7000無線機を取り外すのはそれからにしようかなと、迷い中です。
----------- 追記:2018/01/06 16:22 -----------
2日過ぎた日曜日の夕方4時過ぎです。FT8の7.074MHzが大分賑やかになってます。
OA4GL というペルーの局が、パイルアップ状態で呼ばれています。
このパイルアップに入って行っても敵わないので、受信を続けていると
何と、QO93 グリッド・ロケータ、カムチャッカ半島のペトロパブロフスクから電波が出てます。
早速、応答してみました。
右枠内の黄色い部分が私のコールなのですが、やはり応答ありません。残念です。
参考までに、
上の画面は、FT-817をコントロールしているWindows8のノートPC画面なのですが、大きな画像で画面左上を見て頂くと判りますが、191.168.1.15:55400 となっています。これは少し離れた自室から無線機部屋(アンテナが近くにある)のPCをリモートで操作している画面です。IC-7000の場合はRS-BA1という専用のリモートソフトを使っていたのですが、FT-817ではBrynhildrというフリーのPC-PCのコントロールソフトを使っています。(リモート操作の変更許可済み)
このソフトではPCからFT-817に出力しているデジタル音も聞こえるので、FT-817に信号が出ていることは確かです。やはり5Wでは非力なのでしょうね。
冬休みも今日でおしまいです。Ci-Vインターフェースでそこそこ遊べました。楽しかったです。
が、最終目的には至っていません。IC-7000にお出まし願いますかな。
と言っても、熱心に皆さんとの通信を楽しむのは程ほどで、どちらかと言えば無線通信の機材をいじくって遊ぶのが好きで、アンテナを初めとする各種機材を内製するのが楽しみです。
このアマチェア無線の世界では、最近デジタル通信が爆発的に流行っています。昔、盛んに無線会話を楽しんでいたオールド・ファンがこのデジタル通信で再開局したというような記事を良く目にします。特に最近、全世界でユーザー数が伸びているのがFT8というデジタル通信です。
このFT8の最大の魅力は、私のような50W程度しか出力が出せない無線設備やマンション・ベランダでのしょぼいアンテナでも、海外まで通信ができるという優れた通信性能を持った通信規格です。FT8の詳細に関しては、JF1RPZ・出田OMのこちらの記事を参照ください。
このFT8やそれ以前のJT65を運用する許可を取得し、一昨年の8月頃から受信はできているのですが、使っている無線機がFT-817NDの5W出力機のためか、送信しても応答頂けておりません。orz!
【FT-817と自作・通信コントローラ】

左にFT-817ND、右に自作した通信コントローラー(2作目)が見えます。
通信コントローラーはFT-817NDのACC端子、DATA端子に接続され、デジタル信号の送受、FT-817NDの周波数コントロール(CAT)を行っています。
【コントローラ基板】


上の図とは左右上下が逆ですが・・・
【FT-817NDのCATコントローラ回路図】

RigACCコネクタからの信号でCATを構成しています。
PCとは秋月のAE-UM232R、USB-シリアル変換を使って接続しています。
フォトカプラを使って異常な電位になった場合の回路保護を考慮しています。
使っているトランスはAitendoの小型トランスです。少々変則的な配線をします。
【基板図】

5か所程度のジャンパー線なので片面基板でも良かったのですが、その時の手持ちの関係で両面基板を使ってます。
【FT8通信を行っている Windows8 ノートPC画面】

FT-817NDの上側の棚にPCがあり、コントローラーからPCのMIC端子、PHONE端子(右下)に接続され、FT8デジタル信号の入出力を行っています。
画面で動作しているソフトはWSJT-X V1.9.1です。午前中なので7.074MHzにはFT8信号が入って来ません。私のアンテナ環境はマンション中階(5F)の東向きのため?、夕方以降の入感です。
(今日は全く入感がありませんね。LSBに変更して音声通信状況を聴いてもさっぱりですので、コンデション不良なのかな?)
バンバン受信があった時でも、その局(インドネシアなど南方の島々)に返信しても応答がありませんでした。FT-817NDの送信ランプが点いているので間違いなく送信している筈なのですが(アンテナからの送信信号強度や品質は未確認)、応答ありません。
そんな訳で、FT-817ND出力5Wが弱すぎるのだろうと思い、第2無線機のICOM、IC-7000M、50W に変更しようと思います。
ところが、YAESU FT-817ND と、ICOM IC-7000 では、CATコントローラに若干の違いがあるので、接続端子も含みそのままでは付けられそうもありません。
調べてみると、ICOMではCi-Vというシリアル・インターフェースを使うらしく、REMOTEという3線端子でPCと無線機を接続するらしいです。
・・・諸々調べた結果ですが、以下の結論に達しました。
1.Ci-Vインターフェースは自作してみましょう(FT-817と同様)。買ってもOKですが、あえて自作してみたいです。
2.Ci-Vインターフェースの動作確認を、これもまた自作ソフトでやってみたい。
1.Ci-Vインターフェースの自作
何から何まで自作するには時間が足りないので、先人のブログを辿りました。
参考にというかコピーさせて頂いた回路は「向島ポンポコ日記」という
無線関係の記載が多いブログで、参照させていただいたページはこちらです。
【ICOM用Ci-Vインターフェース回路】

REMOTEと書かれた端子が無線機のCi-V端子に接続されます。
デジタル信号接続のトランスは定番のST-23(2k:2k)です。
【基板図】

ユニバーサル基板を使ったので、0.1 inchのマス目と5飛びの線を引いて、交差位置に部品を置くような図にしています。こうすることで間違いない部品配置ができますが、配線はハンドです。
【作ったコントローラ】

FT817用と大きな違いはありません。REMOTEという端子が今回のポイントです。よく見るとREMOTE端子から線が2本出ているのですが、これは後述します。
2.Ci-Vコントロールの動作確認テスト
このままIC7000に接続しても良いのかもしれませんが、初めてCi-Vコントロールを試す私としては、このハードが確かに動くという確証を得たいと思いました。
そこで色々調べてみると、私が持っているID-31というICOMハンディ無線機もCi-V機能を持っていることが判ったので、これを使ってみることにしました。
ID-31のREMOTE端子はφ3.5のステレオ・プラグの中間部分(オーディオではR端子)を使っているので、もう一本端子を仮に付けました。
さて、Ci-Vコントロールソフトの汎用品(当然フリー)を探しましたが、専用製品ばかりで無さそうです。
色々とNETを彷徨った結果見つけたのがこのページです。
いや、タイトルも私の意図と全く同じ、
【1度やってみたかった!】 CI-Vでハンディー機をリモート制御
なのです!「一度やってみたかった!」は、全く私の思いと同じです。
詳しく見てみると、VisualStudio(Basic).NETのコードも載っています。これは至れり尽くせりです。
でも、私はVisualStdio.NETを持っておらず、昔ながらのVisual Basic 6 の環境なので、この記事を参考にCi-Vソフトを勉強しながら、作ったインタフェースが正常に動くかの検証をすることにしました。(.NETのコードファイルもテキスト形式で書かれているので、メモ帳で見ることができます)
久しぶり(多分5年ぶりくらいかな)にVisual Basic 6 のプログラミング・コードに触ります。
触っていると、段々にプログラミングの仕方を思い出します。
関数の定義を大分忘れてます。Googleさんには大変お世話になりました。
【Visual Basic 6 の開発画面】

参照させて頂いた方の画面と全く同じように描いてみました。
上が操作画面の設計状態、下がプログラムコードです。
(注:ByteRead = SerialPort1.Read(ByteData, 0, 16)という部分のコードはオリジナルのVisualStdio.NETのものなので、Visual Basic 6では動きません)
【動作している画面】

これが動いたということは、作ったCi-Vインターフェースが正常に動作しているということです。
上図は「電源ON」コマンドを送出して、ID-31の電源をONさせたところです。19200ボーで通信する場合、FEという16進コードを50個付けねばならないのでFEがたくさん並んでいます。

このソフトの機能は以下です。無線機にコードを送信して何らかの設定を行う部分だけです。無線機からデータを貰う部分はありません。(なので、Mscomm1のOnComm部分が未完成なのです)
・電源ON、OFF
・周波数変更(430.000~440.000まで0.1MHz飛び)
・Mode変更(FM,FM-N,DV)
・スケルチ変更(OPEN、AUTO、LEVEL 1 ~ 9)
・音量変更(VOL 0 ~ 39)
・送信出力変更(Hi:5W、Mid:2.5W、LOW:0.5W、SOL:0.1W)
DV関係の設定値や通信結果を取得する等、まだまだ機能追加ができるCi-V機能のようです。
私が参考にさせて頂いたページの方もプログラム・コードが見れるようになっていたので、愚作ですがVB6のプログラム・コード(Ci-V_Tool_VB6.zip)をこちらに置いておきます。尚、これを動作させるにはVB6標準環境にMicrosoft comm Controll 6.0 コンポーネントを追加させる必要があります(コードを読み込むと自動でコンポーネントがロードされるのか不明ですが・・・)
さて、ICOM、IC-7000をFT8で使うためのCi-Vインターフェースができましたが、7MHz帯のFT8の状態が芳しくありません。殆ど信号が入って来ません(FT-817NDでの受信では)
もしかするとWSJT-X は、FT8のCRC改良でこの12月から切り替わったので(V2.0)、新モードに対応したアクセスが無いのかもしれません。私もV2.0に変更しました。しばらく様子を見てみましょう。
車載状態のIC-7000無線機を取り外すのはそれからにしようかなと、迷い中です。
----------- 追記:2018/01/06 16:22 -----------
2日過ぎた日曜日の夕方4時過ぎです。FT8の7.074MHzが大分賑やかになってます。

OA4GL というペルーの局が、パイルアップ状態で呼ばれています。
このパイルアップに入って行っても敵わないので、受信を続けていると

何と、QO93 グリッド・ロケータ、カムチャッカ半島のペトロパブロフスクから電波が出てます。
早速、応答してみました。

右枠内の黄色い部分が私のコールなのですが、やはり応答ありません。残念です。
参考までに、
上の画面は、FT-817をコントロールしているWindows8のノートPC画面なのですが、大きな画像で画面左上を見て頂くと判りますが、191.168.1.15:55400 となっています。これは少し離れた自室から無線機部屋(アンテナが近くにある)のPCをリモートで操作している画面です。IC-7000の場合はRS-BA1という専用のリモートソフトを使っていたのですが、FT-817ではBrynhildrというフリーのPC-PCのコントロールソフトを使っています。(リモート操作の変更許可済み)
このソフトではPCからFT-817に出力しているデジタル音も聞こえるので、FT-817に信号が出ていることは確かです。やはり5Wでは非力なのでしょうね。
冬休みも今日でおしまいです。Ci-Vインターフェースでそこそこ遊べました。楽しかったです。
が、最終目的には至っていません。IC-7000にお出まし願いますかな。
据置き型バランスDCヘッドホン(ライン)アンプの3回目の製作
本年8月に本タイトルと同じバランス型のDCヘッドホンアンプを作ったのですが、ラインアンプとしても本格的に使用したいというご要望があり、前面にXLR3の出力端子を増設した3作目を作りました。
【前面】

XLR3のバランス出力端子がLEFT、RIGHTと2個並んでいるのが今回アンプの変更点です。
隣には従来と同じ、XLR5のヘッドホン出力(XLR3とパラ出力)が並んでいます。
前面のフラットエリアが少なくなって、ロゴシールが張れなくなったので、天板に大きなロゴシールを貼りました。今回使ったシールは透明度が高いのでシール地が目立ちません。
【背面】
背面は1作目と変わりません。
左からバランス入力のXLR3端子がL・Rと並び、中央部にはアンバランス入力のRCA端子があり、間にあるSWでCOLD入力をGNDに落とすか落とさないかの切り替えを行うことで、バランスとアンバランスの入力切り替えを行っています。
詳細はこちらの記事を参照願います。
DC15V電源入力端子、ヒューズを挟んだ右側にアンバランス出力のRCA端子があります。後述するようにHOT出力部にDCカットのカップリングコンデンサ入れて出力しています。
【内部配置】
この図は前面方向から内部配置を見たものです。
左手前側にオペアンプでDC補正を行うレールスプリッタ電源で、DC15V入力を仮想±7.5Vに分圧しています。コンデンサ(4700uF/25V)が3個あるのは、プラスとマイナス間、プラスとゼロ電位間、ゼロ電位とマイナス間の3か所に入れているからです。
後側に2枚並んでいるのがメイン基板です。後ろから見てL・Rの並びにして配線ミスを防止しています。
白いケーブルは、音質で定評の高い立井マイクロホンケーブルから芯線を取り出したものです。バランスの入力および出力に捩って使っています。
【基板図】
赤いジャンパー線は8本程と少ないので、この基板には片面感光基板を使っています。
右側の上下中央に見えるコンデンサが、HOT出力からのカップリングコンデンサで先に記したRCA端子からアンバランス出力を出しています。
【回路図・EAGLE】
【回路図・LTSpice】
LTSpiceで回路定数を決めたり、最終的な歪率をシミュレートするために使っています。
私の歪率計測機器はバランス出力の計測ができないので、これが頼りになります。
画面に見えるSpice Directiveの左は、一定レベルのSin波を入力させ出力波形を描くもので、主に各部の電圧や電流の状態を見ながら回路定数を決めていくときに使います。
右側のSpice Directiveは、定数がFixした回路に対して、入力電圧をパラメータにして出力波形の歪率と出力を計算させるものです。
【LTSpiceによる計算結果】
1Vp-p入力で2.75Vrmsの出力が出ます。75Ω負荷抵抗で計算させていますので、出力としては、2.75 x 2.75 ÷ 75 = 0.1008 w ですので、約100mWの出力で、その時の歪率は0.018%THDということになります。
ヘッドホーンで100mW出力はまずありえない轟音ですので、通常使うと思える最大出力の16mWでの歪率は、0.0017%THDと一桁少ない歪率でした。
回路の説明や基板製作の注意点などは、2作目であるこちらの記事に書きましたので、本3作目になるこの記事ではケースの加工手順に少し詳しく記載しようと思います(2作目でも少しは記載してますが、写真がありませんでした)
【基本的な加工ツール】
2作目にも載せたツールですが、右が1mmドリルのハンドツール。穴あけ位置をマーキングしたり、1mm程度の薄いアルミ板位なら手で穴を開ける際に使います。
右から2つ目がφ4.5、6、8、10、12のステップドリルです。今回の場合はスイッチの取付穴(約6mm)、ボリューム取付穴(約8mm)、RCA端子(約10mm)、DCジャック&ヒューズホルダ(約12mm)はこれを使います。
同3つ目がホールドリルです。私が持っているのはφ18、19、20、21、22の5種です。XLR端子などの大きな穴開けに使います。
この他にφ1.5~6.5mmまで0.5mmピッチのドリルセット、加工用の電動ハンドドリルです。
【ケーズ穴加工手順】
1.CAD図を使って加工位置をマーキング
JW CADで1:1の端子配置図を作って印刷します。タカチ製ケースを使っていますので、ケースのDXFデータをダウンロードし、その上に端子図を配置します。上の図はケース背面の印刷を貼り付けて加工しているもので、加工位置をφ1mmのハンドドリルでマーキング後に、電動ドリルでφ1mmの下穴加工をしているところです。
手間はかかりますが、こうしておけばφ1mm穴が次の加工の案内になるので、加工位置ズレを起こすことが殆どありません。
またCADを使って部品配置を行うもう一つの目的は、部品相互の干渉をチェックすることにあります。
2.下穴加工が終わりました
φ1mm穴加工後に、その位置にφ2mmドリルで下穴サイズを大きくしています。φ1mm穴加工は1か所に30秒ほど掛かりますが、φ2mm加工は下穴があるので数秒で終わります。
3.φ2mmの下穴加工が終わったところです
この段階になればCADの下図は不要です。外すと青い保護シールが現れます。
4.XLR端子などの3mmビス止め穴をφ3.2mmドリルで加工します
LED穴だけはφ3mmドリルで加工します。
この後は大きな穴サイズになるので、青い保護シールは剥がします(シールと部材の隙間に切り粉が入る)。表面に傷を付けないように慎重な加工が必要です。
5.大きな穴の加工
XLR端子などの大きな穴はホールドリルで加工します。
中心にセンター穴加工ドリル、ガイドドリルが付いており、2mm幅程度のカッターが付いています。
こんな感じで加工されていきます。ハンド式電動ドリルでも十分に加工できます。トルクの高いドライバー兼用電動ドリルがお勧めです。
6.加工が完了しました
穴あけ後のバリ取りや少々のサイズアップには加工ツールで示した左端の工具を使います。これはHOZAN製のK-35というバリ取りツールなのですが、切れ味が素晴らしいのと、斜め部分でコーナーのバリ取り、先端のストレート部分で穴のサイズアップ加工ができます。
XLRコネクタ加工のホールドリルがφ22で、XLRコネクタがφ23だったのですが、このツールでサイズアップ加工ができました。また今回使ったXLR3コネクタは周囲に凸がある形状だったので、ヤスリを使って部分的な加工をしています。
以上の手順で加工すれば、3mm肉厚のアルミ板でも綺麗に加工ができます。
使用したアルミケースは、タカチOD49-20-23(高さ49mm、幅230mm、奥行き200mm)です。
このケースの使い方は幅方向と奥行き方向が私とは逆に使うような想定で、1.5mm厚さの板部分に部品を取り付けるようなのだが、フラット面が前後にある方が見栄えが良いので、あえて板厚が厚い部分にコネクタ加工をしています。
以上、今回3作目のバランス型DCヘッドホン&ライン・アンプでしたが、ケースの加工手順を少し詳しく記載しました。
それにしてもバランス型ヘッドホンアンプの音は、分解能・定置・彫りの深さなど素晴らしいものがあるのは確かです。
「紺屋の白袴」という例えがあります。私の場合、こんなスケールのバランス型ヘッドホンアンプは使えないのですが、バランス型の音の素晴らしさには敵わず、下図の自作アンプを愛用しています。
私の工作台に置かれたバランス型ヘッドホンアンプです。NJU7043Dというオペアンプで作ったバランス型ヘッドホンアンプです。単三電池2本で100時間以上動作すると思われます。久しく電池交換してませんがずっと動いています。
深夜にYoutubeを見るときでも使ってます。
作例は、こちらとこちら、そしてこちらです。頒布した時の記事にまとめがあります。
バランス型アンプにどっぷりと浸かっていますね。
【前面】

XLR3のバランス出力端子がLEFT、RIGHTと2個並んでいるのが今回アンプの変更点です。
隣には従来と同じ、XLR5のヘッドホン出力(XLR3とパラ出力)が並んでいます。
前面のフラットエリアが少なくなって、ロゴシールが張れなくなったので、天板に大きなロゴシールを貼りました。今回使ったシールは透明度が高いのでシール地が目立ちません。
【背面】

背面は1作目と変わりません。
左からバランス入力のXLR3端子がL・Rと並び、中央部にはアンバランス入力のRCA端子があり、間にあるSWでCOLD入力をGNDに落とすか落とさないかの切り替えを行うことで、バランスとアンバランスの入力切り替えを行っています。
詳細はこちらの記事を参照願います。
DC15V電源入力端子、ヒューズを挟んだ右側にアンバランス出力のRCA端子があります。後述するようにHOT出力部にDCカットのカップリングコンデンサ入れて出力しています。
【内部配置】

この図は前面方向から内部配置を見たものです。
左手前側にオペアンプでDC補正を行うレールスプリッタ電源で、DC15V入力を仮想±7.5Vに分圧しています。コンデンサ(4700uF/25V)が3個あるのは、プラスとマイナス間、プラスとゼロ電位間、ゼロ電位とマイナス間の3か所に入れているからです。
後側に2枚並んでいるのがメイン基板です。後ろから見てL・Rの並びにして配線ミスを防止しています。
白いケーブルは、音質で定評の高い立井マイクロホンケーブルから芯線を取り出したものです。バランスの入力および出力に捩って使っています。
【基板図】

赤いジャンパー線は8本程と少ないので、この基板には片面感光基板を使っています。
右側の上下中央に見えるコンデンサが、HOT出力からのカップリングコンデンサで先に記したRCA端子からアンバランス出力を出しています。
【回路図・EAGLE】

【回路図・LTSpice】

LTSpiceで回路定数を決めたり、最終的な歪率をシミュレートするために使っています。
私の歪率計測機器はバランス出力の計測ができないので、これが頼りになります。
画面に見えるSpice Directiveの左は、一定レベルのSin波を入力させ出力波形を描くもので、主に各部の電圧や電流の状態を見ながら回路定数を決めていくときに使います。
右側のSpice Directiveは、定数がFixした回路に対して、入力電圧をパラメータにして出力波形の歪率と出力を計算させるものです。
【LTSpiceによる計算結果】

1Vp-p入力で2.75Vrmsの出力が出ます。75Ω負荷抵抗で計算させていますので、出力としては、2.75 x 2.75 ÷ 75 = 0.1008 w ですので、約100mWの出力で、その時の歪率は0.018%THDということになります。
ヘッドホーンで100mW出力はまずありえない轟音ですので、通常使うと思える最大出力の16mWでの歪率は、0.0017%THDと一桁少ない歪率でした。
回路の説明や基板製作の注意点などは、2作目であるこちらの記事に書きましたので、本3作目になるこの記事ではケースの加工手順に少し詳しく記載しようと思います(2作目でも少しは記載してますが、写真がありませんでした)
【基本的な加工ツール】

2作目にも載せたツールですが、右が1mmドリルのハンドツール。穴あけ位置をマーキングしたり、1mm程度の薄いアルミ板位なら手で穴を開ける際に使います。
右から2つ目がφ4.5、6、8、10、12のステップドリルです。今回の場合はスイッチの取付穴(約6mm)、ボリューム取付穴(約8mm)、RCA端子(約10mm)、DCジャック&ヒューズホルダ(約12mm)はこれを使います。
同3つ目がホールドリルです。私が持っているのはφ18、19、20、21、22の5種です。XLR端子などの大きな穴開けに使います。
この他にφ1.5~6.5mmまで0.5mmピッチのドリルセット、加工用の電動ハンドドリルです。
【ケーズ穴加工手順】
1.CAD図を使って加工位置をマーキング

JW CADで1:1の端子配置図を作って印刷します。タカチ製ケースを使っていますので、ケースのDXFデータをダウンロードし、その上に端子図を配置します。上の図はケース背面の印刷を貼り付けて加工しているもので、加工位置をφ1mmのハンドドリルでマーキング後に、電動ドリルでφ1mmの下穴加工をしているところです。
手間はかかりますが、こうしておけばφ1mm穴が次の加工の案内になるので、加工位置ズレを起こすことが殆どありません。
またCADを使って部品配置を行うもう一つの目的は、部品相互の干渉をチェックすることにあります。

2.下穴加工が終わりました

φ1mm穴加工後に、その位置にφ2mmドリルで下穴サイズを大きくしています。φ1mm穴加工は1か所に30秒ほど掛かりますが、φ2mm加工は下穴があるので数秒で終わります。
3.φ2mmの下穴加工が終わったところです

この段階になればCADの下図は不要です。外すと青い保護シールが現れます。
4.XLR端子などの3mmビス止め穴をφ3.2mmドリルで加工します

LED穴だけはφ3mmドリルで加工します。
この後は大きな穴サイズになるので、青い保護シールは剥がします(シールと部材の隙間に切り粉が入る)。表面に傷を付けないように慎重な加工が必要です。
5.大きな穴の加工

XLR端子などの大きな穴はホールドリルで加工します。

中心にセンター穴加工ドリル、ガイドドリルが付いており、2mm幅程度のカッターが付いています。

こんな感じで加工されていきます。ハンド式電動ドリルでも十分に加工できます。トルクの高いドライバー兼用電動ドリルがお勧めです。
6.加工が完了しました

穴あけ後のバリ取りや少々のサイズアップには加工ツールで示した左端の工具を使います。これはHOZAN製のK-35というバリ取りツールなのですが、切れ味が素晴らしいのと、斜め部分でコーナーのバリ取り、先端のストレート部分で穴のサイズアップ加工ができます。
XLRコネクタ加工のホールドリルがφ22で、XLRコネクタがφ23だったのですが、このツールでサイズアップ加工ができました。また今回使ったXLR3コネクタは周囲に凸がある形状だったので、ヤスリを使って部分的な加工をしています。
以上の手順で加工すれば、3mm肉厚のアルミ板でも綺麗に加工ができます。
使用したアルミケースは、タカチOD49-20-23(高さ49mm、幅230mm、奥行き200mm)です。
このケースの使い方は幅方向と奥行き方向が私とは逆に使うような想定で、1.5mm厚さの板部分に部品を取り付けるようなのだが、フラット面が前後にある方が見栄えが良いので、あえて板厚が厚い部分にコネクタ加工をしています。
以上、今回3作目のバランス型DCヘッドホン&ライン・アンプでしたが、ケースの加工手順を少し詳しく記載しました。
それにしてもバランス型ヘッドホンアンプの音は、分解能・定置・彫りの深さなど素晴らしいものがあるのは確かです。
「紺屋の白袴」という例えがあります。私の場合、こんなスケールのバランス型ヘッドホンアンプは使えないのですが、バランス型の音の素晴らしさには敵わず、下図の自作アンプを愛用しています。

私の工作台に置かれたバランス型ヘッドホンアンプです。NJU7043Dというオペアンプで作ったバランス型ヘッドホンアンプです。単三電池2本で100時間以上動作すると思われます。久しく電池交換してませんがずっと動いています。
深夜にYoutubeを見るときでも使ってます。
作例は、こちらとこちら、そしてこちらです。頒布した時の記事にまとめがあります。
バランス型アンプにどっぷりと浸かっていますね。
ArduinoでMP3再生(DFPlayer mini もどき)
DFPlayer mini という、SDカード収録のMP3楽曲を再生する小さな基板が売られている。
いろんなところで売っているようだが、日本国内販売の並行輸入品だとこちら、で400円、秋月でも売られているようだが、1050円でちょっとお高いようです。私は1個目を中国系バイヤーから直接買いましたが300円しなかったです。
そしてArduinoに組み合わせて作ったのがこちらです。
でも、よく見てみると、向こう側に単体であるのがDFPlayer mini なのですが、組付けてあるものには、MP3-TF-16Pと印字されています。そうなんです、DFPlayer miniの互換品です。
最初に使ったDFPlayer mini は、どうも不動品だったらしく(OH! 中国品質?)、Arduinoと組み合わせてもウンともスントも動作しませんでした。シリアル信号をアナライザでチェック中に、シリアルラインをショートさせ通信用ICを飛ばしてしまいました。
そこで、このAmazon出品店で購入したのですが、掲載写真はDFPlayer mini とありましたが、届いたのは互換品でした。
使っているチップはDFPlayer miniが、YX5200-24SS、MP3-TF-16Pが、MH2024K-24SSです。これらは皆KT403Aの互換チップなのでしょうかね?
このDFPlayer mini もどきも単体でも動くのですが(念のため、単体でも動作チェックしました)、Arduino NANO互換品が余っていたので、ユニバーサル基板でボリュームスイッチ等も付けて組み合わせてみました。
楽曲演奏順を送ったり戻したりする外部スイッチ端子も付けましたが、まだ組み込んでありません。
今のところは、BUSY端子がHIGHになったらArduinoから、mp3_Next()コマンドを送ってSDカードに収録している全ての楽曲を順に演奏させてみました。
ArduinoからDFPlayer mini にシリアル接続でコントロールする方法は、かなり多くの方々が記事にしているので割愛します。
DFPlayer mini 内蔵のアンプで直接スピーカーを駆動する場合は、ArduinoのUSB経由からの5Vでは音が割れるなどの問題が出るらしいのですが、ライン系統からのオーディオ出力の場合はUSB電源だけでもしっかり再生できました。
このアンプからのオーディオ出力を組み合わせたのが、ぺるけさんのミニワッター真空管アンプです。
これは私が作った最初の真空管アンプになりますが、真空管を除く他の全ての部品をぺるけさんから頒布頂き、楽しみながらつくったもので、一発完動でした。
ぺるけさんのHPから写真をお借りしました。
このミニワッター・アンプは真空管ながら、もやっとした音ではなく、かなりすっきりした明瞭感のある音なのですが、このDFPlayer miniもどきアンプの出力で聴くとかなりまろやかな感じの音がします。悪く言えば明瞭感が足りない、そんな感じです。
BGM的な使い方には向いているかもしれません。
追記:
最近はラジコを聴くのにもっぱらこのぺるけさんのミニワッターアンプを使うのですが、6畳の部屋で使うのにちょうど良いパワーなのと、とんがり感の無い適度な明瞭感と、低域もかなり良く出る感じがします。
また、低域が良く出るのはこのスピーカ・特に右の、音工房・Z701modena_BHBSminiも寄与してますね。
8cmシングルコーンSPながら素晴らしい音がします。
音工房さんが仕上げるとこんな品質です。左・正面、右・裏面、ここにバスレフがあります。
今回は DFPlayer mini で遊んでみた でした。
いろんなところで売っているようだが、日本国内販売の並行輸入品だとこちら、で400円、秋月でも売られているようだが、1050円でちょっとお高いようです。私は1個目を中国系バイヤーから直接買いましたが300円しなかったです。
そしてArduinoに組み合わせて作ったのがこちらです。


でも、よく見てみると、向こう側に単体であるのがDFPlayer mini なのですが、組付けてあるものには、MP3-TF-16Pと印字されています。そうなんです、DFPlayer miniの互換品です。
最初に使ったDFPlayer mini は、どうも不動品だったらしく(OH! 中国品質?)、Arduinoと組み合わせてもウンともスントも動作しませんでした。シリアル信号をアナライザでチェック中に、シリアルラインをショートさせ通信用ICを飛ばしてしまいました。
そこで、このAmazon出品店で購入したのですが、掲載写真はDFPlayer mini とありましたが、届いたのは互換品でした。
使っているチップはDFPlayer miniが、YX5200-24SS、MP3-TF-16Pが、MH2024K-24SSです。これらは皆KT403Aの互換チップなのでしょうかね?
このDFPlayer mini もどきも単体でも動くのですが(念のため、単体でも動作チェックしました)、Arduino NANO互換品が余っていたので、ユニバーサル基板でボリュームスイッチ等も付けて組み合わせてみました。
楽曲演奏順を送ったり戻したりする外部スイッチ端子も付けましたが、まだ組み込んでありません。
今のところは、BUSY端子がHIGHになったらArduinoから、mp3_Next()コマンドを送ってSDカードに収録している全ての楽曲を順に演奏させてみました。
ArduinoからDFPlayer mini にシリアル接続でコントロールする方法は、かなり多くの方々が記事にしているので割愛します。
DFPlayer mini 内蔵のアンプで直接スピーカーを駆動する場合は、ArduinoのUSB経由からの5Vでは音が割れるなどの問題が出るらしいのですが、ライン系統からのオーディオ出力の場合はUSB電源だけでもしっかり再生できました。
このアンプからのオーディオ出力を組み合わせたのが、ぺるけさんのミニワッター真空管アンプです。
これは私が作った最初の真空管アンプになりますが、真空管を除く他の全ての部品をぺるけさんから頒布頂き、楽しみながらつくったもので、一発完動でした。
ぺるけさんのHPから写真をお借りしました。

このミニワッター・アンプは真空管ながら、もやっとした音ではなく、かなりすっきりした明瞭感のある音なのですが、このDFPlayer miniもどきアンプの出力で聴くとかなりまろやかな感じの音がします。悪く言えば明瞭感が足りない、そんな感じです。
BGM的な使い方には向いているかもしれません。
追記:
最近はラジコを聴くのにもっぱらこのぺるけさんのミニワッターアンプを使うのですが、6畳の部屋で使うのにちょうど良いパワーなのと、とんがり感の無い適度な明瞭感と、低域もかなり良く出る感じがします。
また、低域が良く出るのはこのスピーカ・特に右の、音工房・Z701modena_BHBSminiも寄与してますね。
8cmシングルコーンSPながら素晴らしい音がします。

音工房さんが仕上げるとこんな品質です。左・正面、右・裏面、ここにバスレフがあります。

今回は DFPlayer mini で遊んでみた でした。
据置き型バランスDCヘッドホン(ライン)アンプの再製作
この5月に作った同じタイトルのバランス型DCヘッドホンアンプなのですが、性能というか音の素晴らしさで、是非ラインアンプとして2台増設したいというご要望が出ました。
【2台を前後向きに並べた外観・レタリング前】

2台を同時に製作したので加工の作業量が凄かったです。
アンプ基板には1枚当たり約140個の穴加工が必要です。0.8mmドリルでの加工なのと、穴位置が少しでもズレると基板パターンから外れるので気を使います。
集中して作業をしないと位置合わせの感覚が狂うので、一気に加工を行いましたが半日かかりました。
【外観・前側】
前作から変わったのはバランス出力のXLR5メス端子が2個から1個になりました。
前作はバランス型ヘッドホンアンプ用途だったので端子を2個並列に設置しましたが、今回はラインアンプ用途なので1個です。
大型のプラスチック製ボリュームノブは、4連ボリュームと同じ三栄電波ドットコムから入手できます。
【外観・後側】
左からバランス入力のXLR3コネクタ、バランス/アンバランス入力切換スイッチ、アンバランス入力のRCAコネクタ、2Aヒューズホルダ、DC入力コネクタの順に並びます。
前作ではアンバランス出力も設けましたが今回は廃止です。
【内部の配置】
ケース内部への基板配置は、左下にOPアンプでセンター電圧を合わせる機能を持ったトランジスタを使ったレールスプリッタ電源回路です。左右にバランス型DCアンプ基板を配置してます。LRを間違えないように後ろ側から見てLRを配置してます。
尚、やや太く見えるネジった白い線は入力信号線です。マイク用コードとして定評の高い立井マイクコードの芯線を使って配線しています。
【ケースへの端子配置】
コネクタ配置はケース図面をダウンロードし、JW-CADで原寸図を印刷して加工位置をマーキングします。
こうすれば手早く正確に加工位置が決められます。
使用したアルミケースは、タカチOD49-20-23(高さ49mm、幅230mm、奥行き200mm)です。
このケースの使い方はタカチの製品ページ写真(下図)のように、幅方向と奥行き方向が私とは逆に使うような想定なのだが、フラット面が前後にある方が見栄えが良いので、あえて板厚が厚い部分にコネクタ加工をしています。
【加工ツール】
私が使っている加工ツールを使ったケース加工方法を紹介します。
一番右にあるφ1mmドリルで先に示した加工位置にマーキングします。その後、このφ1mmドリルを電動ドリルに付け替えて穴開けを行います。面倒でも必ず1mm穴を開けてから大きな穴加工に移ります。こうすれば穴位置がずれることはほぼありません。
次にφ4、φ6、φ8、φ10、φ12のステップドリル(右から2個目)で加工をします。
私が使っている部品では、スイッチ穴はφ6、RCA穴はφ10、DCジャックやヒューズホルダはφ12です。
(固定ネジ穴はφ3.5、LED穴はφ3.0のドリルを使います)
XLR端子の穴は大きいので右から3個目のホルソーを使います。加工には少々時間がかかりますが、電動ドリル(高トルク型)で4mm板厚のアルミでも加工が可能です。
穴あけ後のバリ取りや少々のサイズアップには左端の工具を使います。これはHOZAN製のK-35というバリ取りツールなのですが、切れ味が素晴らしいのと、斜め部分でコーナーのバリ取り、先端のストレート部分で穴のサイズアップ加工ができます。
XLRコネクタ加工のホルソーがφ22で、XLRコネクタがφ23だったのですが、このツールでサイズアップ加工ができました。
【回路図】
前作と基本的に変更ありません。
細かいことですが、2段目差動増幅からドライバー段に繋がる負荷抵抗が手持ち部品の関係で620Ωから680Ωになったのと、カレントミラー定電流回路に使っているFET、2SK30AのIdssが2mAから1.8mAになるので、差動増幅2SK170BL直下のカレントミラー抵抗を110Ωから100Ωに変更しました。
シミュレーションでは2SK30A直下の抵抗(実回路では0-500Ωの可変抵抗)値が180Ωでアイドル電流が15mAになるのですが、実際作ってみると、可変抵抗値は200~220Ω程度でアイドル電流が15mA程度になりました。
【バランス/アンバランス入力の切換回路】
前作と全く同じですが掲載しておきます。
【アンプ基板図】
部品を実装した基板図です。
青の線が基板パターン線です。片面基板なので赤が部品面のジャンパー線です。
pdfの実パターン基板図も掲載しておきます。HPA_kane_BAL_DC_4_2_brd.pdf です。
【製作に当たる留意事項】
・基板図には終段トランジスタが2SA1428になっていますが、私が実際に使ったのは2SA1358Yでした。
ここにはコレクタ損失が1000mW以上程度のものを使ってください。上下のhFE差は20以内をメドにしてください。
・初段差動増幅の2SK170BLはVgsで選別しています。Vgs -0.130 ~ -0.300V内から偏差±0.004Vのものをペアとします。
・定電流用2SK30AのIdssが1.8 ~ 2.0mAのものを選びます。
・第2差動増幅の2SA1015、及びドライバー段上下の2SC1815はhFE偏差が7以内のものをペアとして使います。
・500Ωの可変抵抗はボリューム位置を右一杯にしておいてください。
電源が正常に入ってから10Ω抵抗両端電圧を測りながら徐々に左に回していくと、0mVから急に上がります。
適正値はアイドル電流15mAの両端電圧150mVです。±50mV程度が調整範囲です。
・100Ωの可変抵抗はボリュームを中央にしておいてください。
ボリュームをゼロにした状態で、バランス出力端子間DC電圧が 0±5mVになるように調整します。
【製作後記】
5月の前作以来、3か月ぶりに本器の音を堪能しました。
前作では様々なトラブル(と言っても私の失敗)のために試聴時間が十分取れなかったのですが、
今回は調整を兼ねてかなりの時間、音楽を楽しまさせてもらいました。
バランス型特有の音の分解能と定位性の優れた音ですが、かなり締まった低域の音感がハッとさせます。
十分なパワーがあるので、音量を上げて行っても音割れ等の破綻がありません。
【2台を前後向きに並べた外観・レタリング前】

2台を同時に製作したので加工の作業量が凄かったです。
アンプ基板には1枚当たり約140個の穴加工が必要です。0.8mmドリルでの加工なのと、穴位置が少しでもズレると基板パターンから外れるので気を使います。
集中して作業をしないと位置合わせの感覚が狂うので、一気に加工を行いましたが半日かかりました。
【外観・前側】

前作から変わったのはバランス出力のXLR5メス端子が2個から1個になりました。
前作はバランス型ヘッドホンアンプ用途だったので端子を2個並列に設置しましたが、今回はラインアンプ用途なので1個です。
大型のプラスチック製ボリュームノブは、4連ボリュームと同じ三栄電波ドットコムから入手できます。
【外観・後側】

左からバランス入力のXLR3コネクタ、バランス/アンバランス入力切換スイッチ、アンバランス入力のRCAコネクタ、2Aヒューズホルダ、DC入力コネクタの順に並びます。
前作ではアンバランス出力も設けましたが今回は廃止です。
【内部の配置】

ケース内部への基板配置は、左下にOPアンプでセンター電圧を合わせる機能を持ったトランジスタを使ったレールスプリッタ電源回路です。左右にバランス型DCアンプ基板を配置してます。LRを間違えないように後ろ側から見てLRを配置してます。
尚、やや太く見えるネジった白い線は入力信号線です。マイク用コードとして定評の高い立井マイクコードの芯線を使って配線しています。
【ケースへの端子配置】

コネクタ配置はケース図面をダウンロードし、JW-CADで原寸図を印刷して加工位置をマーキングします。
こうすれば手早く正確に加工位置が決められます。
使用したアルミケースは、タカチOD49-20-23(高さ49mm、幅230mm、奥行き200mm)です。
このケースの使い方はタカチの製品ページ写真(下図)のように、幅方向と奥行き方向が私とは逆に使うような想定なのだが、フラット面が前後にある方が見栄えが良いので、あえて板厚が厚い部分にコネクタ加工をしています。

【加工ツール】

私が使っている加工ツールを使ったケース加工方法を紹介します。
一番右にあるφ1mmドリルで先に示した加工位置にマーキングします。その後、このφ1mmドリルを電動ドリルに付け替えて穴開けを行います。面倒でも必ず1mm穴を開けてから大きな穴加工に移ります。こうすれば穴位置がずれることはほぼありません。
次にφ4、φ6、φ8、φ10、φ12のステップドリル(右から2個目)で加工をします。
私が使っている部品では、スイッチ穴はφ6、RCA穴はφ10、DCジャックやヒューズホルダはφ12です。
(固定ネジ穴はφ3.5、LED穴はφ3.0のドリルを使います)
XLR端子の穴は大きいので右から3個目のホルソーを使います。加工には少々時間がかかりますが、電動ドリル(高トルク型)で4mm板厚のアルミでも加工が可能です。
穴あけ後のバリ取りや少々のサイズアップには左端の工具を使います。これはHOZAN製のK-35というバリ取りツールなのですが、切れ味が素晴らしいのと、斜め部分でコーナーのバリ取り、先端のストレート部分で穴のサイズアップ加工ができます。
XLRコネクタ加工のホルソーがφ22で、XLRコネクタがφ23だったのですが、このツールでサイズアップ加工ができました。
【回路図】

前作と基本的に変更ありません。
細かいことですが、2段目差動増幅からドライバー段に繋がる負荷抵抗が手持ち部品の関係で620Ωから680Ωになったのと、カレントミラー定電流回路に使っているFET、2SK30AのIdssが2mAから1.8mAになるので、差動増幅2SK170BL直下のカレントミラー抵抗を110Ωから100Ωに変更しました。
シミュレーションでは2SK30A直下の抵抗(実回路では0-500Ωの可変抵抗)値が180Ωでアイドル電流が15mAになるのですが、実際作ってみると、可変抵抗値は200~220Ω程度でアイドル電流が15mA程度になりました。
【バランス/アンバランス入力の切換回路】

前作と全く同じですが掲載しておきます。
【アンプ基板図】

部品を実装した基板図です。
青の線が基板パターン線です。片面基板なので赤が部品面のジャンパー線です。
pdfの実パターン基板図も掲載しておきます。HPA_kane_BAL_DC_4_2_brd.pdf です。
【製作に当たる留意事項】
・基板図には終段トランジスタが2SA1428になっていますが、私が実際に使ったのは2SA1358Yでした。
ここにはコレクタ損失が1000mW以上程度のものを使ってください。上下のhFE差は20以内をメドにしてください。
・初段差動増幅の2SK170BLはVgsで選別しています。Vgs -0.130 ~ -0.300V内から偏差±0.004Vのものをペアとします。
・定電流用2SK30AのIdssが1.8 ~ 2.0mAのものを選びます。
・第2差動増幅の2SA1015、及びドライバー段上下の2SC1815はhFE偏差が7以内のものをペアとして使います。
・500Ωの可変抵抗はボリューム位置を右一杯にしておいてください。
電源が正常に入ってから10Ω抵抗両端電圧を測りながら徐々に左に回していくと、0mVから急に上がります。
適正値はアイドル電流15mAの両端電圧150mVです。±50mV程度が調整範囲です。
・100Ωの可変抵抗はボリュームを中央にしておいてください。
ボリュームをゼロにした状態で、バランス出力端子間DC電圧が 0±5mVになるように調整します。
【製作後記】
5月の前作以来、3か月ぶりに本器の音を堪能しました。
前作では様々なトラブル(と言っても私の失敗)のために試聴時間が十分取れなかったのですが、
今回は調整を兼ねてかなりの時間、音楽を楽しまさせてもらいました。
バランス型特有の音の分解能と定位性の優れた音ですが、かなり締まった低域の音感がハッとさせます。
十分なパワーがあるので、音量を上げて行っても音割れ等の破綻がありません。
据置き型バランスDC/アンバランス・ヘッドホンアンプの製作
久々に記事を書きます。1月頃にバランス型DCパワーアンプを作ったのですが、予定と違った仕様になってしまい記事にできませんでした。
今回はそれのリベンジとも言える、バランス型DCヘッドホンアンプの製作です。
私のバランス型アンプを多数使って頂いている方からの依頼品です。
【外観・前】
左からパワースイッチとLED青、XLR5のバランス型ヘッドホン出力端子2個並列、4連ボリュームのノブです。
使用したアルミケースは、タカチOS49-20-23(高さ49mm、幅230mm、奥行き200mm)です。
【外観・後】
同じく左から、バランス入力端子XLR3、バランス/アンバランス入力切換スイッチ、アンバランス入力RCA端子、ヒューズ及びDC15入力ジャック、アンバランス出力RCA端子
即ち、入力/出力共にアンバランス/バランスが使えるヘッドホンアンプになります。
【内部の配置】
手前左がオペアンプで中点電圧ゼロを修正するレールスプリッタ電源基板です。35V/4700μFの電解コンデンサをプラス側、マイナス側、そして±両極を跨いだ部分に入れています。
奥側左右に若干オフセットしてアンプ基板がL,R分並んでいます。
外寸高さが49mmのケースなのですが、内寸高さは37mmしかありませんでした。よって電解コンデンサが寝ています。
【ケースへ端子配置の設計図】
外寸の割に内寸がかなり狭くなるケースです。高さ49mmの上サイズが70mmと21mmも大きくなるので、プロポーションから考えてこれを選択しました。結果、内部のコンデンサは横置きになりましたが、アンプケースとしてはバランスの取れたプロポーションになっていると思います。
【回路図】
LTSpiceの回路図です。
この回路の基本は金田さんのインバーテッド・ダーリントン接続のヘッドホンアンプをベースにバランス化したものです。
金田さんの基本回路と大きく異なるのは、初段差動増幅に使っている定電流回路です。
金田式の場合、ここにはJ-FET1個と抵抗1個を組み合わせたもので、FETのIDSSに依存(選別?)します。
上図回路は定電流用FETに調整抵抗を付け、それをカレントミラー回路で分流しています。
そうすることで、持っている定電流用FETに合わせたカレントミラー抵抗選択でかなり楽に終段のアイドル電流調整が可能になります。上図の例では定電流用2SK30のIDSSが約2mAなので、カレントミラー抵抗を110Ω、100Ωを組み合わせて、R26の500Ω半固定抵抗を180Ωに調整すれば、アイドル電流が10~15mA程度になりました。
【入力のバランス/アンバランスの切換え】
通常はバランス入力で使っていても、アンバランス出力機器からの入力で使いたい時が生じます。
そのためRCA端子からアンバランス入力もできるような切換を付けました。
XLR3端子のCOLDである3ピンを切換スイッチに配線し、RCAのGND側と切り替えた出力をCOLD側の4連ボリュームに繋ぎます。
完成したヘッドホンアンプを、アンバランス入力、バランス出力で出音の確認をしました。
とても明るい音です。
高橋真梨子さんが若い時のfor youを聴きましたが、鳥肌が立つくらいの雰囲気感です。
JAZZライブの臨場感も素晴らしいと思います。ベースの迫力、ボーカルの粒々が生々しく響きます。
・失敗談1
バランス型アンプの歪率計測は私のアンバランス型入出力機器では計測できません。
今回のヘッドホン(ライン)アンプは出力電圧が低いので、入力をアンバランス型発振器出力をバランスに変更するアンプ、アンプからの出力をバランスからアンバランスに変換するアンプを用意してみました。
オペアンプを使い自作するのも良いのですが時間がかかるので、共立エレショップが販売しているキット基板2種を使ってみました。
アンバランスtoバランス変換はこちらのものでTI社のラインドライバIC「DRV134PA」を使ったものです。
バランスtoアンバランス変換はこちらのもので同様にTI社 INA2134PAを使ったものです。
さて計測を・・・ と始めましたが、歪率がが10~20倍も高い値を示します。色々調べてみると電源(ACアダプタからのDC12Vを分圧して±電源としている)から何かが回り込んでいるような低周波系のノイズがあります。
電源に電池を使ってみるのも一考ですが、今回の計測には間に合いませんでした。
そんな訳で歪率データはLTSpiceでの計算結果です。
.step vin=1(1V入力)
Fourier components of V(out1,out2)
DC component:0.000208369
Harmonic Frequency Fourier Normalized Phase Normalized
Number [Hz] Component Component [degree] Phase [deg]
1 1.000e+03 3.882e+00 1.000e+00 179.94ー 0.00ー
2 2.000e+03 2.425e-04 6.246e-05 -96.33ー -276.27ー
3 3.000e+03 9.837e-04 2.534e-04 178.18ー -1.76ー
4 4.000e+03 1.661e-05 4.280e-06 -37.69ー -217.63ー
5 5.000e+03 1.004e-04 2.586e-05 -124.17ー -304.11ー
6 6.000e+03 3.157e-05 8.132e-06 68.02ー -111.93ー
7 7.000e+03 7.451e-05 1.919e-05 -7.74ー -187.68ー
Total Harmonic Distortion: 0.026314% (歪率THD-Nは0.0263%)
Measurement: result
step RMS(v(out1,out2)) FROM TO
11 2.7449 0 0.1 (出力は2.74Vrms = 100mW at 75Ω)
・失敗談2
このアンプは当初、ダーリントン接続方式で好成績だった、2段目差動出力の負荷抵抗を廃止する回路でシミュレーションしていました。シミュレーションでは何ともなかったのですが、実機を作ってみるとアイドル電流の再現性が乏しい、過大電流が流れる等のトラブルが出ました。
よって急遽、負荷抵抗を取り付けました。
薄赤く塗ったところが追加した負荷抵抗620Ωです。これに対応して初段差動増幅の電流も約2倍に増やしてます(と言うよりも、負荷抵抗を外したことで初段差動増幅の電流値が少なくなっていた。作動ラインがかなり寝ていて不安定だった?)
冒頭の回路図は修正後のものです。
・・・色々ありましたが、本器は本日嫁入りです。
今回はそれのリベンジとも言える、バランス型DCヘッドホンアンプの製作です。
私のバランス型アンプを多数使って頂いている方からの依頼品です。
【外観・前】

左からパワースイッチとLED青、XLR5のバランス型ヘッドホン出力端子2個並列、4連ボリュームのノブです。
使用したアルミケースは、タカチOS49-20-23(高さ49mm、幅230mm、奥行き200mm)です。
【外観・後】

同じく左から、バランス入力端子XLR3、バランス/アンバランス入力切換スイッチ、アンバランス入力RCA端子、ヒューズ及びDC15入力ジャック、アンバランス出力RCA端子
即ち、入力/出力共にアンバランス/バランスが使えるヘッドホンアンプになります。
【内部の配置】

手前左がオペアンプで中点電圧ゼロを修正するレールスプリッタ電源基板です。35V/4700μFの電解コンデンサをプラス側、マイナス側、そして±両極を跨いだ部分に入れています。
奥側左右に若干オフセットしてアンプ基板がL,R分並んでいます。
外寸高さが49mmのケースなのですが、内寸高さは37mmしかありませんでした。よって電解コンデンサが寝ています。
【ケースへ端子配置の設計図】

外寸の割に内寸がかなり狭くなるケースです。高さ49mmの上サイズが70mmと21mmも大きくなるので、プロポーションから考えてこれを選択しました。結果、内部のコンデンサは横置きになりましたが、アンプケースとしてはバランスの取れたプロポーションになっていると思います。
【回路図】

LTSpiceの回路図です。
この回路の基本は金田さんのインバーテッド・ダーリントン接続のヘッドホンアンプをベースにバランス化したものです。
金田さんの基本回路と大きく異なるのは、初段差動増幅に使っている定電流回路です。
金田式の場合、ここにはJ-FET1個と抵抗1個を組み合わせたもので、FETのIDSSに依存(選別?)します。

上図回路は定電流用FETに調整抵抗を付け、それをカレントミラー回路で分流しています。
そうすることで、持っている定電流用FETに合わせたカレントミラー抵抗選択でかなり楽に終段のアイドル電流調整が可能になります。上図の例では定電流用2SK30のIDSSが約2mAなので、カレントミラー抵抗を110Ω、100Ωを組み合わせて、R26の500Ω半固定抵抗を180Ωに調整すれば、アイドル電流が10~15mA程度になりました。
【入力のバランス/アンバランスの切換え】
通常はバランス入力で使っていても、アンバランス出力機器からの入力で使いたい時が生じます。
そのためRCA端子からアンバランス入力もできるような切換を付けました。

XLR3端子のCOLDである3ピンを切換スイッチに配線し、RCAのGND側と切り替えた出力をCOLD側の4連ボリュームに繋ぎます。
完成したヘッドホンアンプを、アンバランス入力、バランス出力で出音の確認をしました。
とても明るい音です。
高橋真梨子さんが若い時のfor youを聴きましたが、鳥肌が立つくらいの雰囲気感です。
JAZZライブの臨場感も素晴らしいと思います。ベースの迫力、ボーカルの粒々が生々しく響きます。
ピアノの弾け具合も逸品です。
・失敗談1
バランス型アンプの歪率計測は私のアンバランス型入出力機器では計測できません。
今回のヘッドホン(ライン)アンプは出力電圧が低いので、入力をアンバランス型発振器出力をバランスに変更するアンプ、アンプからの出力をバランスからアンバランスに変換するアンプを用意してみました。

オペアンプを使い自作するのも良いのですが時間がかかるので、共立エレショップが販売しているキット基板2種を使ってみました。
アンバランスtoバランス変換はこちらのものでTI社のラインドライバIC「DRV134PA」を使ったものです。
バランスtoアンバランス変換はこちらのもので同様にTI社 INA2134PAを使ったものです。
さて計測を・・・ と始めましたが、歪率がが10~20倍も高い値を示します。色々調べてみると電源(ACアダプタからのDC12Vを分圧して±電源としている)から何かが回り込んでいるような低周波系のノイズがあります。
電源に電池を使ってみるのも一考ですが、今回の計測には間に合いませんでした。
そんな訳で歪率データはLTSpiceでの計算結果です。
.step vin=1(1V入力)
Fourier components of V(out1,out2)
DC component:0.000208369
Harmonic Frequency Fourier Normalized Phase Normalized
Number [Hz] Component Component [degree] Phase [deg]
1 1.000e+03 3.882e+00 1.000e+00 179.94ー 0.00ー
2 2.000e+03 2.425e-04 6.246e-05 -96.33ー -276.27ー
3 3.000e+03 9.837e-04 2.534e-04 178.18ー -1.76ー
4 4.000e+03 1.661e-05 4.280e-06 -37.69ー -217.63ー
5 5.000e+03 1.004e-04 2.586e-05 -124.17ー -304.11ー
6 6.000e+03 3.157e-05 8.132e-06 68.02ー -111.93ー
7 7.000e+03 7.451e-05 1.919e-05 -7.74ー -187.68ー
Total Harmonic Distortion: 0.026314% (歪率THD-Nは0.0263%)
Measurement: result
step RMS(v(out1,out2)) FROM TO
11 2.7449 0 0.1 (出力は2.74Vrms = 100mW at 75Ω)
・失敗談2
このアンプは当初、ダーリントン接続方式で好成績だった、2段目差動出力の負荷抵抗を廃止する回路でシミュレーションしていました。シミュレーションでは何ともなかったのですが、実機を作ってみるとアイドル電流の再現性が乏しい、過大電流が流れる等のトラブルが出ました。
よって急遽、負荷抵抗を取り付けました。

薄赤く塗ったところが追加した負荷抵抗620Ωです。これに対応して初段差動増幅の電流も約2倍に増やしてます(と言うよりも、負荷抵抗を外したことで初段差動増幅の電流値が少なくなっていた。作動ラインがかなり寝ていて不安定だった?)
冒頭の回路図は修正後のものです。
・・・色々ありましたが、本器は本日嫁入りです。
代替FET・2SK2145 でぺるけ式もどきヘッドホンアンプの製作(基板完成)
FET 2SK170-BLの代わりに使えそうな 2SK2145-BL で、ぺるけ式もどきHPA回路を 7.4V定格電圧の Li-ion電池用に定数を変更したHPAを設計しました。
このモックアップしたユニバーサル基板でもそこそこの性能だったので専用基板を作ってみました。
【回路図】 再掲載
【基板図】 定数部分の拡大図です
【できてきた基板】 表面実装部品を搭載済み、頒布予定の状態です。
お遊びで青いレジストにしてみました。元々、少しくすんだような青色でしたが、リフローの熱で更に深い青になったように思えます。
回路図ではダイヤモンド・バッファでNPN、PNPトランジスタを2個ずつ、計4個使いますが、基板ではDualトランジスタを使うので、かなりシンプルな構成に見えます。
【部品を実装した基板】
入・出力:各2本、負帰還:2本の抵抗はチップ抵抗ではなく、1/4W金属皮膜抵抗を使います。
見えてるコンデンサは電源用では無く出力のDCカット用です。表面実装型ですが、普通の差し込み式も使えます。
電池から直接給電しますので電源コンデンサは割愛します。
入力・出力ジャック、2連ボリューム、2回路2動作スイッチ、電源パイロット用LEDを付ければ完成です。
尚、使用したLi-ion電池は850mAh品が欠品しているので、500mAh品を載せています。
【回路動作のチェック】
このHPAは調整するところが全くありません。
チェックするとすれば、出力抵抗10Ω両端の電圧差=アイドル電流を計測することです。
LI-ion電池の標準電圧7.4Vで10.6mA程度になるよう設計してあります。満充電の8.4Vでは14mA程度流れるでしょう。
(差分電圧は、*mAx10倍(mV)です)
【完成品の歪率、出力】
凡例の上から
・青 実線:ぺるけ式オリジナル回路の 2SK170-BL を使い、規定の12V電圧で試作した機器
・橙 破線:このオリジナル回路の 2SK170-BLを、2SK2145-BL に換装したもの(電源12V)
・赤 実線:本器= 2SK2145-BL を使い、電源を Li-ion電池(7.4V)にしたもの
・水 実線:私の計測器の歪率を計測したもの (これが計測機器のゼロレベルに相当します)
本器(赤)を他のデータに比較することで説明します。
1.出力電圧 0.13Vrmsまでは ぺるけ式オリジナルと同等の歪率です。
2.それ以上は出力アップと共に暫時増加しますが、1%歪率で 0.95Vrmsの出力がありシミュレーション通りです。
この出力電圧をパワーに換算すると12mWあり、ヘッドホンアンプとして十分な出力です。
3.ぺるけ式の歪率カーブは、0.1~0.2Vrms近辺で 0.015% 程度まで下がるのですが、
本器は0.03%が下限です。
この原因は私の計測器の最低計測値が水色線のような特性になっていることに起因しているようです。
【出音】
いつも思うのですが、ぺるけ式は全体のバランスが良く心地よい音ですね。
決してどこかを誇張することは無く、繊細なところまでしっかりと鳴ってくれます。
これがスタジオマスター機器に採用されている所以なのでしょうね。
聴き込めば聴き込むほどに、音楽の楽しさ、嬉しさ、陶酔感が感じられるます。やはり逸品です。
素晴らしいです。
このモックアップしたユニバーサル基板でもそこそこの性能だったので専用基板を作ってみました。
【回路図】 再掲載

【基板図】 定数部分の拡大図です

【できてきた基板】 表面実装部品を搭載済み、頒布予定の状態です。

お遊びで青いレジストにしてみました。元々、少しくすんだような青色でしたが、リフローの熱で更に深い青になったように思えます。
回路図ではダイヤモンド・バッファでNPN、PNPトランジスタを2個ずつ、計4個使いますが、基板ではDualトランジスタを使うので、かなりシンプルな構成に見えます。
【部品を実装した基板】

入・出力:各2本、負帰還:2本の抵抗はチップ抵抗ではなく、1/4W金属皮膜抵抗を使います。
見えてるコンデンサは電源用では無く出力のDCカット用です。表面実装型ですが、普通の差し込み式も使えます。
電池から直接給電しますので電源コンデンサは割愛します。
入力・出力ジャック、2連ボリューム、2回路2動作スイッチ、電源パイロット用LEDを付ければ完成です。
尚、使用したLi-ion電池は850mAh品が欠品しているので、500mAh品を載せています。
【回路動作のチェック】
このHPAは調整するところが全くありません。
チェックするとすれば、出力抵抗10Ω両端の電圧差=アイドル電流を計測することです。
LI-ion電池の標準電圧7.4Vで10.6mA程度になるよう設計してあります。満充電の8.4Vでは14mA程度流れるでしょう。
(差分電圧は、*mAx10倍(mV)です)
【完成品の歪率、出力】

凡例の上から
・青 実線:ぺるけ式オリジナル回路の 2SK170-BL を使い、規定の12V電圧で試作した機器
・橙 破線:このオリジナル回路の 2SK170-BLを、2SK2145-BL に換装したもの(電源12V)
・赤 実線:本器= 2SK2145-BL を使い、電源を Li-ion電池(7.4V)にしたもの
・水 実線:私の計測器の歪率を計測したもの (これが計測機器のゼロレベルに相当します)
本器(赤)を他のデータに比較することで説明します。
1.出力電圧 0.13Vrmsまでは ぺるけ式オリジナルと同等の歪率です。
2.それ以上は出力アップと共に暫時増加しますが、1%歪率で 0.95Vrmsの出力がありシミュレーション通りです。
この出力電圧をパワーに換算すると12mWあり、ヘッドホンアンプとして十分な出力です。
3.ぺるけ式の歪率カーブは、0.1~0.2Vrms近辺で 0.015% 程度まで下がるのですが、
本器は0.03%が下限です。
この原因は私の計測器の最低計測値が水色線のような特性になっていることに起因しているようです。
【出音】
いつも思うのですが、ぺるけ式は全体のバランスが良く心地よい音ですね。
決してどこかを誇張することは無く、繊細なところまでしっかりと鳴ってくれます。
これがスタジオマスター機器に採用されている所以なのでしょうね。
聴き込めば聴き込むほどに、音楽の楽しさ、嬉しさ、陶酔感が感じられるます。やはり逸品です。
素晴らしいです。