金田式もどきDCヘッドホンアンプ・リニューアル(その3:製作)

角型のリチウム・イオン電池に換装する、金田式もどきDCヘッドホンアンプ基板ができてきました。
今回もseeedで作り、Fedexで送ってもらったので、8月1週には到着していたのですが、トラ技HPAで遊んでいたので製作するのが遅れておりました。

【基板表】
HPA_kane_DC_New_Bat_17.jpg

基板上部を延長させ、そこに角型Li-ion電池2個を貼り付けるエリアを設けています。
その左側にバッテリ端子接合穴と充電用microUSB端子が付きます。

【基板裏】
HPA_kane_DC_New_Bat_18.jpg

Li-ion電池の裏側に、その過放電保護ICと充電IC回路が付きます。高さが1.5mm程度なので裏でもOKです。

【完成して充電中です】
HPA_kane_DC_New_Bat_21.jpg

今回最も確認したかったのが、充電LEDを高輝度品から通常品に替えたことによって、充電ON-OFFの点灯状態が明瞭に変わるかどうかです。上の写真が充電中です。電池電圧3.8Vの50%程度放電した状態から充電しています。赤いチップLEDが明るく点灯しています。

【片方の充電が終わりました】
HPA_kane_DC_New_Bat_22.jpg

1時間半程度経過して片側(上側)の充電が終わった状態です。うっすらと点灯していますが、明度はしっかり下がっています。高輝度LEDを使うとこれほど明度に差が付きませんでした。これでOKでしょう。

【歪率計測結果】
HPA_kane_DC_New_Bat_15.jpg

金田式はアンバランス型出力なので、WaveSpectraで計測できます。
最低歪率 0.04% THD at 0.25Vrms(17mW)、最大出力 1.6Vrms(=2.2Vp-p、71mW at 36Ω) です。

私の歪率計測機器の限界は0.03% THD のようなので、上のグラフの0.04% 以下に下がらないのは、この金田式もどきアンプの特徴のような気がします。0.3Vrms 近辺からじわじわと上がって行く傾向は、この金田式もどきだけではなく、本家の金田式でも同じような特性だったのを思い出しました。

【周波数特性】
HPA_kane_DC_New_Bat_16.jpg

低域は5Hzで2.5dB程度下がる傾向にあります。高域は問題ありません。100KHzまでフラットです。

【出音】
金田式もどきDCヘッドホンアンプをあんなに沢山作って頒布したのに手元に一台も残ってなく、久しぶりに音を聴きました。Li-ion電池の充電試験をしたかったので、昨夜10時間程度放電動作させておきました。よって、初期エージングは終了しています。

なるほど、なるほど、この音色です。バランス型ヘッドホンアンプに迫るものがあります。そして、「妖艶」なのです。

低域の膨らみのある響き、高域の澄んだ中にもふくよかさが残っているような、そんな感じがする音です。



【久しぶりの失敗談】

左側のアイドル電流が出ません。 ・・・いや、対称型の出力段で片方が流れると片方が流れなくなります。不安定です。加熱します。
・・・小さなDualトランジスタを全部交換しても治りません。・・・丸一日経過しました。

・・・あろうことか、パターンミスでした。

HPA_kane_DC_New_Bat_19.jpg

実体顕微鏡で覗いたパターンです。黒丸印点で 横に走る太い出力ラインに、上から来たGND結線がショートしてます。乗り越えなければならない部分のホール位置を間違えてショートさせてしまったようです。

HPA_kane_DC_New_Bat_20.jpg

パターンカットしジャンパー線を飛ばしました。0.6mmのリード線が異様に太く見えます(笑)


基板は10枚作りました。おまけが1枚付いてました。

在庫部品を当たってみたら、充電ICが6台分あります。ケースも6個あります。他は沢山あります。
リチウムイオン電池は国内通販で購入可能です。

欲しい方がおられましたらコメント欄に書込みください。こちらと同等費用で頒布を検討します。





トラ技SPECIAL掲載のHPA(その2:1.5V電池2本で超エコ&素晴らしい音)

前回の記事に続き、トラ技SPECIAL 2017Sumer No.139 に掲載のヘッドホンアンプの2例目を作ってみたので、LTspiceと製作したものの計測結果を載せます。

例によって回路の姿は載せますが、部品定数をブラインドしますので、作ってみようと思われる方は本を参照してください。

このHPAもフル・ディスクリートです。記事は第4章 強力ドライブ!ポータブル・ヘッドホン・アンプ(小川敦 氏) です。

私がとても興味が沸いたのは、拙作HPAシリーズが初期のころに作っていた、1.5V電池2本で動くということです。このアンプも1.5V電池2本で動き、実用的には0.9Vになっても動作するという点です。

【LTSpiceに載せた回路図】
HPA_discrete_2.jpg

この回路をマクロに見てみると、カレントミラー負荷の差動増幅の出力を上下対称のカレントミラータイプの終段増幅回路で増幅すると見て取れる。この差動増幅と終段増幅の間にレール・ツー・レール出力段を設けた構成とあります。

回路構成の機微に関しては記事本文を参照願いたいが、上下対称増幅回路+レール・ツー・レール出力段の組み合わせが1.5V電池2個の低電圧でも素晴らしい性能になっているようです。

記事にもLTSpiceシミュレーション結果がTHD 0.02% とありますが、上図で私が行ったのシミュレーションでも、THD 0.024%(入力0.4Vp-p、出力 0.93Vrms at 36Ω)となり、24mWの十分な出力があります。

HPA_discrete_1_2.jpg  

この図は0.4Vp-p入力を行って波形を表示させたものです。黄緑の波形が出力で±1.3Vp-p程度あり、赤の線が1.5V電池から流れる電流波形で、ピークは38mAありますが、平均では何と2.7mA程度しか無く、相当な省エネHPAであることが示されます。記事でも2.7mAとあったので半信半疑でシミュレーションしたものです。アイドル電流を流さない回路なので省エネなのですね。

それでは早速作ってみました。
【基板図・eagle】
HPA_discrete_3.jpg
トランジスタを32個も使うので、100x75mmの eagle std サイズ基板を使うことにしました。スペースに余裕があるので入出力ジャックや2連ボリュームも付けます。
トランジスタのペア特性選定方法について、元記事にも説明がありますが、私はhFEで選定しました。使用したトランジスタ 2SA1015GR も 2SC1815GR もhFEが260~280のロットからhFEを計測して並べます。差動増幅のペア特性が重要な部分は最大偏差5以内のものを使いました。その他は±5以内にしました。

【試作品】
HPA_discrete_6.jpg

手持ちの抵抗を使ったので、炭素、金皮、サイズがバラバラです。
入力にコンデンサが入っていますが、多分不要でしょう。

単三アルカリ電池を2個付けました。電流を計測したいので40mΩ±1%のチップ抵抗を電源線内に挿入しています(赤〇部

1kHzサイン波を入力してチップ抵抗電位差を計測しました。私のテスターでやっと計測できる 0.1mV でした。電流に換算すると 2.5mA です。シミュレーション結果を再現しています。
消費電流が2.7mAということは、市販アルカリ電池で700時間とか1000時間の電池ライフになります。これはすごいです。

参考までに出力端子のオフセット電圧は、左0.0mV、右-0.2mV でたいへん良好でした。

【歪率】
HPA_discrete_4.jpg

波形の繋がりが、ややギクシャクしてますが(これは歪率計測のWaveSpectra が示す THD の値がバラツクので、その読み取りバラツキも入っているものです)、最小歪率は 0.023% at 1Vrms です。シミュレーション結果の 0.024% at 0.93Vrms とほぼ同等の結果を示しました。これは素晴らしいことです。

【周波数特性】

HPA_discrete_5.jpg

いやいや、これも素晴らしい結果です。何と、5Hz~100kHz 間が全くのフラットです。
(500kHzが少し上がっているのは位相補償コンデンサが330pに対して部品入手の都合で390pになっているせいかもしれません)


素晴らしい結果ですが、エージングのために一晩放置しました(こんな低電流でエージングなるのかな?サイン信号入れておけば良いのかな?とりあえず無信号です)
電池電圧は、1.559V が一晩経って 1.543V でした。

【出音】

エージングが進んだのか判然としませんが、その1:スーパーエミッタ に比較して、元気で活性の高い音色というのが第一の感想です。

何か気持ちが良い音がします。
ビブラフォンとベースが混在した楽曲は、綺麗に響くビブラフォンを中心に、かなり低域まで引っ張るベースが支えるワクワク感と広がり感があります。
女性ボーカルでは、歌う姿が目の前にあるような錯覚があります。
フル・オーケストラの様々な楽器が広がって定位している感覚があります。

多分ですが、ぺるけさんのFET差動HPAの歪カーブにあるように、出力レベルが上がってくると歪レベルが下がる傾向に似ています。もしかするとこのカーブが影響しているかもです。

尚、入力カップリングコンデンサの影響を排除するため直結してみてもこの音色感は不変でした。

いや、これは久々の大ヒットHPA と言えるでしょう。
是非、作ってみることをお勧めします。

HPA_discrete_7.jpg

あまりにも素晴らしい音なので、しばらくは使ってみたい。とりあえず簡単な透明プラスチックケースに入れました。電池は残念ながらケース内には収まりません。電源スイッチやLEDも付いてませんが・・・


------------- 2017/08/13 追記 -------------------
【基板をデザインしてみました】

「是非作ってみては」とは言ったものの、32個ものトランジスタをユニバーサル基板で配線するには相当の根性が要ります。自分でもそれを思うと挫けてしまいますね。

と思って、EAGLEで基板レイアウトをしてみました。

いつも使っているプラスチックケース・タカチ GHA7-2-9では、とても無理のようです。厚みは同じで単三電池2個のスペースも同じですが、基板の奥行きが20mmも長くなるケースがあります(GHA7-2-11)。ケースサイズの奥行きが9cm から 11cm に増えますが、ポータブル可能なサイズと思います。

HPA_discrete_8.jpg

手前が入出力と電源系です。電源と言っても、電池2本の接続端子と電源コンデンサ、そしてON-OFFスイッチと電源LEDがあるだけです。Li-ion電池を使うとすると、保護や充電ICが場所を取るので、乾電池2本というのはGoodです。

参考までに、電源コンデンサを付けなくとも、電池だけでかなりの性能が出ます。このブログの試作器には付いていません。

今回の配置では、できるだけチップ抵抗を使わず、音に影響がないところは1/6W炭素抵抗、入力や負帰還抵抗、Zebelフィルタ抵抗には1/4W金属皮膜抵抗が使えるようにしました。(なけなしの利休抵抗使おうかと・・・)
これならば簡単に半田付けができるので、「自分で作った感」が出るのでは思います。

良く見ると、今までは必ずあった可変抵抗器がありません。A級動作のHPAではアイドル電流調整のため必須の部品でしたが、このHPAには必要ありません。ペアトランジスタのhFE選別をしっかりやれば、再現性の良いHPAができると思います。

意外に場所を取るのがZobelフィルターのコンデンサーです。少し幅の広いものが付けられるスペースを確保しました。

---------------------- 2017・8・19 追記 ----------------------

【従来ケース用基板サイズに押し込みました】

HPA_discrete_9.jpg

やはり縦寸法が11cmに増えるのはコンパクトが身上の私としては抵抗があるので・・・、従来のケース・タカチ・GHA7-2-9 が使える基板に押し込んでみました。

これを行うためのスペース縮小には以下の2つが必要でした。
・電源用電解コンデンサを外す。試作器にも付いてませんが電気的特性や音感に不足ありません。
・抵抗は縦置きに装着する。

かなり苦しい配置ですが、設計上は収まりました。

この図の部品番号を、トラ技SPECIAL 2017 Summer No.139 の元記事 P49 図28 の回路図に記載されている部品番号に合わせたものがこの基板図になります。

HPA_discrete_10.jpg

但し元図に於いて、抵抗の場合 「R番号」となっているものが基板図では左右chあるので、左chは 「RL番号」、右chは「RR番号」としてます。
トランジスタも同様に「Tr番号」を、「TL番号」「TR番号」としています。
コンデンサは「C番号」が「CL番号」「CR番号」です。

トランジスタのTr1とTr2 (上図では、TL1とTL2、TR1とTR2) は熱接合ですのでぴったり合わせていますが、他はケース装着の大きなホールを避けるので、左右chの配置がかなり違っています。

こんな基板があれば、元記事を参照しながら作ってみることが楽になるのではないでしょうか?







トラ技SPECIAL掲載のHPA(その1)

トランジスタ技術SPECIAL誌 2017 Summer(No.139) 版に、面白そうなヘッドホンアンプの記事が掲載されています。

いずれもディスクリート構成なので、本誌のメインテーマ 「トランジスタ回路の読み解き方&組合せ方入門」の勉強には最適の例題になっています。CQ出版社で販売していますので是非お読みになってください。

私なりに遊んでみた結果を中心に記載します。回路も掲載しますがその定数はブラインドします。

その1は、「無帰還でひずみ0.003%以下!フルディスクリート・ヘッドホン・アンプ」(加藤大 氏)です。無帰還、0.003%に惹かれ、シミュレーション、ユニバーサル基板で製作、歪率の計測、基板設計までやってしまいました。

【回路】
記事を書くのに回路図が無くては説明ができないので、本誌掲載の回路でLTSpiceの検証を行った回路図を掲載します。但し、抵抗定数はブラインドしています。元記事を参照願います。

HPA_mukikan_1.jpg

この回路の最大の特徴は、Q5、Q12のトランジスタとQ4の定電流を組み合わせた「スーパー・エミッタ・フォロア」という回路の部分です。記事によればこの回路の素は、MOSトランジスタの回路技術にあるスーパー・ソース・フォロアをMOSをバイポーラ・トランジスタに置き換えたものと言うことです。詳細(その仕組みと性能)は元記事を参照ください。

その基本回路に対し、定電流回路の追加、インバーテッド・ダーリントンTrの追加、更にこれらを上下に完全対称とした回路が上図となる との説明です。

これらの回路を構成するトランジスタの総数は、左右チャンネル合計で 何と!26個にもなります(12+12+定電流2)

LTSpiceでのシミュレーション、試作を行うに当たり、記事掲載の回路を一部変更しています。回路左は定電流回路ですが、元記事ではここに300μAのCRDを入れていますが、CRDは過去にノイズがあった記憶があり、今回はJFET(Idss0.95mA)と抵抗の組み合わせで300μA流れるようにしています。尚、この定電流回路は左ch、右chに共用できます。

Q12,Q13 及び Q2,Q7 は安定した定電流特性を得るため熱接合させる必要があります。

【シミュレーションの歪率計算結果】
LTSPiceの計算結果は素晴らしいものです。最大入力1Vp-pで出力1Vp-pです(バッファアンプです)。最大歪量は入力レベルで大きく変動しません。入力1Vp-pで歪率は何と! 0.00048%でした


備忘録2件:

1.
使用しているトランジスタは、一般的で私も多数所有している 2SC1815、2SA1015 にしましたが、元記事では 2N3904、2N3906 が使用されています。前者は東芝オリジナルですが、最近は東芝製は入手が難しくなって来たようで、セカンドソース品が売られています。但し、留意すべき点は2SC1815 と、2N3904 ではピン・アサインが異なります

2.
私は 2SC1815、2SA1015 でシミュレーションしましたが、当初使っていたモデルでは猛烈な発振が起こりました。成すべきなく、トラ技のモデルを使ったところピタリと発振が止まりました。

(発振あり)
.model Q2SC1815 NPN(Is=2.04f Bf=160 Br=3.377 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=6 Ne=1.5 Ise=0 Ikf=20m Xtb=1.5 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=1 Cjc=1p Mjc=.3333 Vjc=.75 Fc=.5 Cje=25p Mje=.
(発振無し)
.MODEL QC1815 NPN  (IS=4E-14 BF=170 BR=3.6   VA=100 IK=0.25 RB=50 RC=0.76 CJC=4.8p CJE=12p TF=0.63n TR=25n)

私のスキルではどこが問題なのか判りません。実際に試作してみると、(発振無し)を使っても良いようです。

【試作】
トラ技の記事にもユニバーサル基板で組んだ写真が掲載されていますが、ここでは配置と配線図を記載します。
PasS というツールで構成した基板図の画像です。

HPA_mukikan_9.jpg
赤い線は部品面の配線、青い線はハンダ面の配線です。
注意:これはトランジスタに2SC1815、2SA1015 を使った場合の配線図です。2N3904、2N3906 ではベースとコレクタ位置が入れ替わっています。

HPA_mukikan_4.jpg

ユニバーサル基板に設置した回路です。

【音出し1】
やはり、何といっても一番先にやってみたいのは、その音出しです。
リチウムイオン電池2個を使って音出ししました。

HPA_mukikan_3.jpg

エージングもしてない初期の音ですが、何かとても素直な音感です。素直と言うと低音も高音も出ないような響きですが、そうではありません。低音、高音をチェックすべき楽曲でテストしてみましたが、いずれもパフォーマンス豊かで綺麗な発音です。

この音に惚れました。早速ケースに実装してみます。

HPA_mukikan_5.jpg

いつも使っているケースに実装してみました。この薄さですのでリチウムイオン電池は内部に入れられません。
入出力端子やボリューム、そして充電回路やリチウム電池保護回路はV6-2の基板を切り出して流用しました(実はこの改造が大変でした)

HPA_mukikan_6.jpg

充電LEDの点灯もOKです。充電中は高輝度に点灯します。

HPA_mukikan_7.jpg

充電が終了すると減灯します。問題の改善ができました。
標準電圧LED(1.8-2.0V)が適切で、高輝度LEDは充電ICと特性が合いません。

【音出し2】
充放電テストを兼ねて1昼夜近くエージングした音出しテストをしました。

HPA_mukikan_10.jpg

エージングと共に明瞭度が増しました。これはエージングで経験する最大の変化です。
全体的な音の感じは落ち着きがあります。長時間聴いていても疲れない感じです。
しかしながら、低音や高音の伸びにも不足感は全くありません。

【実測歪率】
アンバランス出力ならば WaveSpectra を用いて歪率の計測ができます。

HPA_mukikan_11.jpg

シミュレーションしたのは1Vp-p入力まででした。
ここでは1.1Vp-pまでテストしました。最大出力は0.8Vrms(18mW at 36Ω)です。
最低歪率は 0.04% 程度を示していますが、私の歪率計測システムのノイズ系が0.03%程度あるのでかなりの低歪であるのは納得できます。

【周波数特性】
HPA_mukikan_12.jpg

0dB領域が、20Hz~40KHzです。-3dB範囲ならば、5Hz~108kHz範囲と良好な特性を示します。


【基板の検討】
出音の素晴らしさに感動して、いつものケースに実装できるか、基板の成立性を検討してみました。

HPA_mukikan_8.jpg

先に採用を考えている角型Li-ion電池 850mAh (50x34x5t)では部品エリアが狭く、少しサイズの小さい 650mAh (40x30x5t) にすれば基板上下で4mmのエリアが増えるので、それで設計が成立しました。
Li-ion電池使用を前提にしているので、供給電圧は±4Vです。 Li-ion電池は内部抵抗が低いので瞬発的な電力供給ができます。よって作例と同じように電源コンデンサを排除しています。



金田式もどきDCヘッドホンアンプ・リニューアル(その2:基板デザイン)

どのケースに入れようかと様々に悩みましたが、それらにはそれぞれ一長一短があり、結局のところ今までと同じタカチ・GHA7-2-9Dシリーズを使うことにしました。

【回路図・一部分】
先のブログで述べた、初段定電流回路をカレントミラーにする回路は、このアルミケース・バージョンで既に採用しているので実績があります。
このアルミケース・バージョンでは、「金田式回路に」対して
・2段目差動出力の負荷抵抗を削除して、「インバーテッド・ダーリン接続の変形」回路にしていた
(言い訳になりますが、インバーテッド・ダーリントン変形回路の方が、14%ほど高出力)
・終段増幅前のドライバー段を割愛していた。

即ち、金田式もどき回路から遠く離れてしまっていました。歪率のLTSpiceシミュレーションや実測特性では良好だったのですが、「音色」となると変わっていた可能性があります

そこで、「オリジナルの金田式DCヘッドホンアンプ回路に近づける」 (定電流はカレントミラーに変更する)
となると、こちらで大ヒットした回路カレントミラー定電流ロングライフLi-ion電池となります。

HPA_kane_DC_New_Bat_10.jpg

【基板図1】
今回も赤い基板で作ってみようと思います。

HPA_kane_DC_New_Bat_8.jpg

これまで電池ケースにLi-ion電池を収納していた部分へ基板を延長し、この部分に下側にLi-ion電池保護ICと充電IC回路を付けます。上側のフラットスペースに5mm厚さの角型Li-ion電池を重ねて2個貼り付けます。
左側に8mm程のスペースがあるので、そこに microUSB 充電端子、充電LED、Li-ion電池接続端子を設けました。

HPA_kane_DC_New_Bat_9.jpg

基板のパターン図です。かなり複雑です。

GNDラインを真ん中に通せばすっきりするのですが、動作時と充電時に左下スイッチがGNDラインとの切り替えを介するのと、中央を通すための障害物が多いので、左側を通して電池端子とスイッチを接続しています。

電源ラインや音響出力パワーラインは0.8mm若しくは1.0mm幅にして十分な瞬時電流に耐えるようにしています。

【回路定数の検討】
2段目差動増幅からドライバー段への接続を、インバーテッド・ダーリントンの変形回路を止めて、負荷抵抗方式にしたので、差動増幅へ流れる定電流値の見直しが必要になる。
カレントミラー定電流回路の良いところは、定電流に使うFETのIdssに制約があっても、カレントミラーの抵抗値比を変えることで定電流値の大きな調整ができることにあります。 (最も良いところは0.7V程度の低い電圧で動作することにありますが)

今回使用する定電流用FETは2SK208-Oで、そのIdssは約0.95mA程度です。これは最大流せる電流なので、調整余裕度を割引き、その8割程度の0.78mAが定電流値になります。この電流値で初段差動増幅回路の定電流値0.59mAx2倍=1.18mAを流すために、カレントミラーの抵抗比 150Ω/90Ωで増幅します。

LTSpiceでシミュレーション
HPA_kane_DC_New_Bat_11.jpg

J4 J2SK30_095とあるのが 2SK208-O の 0.95mA Idss 相当品です。カレントミラー Q8 Q7 R18 R1 の組み合わせで構成し、R17(実際は半固定抵抗)で定電流レベルを調整します。この回路ではR17を140Ωにすると終段増幅回路のアイドル電流が約11mAになります。
(注:最初に掲載した回路図はシミュレーション前のものです)

この回路定数で歪率計算すると、通常使用されると思える 10mW出力での歪率は 0.006144%、最大出力は 59mW (1%歪率、36Ωインピーダンス)になります。

今回も seeed.comのFusin に発注しました。今もディスカウントの4.9$(通常9.9$、100x100mm、10枚)ですので、送料を+500円奮発し、EMSからFedex 便にしました。


次の課題は最も苦手な、「ケースをデザイン・シールで飾る」ことです・・・
具体的な内容は
1.どんなデザインにするか、これが最も大変
2.黒いケースに透明シールで鮮やかな発色を得るためには、塗色部ベースに白塗りをする技法修得
3.複数レイヤーで描いた画像を、複数個所に位置合わせしたコピーをすること

これらは Photoshop 6.0 を使って描くのですが、何せ古いソフト故に全く同じ操作例がWEBに載ってません。
こちらのHPAでシールを作ったのですが、あれから2年ぶりで行うことなのですっかり忘れてます・・・

シールの例
HPA_opamp_11.jpg

ヘッドホンの小さな絵を描いているのですが、黒バックに青色画像だったのでかすかにしか見えない失敗作でした。
文字も、もっとデザイン調でカラフルなものが良いですよね。




7.1ch対応バランス型DCパワーアンプの製作(その2:2chアンプ)

先に記載した7.1ch対応バランス型DCパワーアンプの2chバージョンを作りました。これで5ch作ったことになります。

アンプ基板の基本回路はこちらの記事と同じですので割愛します。

【内部配置】

AMP_kane_DC_BAL_11.jpg

先の3ch内蔵アンプに比較すれば収納余裕度は十分です。

右上がXLR3コネクタによるバランス入力で、手前の4連ボリュームに接続され、そこから左右アンプ基板のHot,Cold端子に接続されています。
前作と同じで、アンプ側にも電解コンデンサ 9900uF x ±2セットを備えています。
トランジスタの放熱は小さなヒートシンクとアンプケース下面で行っています。チャンネル当たり最大6Wですが、ハーフボリューム(それ以上は音が大きすぎて6畳部屋では限界)でケースがほんのりと温かくなる程度です。

【電圧とアイドル電流】

AMP_kane_DC_BAL_10.jpg

テスト動作させながら電源電圧(左)とアイドル電流(右:表示の4.5倍)を表示しています。
電源電圧は±両端で21.7V程度なので想定通りです。
アイドル電流は 64mA相当を示しています(中心で65mAセット、負荷によって若干変わるが50~75mA程度にある)

【3筐体セットの状態】

AMP_kane_DC_BAL_12.jpg

下から電源ユニット、3chアンプ(HIGH:2ch、CENTER:1ch)、2chアンプ(SURROUND)が重なっています。

AMP_kane_DC_BAL_13.jpg

更にこの上に2chアンプ(SURROUND BACK)が載る予定です。(電源出力コネクタ2個は未設置)




金田式もどきDCヘッドホンアンプ・リニューアル(Li-ion電池の変更)

金田式もどきDCヘッドホンアンプは、その独特の音色を維持しながら、軽量コンパクトで充電式の意匠に仕上げたことでかなりの高評価を頂きました。(こちらを参照ください

【参考外観】
HPA_v6_2_Liion_4.jpg HPA_v6_2_Liion_5.jpg

しかし、いまいち不満が残る3点がありました。

1.アイドル電流の調整がピーキー過ぎ、調整を間違えると異常発熱を起こす場合があった。
2.リチウムイオン電池の容量が少なく、8~10時間程度しか持たない。
3.真っ黒な躯体でいかにも武骨、音楽機器に不相応。

そこで以下の改良を検討中です。

【1.アイドル電流回路=差動増幅定電流回路の変更】
金田式はFETと調整抵抗1個で初段差動増幅の定電流を調整し、終段アイドル電流を決めています。
この回路は調整がピーキーなことと温度依存性が高いので、カレントミラー回路に変更します。

HPA_kane_DC_New_Bat_6.jpg

左下がカレントミラー定電流回路です。安定する動作電圧が0.7V程度と低いことがその安定度の一因です。
トランジスタが2個、抵抗が2個(片チャンネル)増えることが難点です。

【2.リチウムイオン電池の変更】
これまで使用してきたリチウムイオン電池は、14500型式の丸型でした。
電池ケースが使えるので扱いが楽でしたが、丸型ゆえに実容量が低かったです(公称900mAh、実力600mAh程度)

そこで検討したのがこの角型リチウムイオン電池です。50 x 34 x 5mm
このサイズならば2個重ねて電池ケース部分に入れられます。

HPA_kane_DC_New_Bat_7.jpg

公称値は印字に見えるように850mAhなので、14500電池の公称900mAhよりは少ないです。
でも、これまで何度も計測してきましたが、測ってみなければ判らないというのがこの世界です。

【充放電回路】
この電池は保護回路無しなので、過放電保護回路、充電回路などを付加する必要があります。
放電により容量計測も行いたいので、充放電回路を作りました。

HPA_kane_DC_New_Bat_2.jpg
過放電保護ICと、XC6802という充電ICを組み合わせます。動作切り替えはスイッチです。
放電(Load)は負荷抵抗80Ωに流れますので、この差分電圧で電流を計測します。

【放電計測】
HPA_kane_DC_New_Bat_4.jpg

上側に見えるのがLi-ion電池と充放電回路です。今は放電状態を計測しています。
先に作ったArduino CAN Sheild を流用し、ソフト変更で電池電圧と放電電流を計測し、
その結果をLCD表示、BluetoothでPC表示、そしてSDへcsvファイル記録しています。

参考:Arduinoマイコンでの計測ソフトはこちらを参照ください。
    ここで掲載しているArduinoプログラムに対して変更している点は

  if (!SD.begin(4)) { //  これを
  if (!SD.begin(10)) {  //  SDのCSピンが4から10に変更した

    outputValue1 = map(sensorValue1, 0, 1023, 0, 508);
    outputValue2 = map(sensorValue2, 0, 1023, 0, 508);
    outputValue3 = map(sensorValue3, 0, 1023, 0, 508);
   
    Voltage0 = outputValue0 / 100.00 ;   // 電池電圧単位(V)に変換
    Voltage1 = outputValue1 / 100.00 ;
    Ampare0  = outputValue2 / 10.00 ;    // 電池電流単位(mA)に変換
    Ampare1  = outputValue3 / 10.00 ;

これを

    outputValue0 = map(sensorValue0, 0, 1023, 0, 510);  // 510 は電源電圧実測値の 5.10Vを示す
    outputValue1 = map(sensorValue1, 0, 1023, 0, 510);
    outputValue2 = map(sensorValue2, 0, 1023, 0, 510);
    outputValue3 = map(sensorValue3, 0, 1023, 0, 510);
  
    Voltage0 = outputValue0 / 100.00 ;     // 電池電圧単位(V)に変換
    Voltage1 = outputValue1 / 100.00 ;
    Ampare0  = outputValue2 / 8.00 ;       // 電池電流単位(mA)に変換
    Ampare1  = outputValue3 / 8.00 ;       // 電流計測抵抗が80Ωなので8で除算

このように変えると動きます。

【放電による容量計測結果】
HPA_kane_DC_New_Bat_3.jpg

csvファイルで得た結果を、バッテリー電圧、放電電流、これを積算した電力で表示してます。
初期の設定電流はステレオ動作を考慮した50mAです(アイドル電流(15+5)mA x 2 + α)

この結果から、約19時間程度の電池ライフが期待できます。
電池の積算電力は公称値850mAhを超え、900mAh程度になってます。これは素晴らしいです。

【充電風景】
HPA_kane_DC_New_Bat_5.jpg

充電は600mA程度に設定しましたが、900mA程度流れ、2時間程度で完了します。少し電流を下げたほうが良いようです。
充電ICはこれまでと同じXC6802をを使っていますが、低電流でも点灯する最近の高輝度LEDよりも、従来型LEDの方が充電完了時に消灯してくれるようです。チップLEDの従来型特性品を選びましょう。

【充電特性】 2017/08/07 追記

HPA_kane_DC_New_Bat_12.jpg

Li-ion電池と保護回路の間に 20mΩの電流計測用抵抗を挿入し、その電圧差をオペアンプの差動電圧計測で100倍にし、Arduinoマイコンで計測しています。差動電圧のマイコン回路は以下の通りです。

HPA_kane_DC_New_Bat_13.jpg

上位電圧をV2に、下位電圧をV1に接続します。V₀=(V2-V1)x(R2-R1)なので、R1を10kΩ、R2を1MΩにすれば、電圧差を100倍ゲインで取得できます。

20mΩの電位差は充電初期には16mv程度でした。これを電流に換算すると800mA程度になります。充電に使っているIC、XC6802は付加抵抗値で充電電流を調整する機構を備えています。理論的には500mAになるはずですが、仕様規格最大の800mA流れています。

20mΩの初期電位差16mVはオペアンプで100倍増幅すると1.6Vになります。これを放電計測で示したArduinoマイコンで計測し、電位差を電流に直して表示したのが上のグラフです。初期800mAだったものが、0.8hr程度から下降し1.8hrで微小な充電電流であるトリクル充電に移行します。

しかし、データシートに掲載されているこのグラフに比較すると何か変です。

HPA_kane_DC_New_Bat_14.jpg
このグラフでは1.4hr程度で充電が終了するのに、私が計測したグラフでは1.8hrかかっています。もしかすると、充電電流の計測800mAは間違いで実際の真値は500mAなのかもしれません。
参考までに、このデータシートの電力を積算すると0.76mAhになります。私の計測した結果の電力積算は1.09mAhなので過大です。
これを800mAではなく500mAと仮定して電力積算すると0.68mAhになります。やはり電流計測値が過大のようです。

1つの電池が500mA充電ならば2個で1000mA、これならば一般の充電器でも間に合う電流容量と思います。


さて、金田式もどきDCヘッドホンアンプ・リニューアルの目途が立ちました。
角型Li-ion電池の収納を考え、基板設計もリニューアルしたいと思います。

・・・筐体の武骨解消は綺麗なシールを考えましょう。最も苦手な分野ですが・・・






おかげさまで、30万回ヒットありがとうございます!!

7月17日早朝に通算30万回ヒットを達成しました。 皆様、閲覧いただき大変ありがとうございました。

300000.jpg

2008年12月にこのブログを立ち上げ、8年7か月を経過しました。よくもまあ続いてこれたものです。

10万回毎の経過月数、ブログ更新数、月当たり更新数を数値化して見たら、なるほどと理解しました。

 0-10万回、43か月、169回、3.9回/月 (初期)
10-20万回、21か月、68回、3.2回/月 (中期)
20-30万回、36か月、73回、2.0回/月 (後期?)

この数値をじっと眺めていて、こんなことを思いました。

・初期は、オーディオ作りが面白いこともあって、3.9回/月も記事を書いていた。
 でも、新米ブログのヒットは少なく10万回まで43か月を要した。

・ヒット数が増えた中期は、記事の更新数は少し減ったが(3.2回/月)、初期の資産もありヒット数が倍増した。

・後期?は更新数が激減し(2.0回/月)たことでヒット数が半減となっている。

これではいけませんね(笑) 新ネタ発掘して、頑張りましょう。





ArduinoでCAN通信(その11:seeedでスペシャル基板を製作)

「ArduinoでCAN通信」シリーズも11回目になりました。8回目のここで構想していたスペシャル仕様の基板をseeed.comで作りました。
CAN通信の方法を様々に勉強したのですが、専用基板を作るのはコスト面で負担なので躊躇していましたが、seeed.comさんが日本語サイトを開設する際の格安キャンペーンという案内を頂き、それではと腰を上げることにしました。

seeed.comさんの日本語サイトはこちらです。100x100mm基板10枚で$9.9なのですが、今はキャンペーン期間なので何と$4.9です。600円以下で10枚もの基板が作れてしまいます。但し送料は+1,500円程度かかりますが、それでも2,100円で10枚作れるのは超魅力です。
(参考までに、これまで小生が作っていた基板屋さんでは、10倍超の費用です)

【seeedさんから届いた基板】
Arduino_CAN2_5.jpg

Arduino_CAN2_4.jpg

赤い色を選択しても標準価格です。とても綺麗にできています。

【今回作った基板の機能】

Arduino_CAN2_7.jpg

簡単に言えば、ArduinoマイコンとCANシールドを1枚の基板上に置いたものです。

・Atmega328P-AUを中央に配置し、I・OピンはArduino UNOと同じ位置になってます。
 このままでも十分に使えますが、ピン互換による拡張機能を想定してます。

・ブートローダ書込みのICSP端子、Arduino ISP書込み端子を備えます(書込み器接続は後述)

・MCP2551CANトランシーバ、MCP2515CANコントローラを表面実装してます。

・入出力のため、microSD、LCD(I2C)、Bluetoothを備えます。
 microSDは通信に関するアドレス、ID等を指定する等に使用する予定です。

・Bluetoothに隠れて見えませんが、ON-OFFできるDIPスイッチを3回路備えてます。
 このスイッチで動作機能の選定ができる様なプログラムでの対応を想定しています。

・電源は外部から5Vを供給する方式です。多様な電源選択を考えています。

・Atmega328Pは5V動作ですが、LCDやmicroSDは3.3V動作なので3.3Vの3端子レギュレータを備えています。
 Atmegaとの信号は前者は抵抗分圧、後者はFETを用いた変換を行ってます。

【ICSP端子でブートローダ書き込み】

Arduino_CAN2_2.jpg

ブートローダ書込みにはFT232RL USB-シリアル変換モジュール(秋月製)に配線を付け、ICSP端子に接続します。
配線やソフトの使い方は、こちらのページに詳細が記載されています。Windows10でも問題なく動作しました。

注意すべき点は、FT232RLのJ1ジャンパーを2-3端子間に接続しVCCを5Vにすることです。avrdude-GUIツールにエラーが出ます。当初気付かずに困りました。

【Arduino ISP書込み】

Arduino_CAN2_1.jpg

Arduino ISP 書込みには、同FT232RLを用いる。使用する端子は以下の図のようです。

Arduino_CAN2_8.jpg

メス4P端子を増設します。使用する端子は、GND,RXD,TXD,DTRです。FT232RL基板の裏側に直接付けても良いのですが、長さが短いので私は拡張基盤を間に入れています。

【動作例】

Arduino_CAN2_6.jpg

この図は、拡張ID仕様で最速の送信をしている状態を、Bluetooth受信したPC画面で表示している状態です。

右はプログラムを行ったArduino IDEです。
左上は、この機器から発したCAN通信文をBluetoothで載せて発信し、PCのBluetoothで受信しているリストです。約10mSec間隔で受信した通信文がかなりの速度で流れています。

左下にこの送信機器が見えます。Power LEDが白、CAN通信のINT LEDが赤(右)、BluetoothのLED(左下)が青、赤で点灯しています。


さてと、ここまで何ら問題ありません。

拡張IDのCAN送信で8800Byte程度なので、Atmega328Pのプログラム容量は約3倍残っています。
種々のCAN通信手段と、その通信パラメータをDIPスイッチで切り替えるプログラミングをすれば、多種のCAN通信に対応できるのではないかと目論んでいます。






7.1ch対応バランス型DCパワーアンプの製作

私のアンプを大分以前から使って頂いている方から、7.1ch対応のバランス型DCパワーアンプを作って欲しいとの依頼がある。

ニーズを良くお聞きすると、YAMAHA・CX-A5100という11.2ch・3次元音場創生のAVプリアンプを使い、これに接続する「バランス型入出力パワーアンプが欲しい」とのことである。

参考までにCX-A5100の筐体写真をYAMAHAカタログから引用させていただいた(AAS1704.pdfより転載)。

【フロント】
CX-A5100_1.jpg

【リア】
CX-A5100_2.jpg

下側に11個のXLR3Pのバランス出力コネクタが見える。ここから3Dサラウンド信号が出力される。

この信号を受け最大11chのバランス型入力パワーアンプが必要になるが、YAMAHAにもこれに対応したMX-A5000という11chパワーアンプが用意されているのだが、先方のこれまでの経験から「バランス出力DCパワーアンプ」を使いたいとのことです。

これまでにも私が作ったバランス型DCパワーアンプをお使い頂いているので、今回作るのは7ch分で良いとのこと。
音質や音感面を考えて、「金田式対称型アンプ改バランス型パワーアンプ」を作ることにしました。

ベースとなる最近の作例、バッテリードライブ式バランス型DCパワーアンプ(AC電源化)です。

さて、7chものアンプとなると相当な物量となるので一つの筐体に収めるのには無理がある。
幸いチャンネル出力が2~3W、センターアンプでも5W程度で良いということなので、サイズの揃った4つのケースに分割させて作らせて頂くことにしました。
電源、3chアンプ、2chアンプ、2chアンプの4ケースです。今回の記事は、電源と3chアンプです。

【外観】

【前面パネル】

PowerFor3chAmp6.jpg

下が電源ケース、上が3chアンプで、左のボリュームがCENTER 1ch用2連ボリューム、右が SURROUND HIGH (通常はSURROUNDと言う)のL,R用のバランス型4連ボリュームです。
ケースに使っているのは、タカチ・YM-300アルミケース(300x200x50mm)。お手頃価格で加工も楽です。

【背面パネル】

PowerFor3chAmp7.jpg

下が電源ケースですが、2ch用アンプ2台に使う電源コネクタは未取付です。この電源コネクタを選ぶのに苦労しました。トロイダルトランスを2個入れねばならず、コネクタ取り付け可能なエリアは写真の範囲しかありません。よって電源コネクタも小型が必要になるので、+、GND、=の3端子を小型6ピンコネクタに2ピンづつ使い、接続電源容量を確保しました。

上が3chアンプで、左が3ch分のバランス型XLR3入力信号コネクタ、隣が電源コネクタ、そしてスピーカー端子(バランス型)です。
それにしてもこのスピーカー端子、使い勝手が良いのですが価格も相当の物です。セット2個でケースが買えます。

後述しますが、DCアンプに保護回路が無いので±両方の電源供給ラインにヒューズを入れてます。

【電源内部】

PowerFor3chAmp11.jpg

電源回路は3ch用と2ch+2ch用の2系統になっています。
トロイダル・トランスはHDB-40(L)で±9V・2A仕様で、3chアンプでは定格1.8A、2ch+2chアンプでは定格2Aです。あまり余裕はありませんが、実運用を考えればOKでしょう。
ブリッジ整流器で整流後、4700uF×正負3個ずつの汎用電解コンデンサで平滑後、実DC電圧±13.5Vになりました。
これを安定化電源回路に入れて供給します。

PowerFor7chAmp2.jpg

【安定化電源回路】
PowerSup_11V_11V_sch.jpg
これは私が愛読しているメルマガの参考回路からいただきました。
供給電圧13.5Vで2A流すシミュレーションしても、必要な最大電流2Aを確保できます。この時の電圧は約10Vです。
2SB1383/2SD2083はダーリントン・トランジスタでレギュレータに用いられるものです。

【安定化電源基板】
PowerSup_11V_11V_brd.jpg

【アンプ部】
PowerFor3chAmp14.jpg

3chのバランス型アンプ基板を詰め込んでいるので、このような配置になってしまいます。よってボリュームが真ん中付近になってしまいました。デザイン的には右側が良かったのですがね・・・

基板中央がCENTER用、両端がSURROUNDのL、R用です。
各基板の上に瞬発的な電流に備え電解コンデンサを載せたかったのですが別置きになっています。

放熱は小さなヒートシンクとケース放熱です。最大2W、5W程度のアンプで音楽再生時の実用時はケースがほんのり暖かくなる程度でした。

PowerFor3chAmp15.jpg

前作では基板上面の配線はジャンパー線で行いましたが、今回は両面基板を使いました。プロが作る両面基板は部品の足が通るスルーホールを使い裏表の配線を繋ぎますが、私の場合はスルーの穴あけを行い、そこに部品足の残材を使って表から裏への接続を行います。

また、基板の右側表面に見える抵抗ですが、これは金田式オリジナル回路で指定している温度補償サーミスタ200D5Aの代わりに200D5を使っているのでそれの補償抵抗です。このアンプのように小パワーしか出さず、トランジスタ温度があまり上がらないものならば大きな影響がないかもしれないが、気になるので付けてみました。詳しくはこちらの記事(屋根裏の電気実験室)を参照願います。

今回のアイドル電流はノミナルで65mAです。各トランジスタ毎には30%程度の差が出るようだが、音楽再生中はほぼ安定していました。
下の写真はそのテスト風景です。

PowerFor3chAmp5.jpg

左のテスターで14mV(右は11.1mV)と示しているのが0.22Ω抵抗での電圧差で電流値に換算すると約64mA(50mA)になります。この状態で30分ほど大きな音量で音楽を流しましたが、平均値的には大きく変化が出ませんでした。

但し、金田式の定電流調整は、調整ボリューム回転角に対してかなりピーキーですので、ゆっくりと確認しながらの調整が肝要です。

実はこのアンプにはDCバランスが崩れた時の保護回路が入っていません。

【アンプ回路図】
PowerFor3chAmp8.jpg
金田さんのバッテリードライブDCパワーアンプをベースに、2段目とドライバ段、終段増幅を1セット増やし、バランス型回路に変更したのが大きな違いですが、その他変更したところは以下です。(前作でも同じですが)

1.初段差動増幅のFETを2SK117から2SK170に変更(部品入手性)
2.同上の定電流回路を、オリジナルのFET+抵抗一本からカレントミラー方式+調整ボリューム式に変更(安定度向上)
3.2段目差動条幅からドライバ段増幅につなげる部分の負荷抵抗を削除(歪率の低減)

例によってバランスアンプの歪率は、私のアンバランス計測機器では計測できないのだが、LTSpiceのシミュレーション結果では、0.9Vp-p入力で各チャンネル4.3W(8Ω負荷)の出力が出ます。

ちなみに以下のグラフは現回路と同等のバッテリードライブDCパワーアンプを作った際に、バランス-アンバランス変換アンプを間に挟んで計測できた歪率である。参考までに掲載します。この時は5W出力を確認しました。
AMP_kane_DC_BAL2_1.jpg

【音感】

低音が締まって良く出てます。中域から高域にかけての抜けも素晴らしく、きらめきを感ずる音感です。


尤も、この音が出ているスピーカーの良さにも助けられていると思います。
私が使っているSPシステムの左側です。

左がZ600、右がZ701modena_BHBSminiです。これを単独またはパラで切り替えて使用してます。
いずれもとても気に入っている、音工房Zさんの組み立てキットです。

mySPsystem_2.jpg

キットを組み立てたばかりでMDF板材そのままですので、きれいに仕上げて使っている方の写真も載せます。

Z701modena-BHBSmini.jpg

この写真は、こちらの音工房zさんのHPから転載してます。

【防備録・失敗談】

これだけの物を作ると失敗も発生します。忘れないように「べからず調」で記載します。

・使用するトランジスタ類は必ず単体でチェックしたものを使うこと。hFE計やIdss計で測ればOK。
 理由:12個使っているドライバ段の2SC1815の1個が不良でした。多分内部断線です。
     原因調査でTrを5個も交換しました。

・組み立てた基板は単体で電気的特性調整を行うこと。±電源が無ければ抵抗2本の簡易分圧でも可能
 理由:半田付け漏れが2か所、接続不良が3か所もあった。自己過信は禁物

・ボリューム部分のGNDが接触不良を起こすと、負帰還が途絶え終段回路にDCバランス異常が発生する。
 初めての経験だったので原因発見に何と2日を費やしました。



さて、次は2chアンプの2台の製作です。






ミニDCアンプ・その2 が5年ぶりに帰ってきました

5年前に作ったミニDCアンプ(その2)が友人宅から帰って来ました。
(製作記事は上記参照)

その友人は音楽好きで、趣味の手料理を作りながら台所でBGMを流すのに使ってくれていたのです。
片チャンネルの音が出なくなった、ということでドック入りです。

【開腹チェック】
miniDC_AmpNo2_1.jpg

少し凝ってレタリングしましたね。5年経過しても綺麗です。大事に使って頂いてたようです。

miniDC_AmpNo2_2.jpg

アンプ・メイン基板の上に、オペアンプDC補正回路回路付きのトランジスタ式レールスプリッタ電源が載ってます。12VのDCアダプタからの単一電源を±6Vに疑似的に分割します。

チェックしてみるが電源は正常に動作してます。

miniDC_AmpNo2_3.jpg

おお、そうです。このアンプには幻の名器と言われる2SC959トランジスタをドライバ段に使ったのでしたね。

miniDC_AmpNo2_4.jpg

駆動される終段Tr・2N3055。うっすらと埃が付いている程度です。

...アイドル電流などもチェックしましたが、通電していると徐々に上がり気味になる金田式アンプの特性がありますが(温度補正に使っているサーミスタの特性が金田さん指定の物と異なることも一因らしい)、大きな問題ありません。

・・・
・・・

異常が見つからないので再組して音出ししてみました。・・・いや、いや、良い音が出て問題ありません。

・・・原因不明ですが、まあ良いでしょう。

しばらく音楽を流してみましたが、中域の温かみに特徴がある音感です。

【このアンプの歪率・2012年製作時データ】
miniDC_AmpNo2_5.jpg

そう言えば、作った時は良く判らなかった上図のように少量音領域でも歪率が下がらない理由は、ドライバ段を駆動する負荷抵抗に原因があったのでした。負荷抵抗を外して改造しようかとも思いましたが、これはこれで良い音なので止めました。金田式回路原型に近いと思います。



プロフィール

haiga

Author:haiga
私のブログへようこそ!
電気オンチが始めた自作オーディオです
2010/3/17 電子工作をプラスしました。

自作オーディオの楽しみ共有のため、私が作ったパーツ提供をしてます。質問や要望を遠慮なくコメント欄に書き込んでください。

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