代替FET・2SK2145 でぺるけ式もどきヘッドホンアンプの製作

前回の記事で、ディスコンとなったJ-FET・2K170BLの代替として、Dual FETの2SK2145がまずまずの特性を示してくれることを述べました。また、久しぶりに聴いたぺるけ式ヘッドホンアンプver2の音色に再感動しました。

そこで今回はこの2SK2145と、いつも愛用している Dual トランジスタ BC846DSとBCM856DS、そしてリチウムイオン電池を組み合わせた、「ぺるけ式もどきHPA」の製作です。
前作ではリチウムイオン電池換装への引き合いが多々あったのですが、充電や電池本体の信頼性への心配があったので踏み切れませんでした。

最初はLTSpiceで電源電圧が下がってもまずまずの特性になる、回路各部の最適な抵抗定数を求めます。

【LTSpiceの回路図】 2SK2145のLTSpiceモデルが無いので2SK170BLで代用してます

HPA_pe_2sk2145_1.jpg

何度も歪率を見ながら回路定数を変えていきます。

・定電流回路の抵抗:10k→6.8k、220→195 (この抵抗値は微妙に歪率に影響します)
・差動増幅FETの負荷抵抗:2.2k→1.5k
・ダイヤモンド・バッファ段:1.5k→1k、82→75 (これは手持ちの関係で変更)
・負帰還部:51→75 (3倍増幅から2倍に下げました)
・入力部4.7k、出力部10Ω、電源分圧抵抗は不変です。

これでシミュレーションすると、歪率1%点で出力が約0.95Vrmsです。まずまずでしょう。

【回路図】 片チャンネル分です

HPA_pe_2sk2145_2.jpg

【基板の製作】

HPA_pe_2sk2145_3.jpg

今回もユニバーサル基板を使うので、EAGLEで0.1 inch ピッチのマス目に部品を置いて実態配線図を作ります。
FETやトランジスタも表面実装品から変換基板を使って 0.1 inch ピッチ基板に合わせます。

【製作したHPA基板】

HPA_pe_2sk2145_5.jpg

95mm x 72mm のユニバーサル基板に楽々収まります。リチウムイオン電池から直接供給します。電源用コンデンサは付けません。

シミュレーション通り、アイドル電流は12mA きっちり流れます。10Ω抵抗が左右チャンネルで4個ありますが、いずれもきっちり12mA流れています。再現性もばっちりで、これがぺるけ式HPA回路の素晴らしいところです。

【歪率】
HPA_pe_2sk2145_6.jpg

橙色の線が本品「ぺるけ式もどき」の歪率です。
シミュレーションでは約0.95Vrms at 1%THDだったのですが、実機は0.9Vで若干目減りしています。

12V電源のぺるけ式に比較すると見劣りしますが、なかなか立派なものです(自画自賛、笑)
0.9Vという値だけ見れば小さいですが、11mWの出力でありヘッドホン駆動用として十分な出力です。

【周波数特性】

HPA_pe_2sk2145_7.jpg

本家ぺるけ式は5Hzまでフラットなのですが、10Hzから5Hzにかけて-3dB程度下がります。
高域は全く同特性です。

------ 2017/10/8 記事を修正
ぺるけ式は再現性が良い筈なのに、20Hz 以下が 3dB程度 も下がるのが不可解でした。周波数に影響ある出力コンデンサは同値です。
そこで、HPAを通さず周波数発生器(KIKUSUI ORC11)から、計測器(KIKUSUI AVM23) に直接入れて、低周波域をチェックしてみました。その結果、20Hz で -0.18dB、10Hz で -0.72dB、5Hz で -2.38dB 程のAC電圧の出力低下が認められました。

これを修正して再作図した周波数特性が以下です。

HPA_pe_2sk2145_10.jpg

このように低域までフラットであることが確認できました。
------- 追記はここまで



肝心の音ですが、もう少しエージングしてから評価したいと思います。


・・・10時間以上通電していましたので少しは初期の粗さが取れたと思います。

ぺるけ式のバランスが良い心地よい音ですね。
決してどこかを誇張することは無く、全体的にバランスが取れながら繊細なところまでしっかりと鳴ってくれます。
やはり素晴らしいです。

------ 2017/10/7 追記

基板を起こしてしまいました。

HPA_pe_2sk2145_8.jpg


・・・その後、発注前に細かなところを修正した基板図です。

・電源配線の取り回し位置、線幅、出力配線の幅や接続ドリル径を最適化しました。
・調整はしませんが10Ω抵抗でのアイドル電流を計測するための計測ホール(四角)を追加しました。
・6個のDualトランジスタの輪郭線が何故かガーバーデータに反映されないので上書きしました。

・この基板は配置エリアに余裕があるので、いつもは付けない名称を印字しました。

HPA_pe_2sk2145_9.jpg


2週間程すれば届くでしょう。






差動増幅用J-FETを探す

HPAやパワーアンプの初段差動増幅に愛用している 2SK170BL がとうとう残り150個になってしまいました。
このままではアンプ製作に支障が生じそうです。

そこで2SK170BLに変わって使えそうなJ-FETを身近な(安価な)秋月電子で探してみました。

候補は以下の3種です。

1.2SK369-V : 順方向伝達アドミタンス |Yfs| が標準で 40mS もあります (2SK170BL は25ms)、40円/個(秋月)

FET_change_2.jpg

2.2SK2145-BL : 同上 |Yfs| が 15mS です。使える可能性あります。表面実装品ですが、1パッケージに2個入っている DualタイプなのでVgsのペア特性に期待が持てます。もしかすると選別も不必要になるかもしれません。100円/2個=25円/素子(秋月)

FET_change_1.jpg

3.PF5102 : Fairchild 社製のアナログ・スイッチング用とデータシートにあります。ソースとゲートのピン配置も違うので代替期待は持てませんが念のため特性だけ計測することにしました。20円/個(秋月)

FET_change_3.jpg

【Step1:Vgs計測で特性バラツキを計測しペア選別性をチェック】

1.2SK369-V
  ランク V の Idss 分類は 14~30mA に対して 50個計測した範囲で、15.8~27.5mA内でした。
  Vgsを6mV範囲のペアを選ぶと、40個(80%) もゲットできました。

2.2SK2145-BL
  データシートに見れるように、ソースを共通端子にした Dual素子です。ペア性のチェックが重要です。
FET_change_8.jpg

端子間ピッチ 0.95mmの SOT23 なので、1 inchへの変換基板を改造して計測用基板を作りました。計測するときはこの上から押し付けて接触させます。上の写真の左右3ピン毎に、D1-G1-S、S-G2-D2を配置し計測器に差し替えて計測します。

FET_change_10.jpg

使用した計測器は、こちらで作ったぺるけ式FET選別器と同じ回路のユニバーサル基板バージョンです。安定してVgs計測ができます。

取り敢えず5個計測した Vgsのペア性を示します
・-0.587、-0.594 (差7mV)
・-0.547、-0.541 (6mV)
・-0.547、-0.552 (5mV)
・-0.593、-0.594 (1mV)
・-0.528、-0.526 (2mV)

最大の差でも7mV しかありませんのでペアとして申し分ありません。

3.PF5102
  余り期待できませんが50個も買ったので、IdssとVgsを足位置変換具を使って計測してみました。
  Idss:4.4~10.2 mA (データシート4~20mA)
  Vgs:-0.225 ~ -0.668 V(同上 -0.7 ~ -1.6 V 、計測電圧が指定と異なるので参考値です)

【Step 2 :実機に付けて歪率の計測】

本来ならば、素子の Vds-Id 特性図からロードラインを描き、使用する電圧に最適な電流を求めた回路定数を決めるのが正しいアプローチなのですが、いつもながら無手勝流の小生としては、既に2SK170BLで動作している実機に対象品を取り付け、その歪率を比較計測するという手法を採ってみました。

・その1 : ぺるけ式FET差動ヘッドホンアンプ、バージョン2

FET_change_7.jpg

大分以前にユニバーサル基板で作った、ぺるけ式FET差動ヘッドホンアンプ・バージョン2に換装して歪率を比較計測しました。手前の左チャンネル(計測するチャンネル)に 2SK2145-BLを乾燥した写真です。コネクタでFETを差し替えて計測します。

FET_change_5.jpg

太い青線がオリジナルの2SK170-BLで計測した歪率カーブ、赤線が換装した 2SK2145-BL の歪率カーブです。
ぺるけ式では釣り針状のカーブになる筈なので、ぺるけさんの記事からデータを読み取ってプロットしたのが青破線です。

やはり私の計測環境では、ベースノイズのために0.03%以下には下がらないようです。それ以外の範囲では2SK170-BLの歪率カーブはぺるけ式を再現しています。

換装した2SK2145-BLですが、2SK170-BLには及ばないまでも、かなり近いレベルの特性を示しています。
これならば回路定数を最適化すれば、もっと良くできるのかもしれません。(これでもかなりGoodです)

試しに音楽を聴いてみると、いやいや流石にぺるけ式の音は素晴らしいです。左右チャンネルの音の差は認知できません。


・その2 : 金田式もどきDCヘッドホンアンプ

FET_change_9.jpg   

これもまた以前試作に使った金田式もどきDCヘッドホンアンプを引っ張り出してきました。改造が楽なので左右共に2SK2145-BLに換装してある写真です。これもまた2SK170-BLと比較して歪率を計測します。

FET_change_4.jpg

ここで3種のFETを比較しています。
青線がベースとなる、2SK170-BLでの歪率です。この時は差動するFET間のバランスを取る100Ωの可変抵抗が入っていました。

赤線が2SK2145-BLでの歪率です。ソース共通なので100Ω可変抵抗を取り去ったためか、ベースとなる2SK170-BLよりもやや低い歪率を示していますが、私の計測機器の最低計測能力の0.03%に近いレベルでのことなので、本当に意味のある差なのか、計測時のノイズ環境の差なのか判然としない要素も含んでいます。

期待していた2SK369-Vですが、高 |Yfs| に対して回路定数が合わないのか、または発振しやすい金田式回路の影響なのかあまり良い結果ではありません。


これまでの結果では2SK2145-BLがかなり良い結果を示してくれました。回路定数を見直せばもっと良くなる可能性もありますが、・・・問題は東芝製なので何時まで入手可能かですね。取りあえずたくさん買っておきましょうかね(泣笑)


・・・
それにしても、しばらくぶりに聴いたぺるけ式FET差動ヘッドホンアンプの音には再感動しました。

2013年に昇圧型DC-DCコンバータを電源にしてぺるけ式FET差動ヘッドホンアンプの小型版を作りましたが、リチウムイオン電池2個の7.4Vでの最適定数に替えれば、最近使っている表面実装トランジスタと組み合わせてみたらどうだろうかと思ってみたりします。

シミュレーションやってみましょう。





暗くなったら点灯する人感センサーライトの製作

暗くなったら明るさを検知し、人が近づいた時に点灯するライトが壊れた。
今、会社経営で新聞を賑やかにしている東芝製の大分昔の製品だったのだが、暫くの間放置されていたので内部電池の漏液が回路接点をダメにしたようだ。最近、朝早く暗いうちにトイレに起きるようになったので、あれがあると足元が明るく助かる。

これくらいの物ならば今どき安いのが売っているだろうと、以下の条件で探してみた。

1.省エネ型(LED)であること
2.当然ながら人感センサーで点灯すること
3.暗い時に自動で動作すること
4.電池や充電型ではなくACDCアダプターで動作すること(コンセント型や電球型では設置場所的にダメ)

・・・いろいろググってみましたが、1.2.の条件ならばたくさんあるのですが、更に3.4.が加わるとあまりありません。そして高額のものになるようです。

それならば作りましょうという結論です。

【完成写真】
話が長くなりそうなので最初に完成写真を載せます。

MotionSensorLight_2.jpg

右上がLEDライト、その左が人感センサー、左下に欠けているのが照度センサー、中央下が自作したコントローラです。

【製作説明】

材料は容易に入手できる安いものが良いですね。以下の画像は秋月さんからのNETからお借りしました

・LEDライト:9~12VDC、3.8W、昼光色(秋月・900円)
MotionSensorLight_12.jpg

・人感センサー:焦電型赤外線センサモジュール、5~12VDC、2m検知(秋月・850円)
MotionSensorLight_13.jpg

・光センサー:リニア光センサー、VCC=5V、1~200Lux(秋月・150円)
MotionSensorLight_15.jpg

早速物を入手して作ってみることにしました。基本的な考え方は
1)光センサーで暗くなったらONリレーが動作すること
2)AND 人感センサーがONしたら、LEDライトをONさせる
3)2)ではデレイ・リレーを起動させ20秒後程度にOFFさせる。タイマーIC、555を使います。

順に単品で機能を確認して行きます。

1)光センサーでリレーをONさせる : 簡単に考えていましたがここが一番時間がかかりました。

問題点その1:簡単な回路でOKなのだが出力がかなり低い

MotionSensorLight_16.jpg

5Vを印加し、光強度に比例した電流が流れるので負荷抵抗で電圧を取り出すのですが、

MotionSensorLight_17.jpg

暗い、明るいの境目となる10Lux 付近では、8 uA程度しか流れません。10kΩの負荷抵抗で算定すると、80mV程度になります。これではトランジスタ動作のVbe 0.7V まで昇圧するにはオペアンプで10倍程度増幅が必要になります。

そこで、【増幅オペアンプ回路】が必要になります。

MotionSensorLight_6.jpg

LM358という廉価オペアンプなのですが、電源電圧の10%~90%範囲はリニアに増幅します。このような回路に好んで使用するオペアンプです。
10Kの負荷抵抗で発生した電圧をオペアンプで増幅しますが、120k/12kΩなので、約10倍に増幅します。

尚、マイコンの電源は当初単電源を試みましたが、特に今回必要な低レベル電圧ではリニアで無くなるため、LTC1144という負電圧コンバータを使い±12Vの電源を供給しています。

問題点その2:リレーが動作時に唸ります

このオペアンプ出力は10Lux 付近では10倍の0.8Vになるので、リレーを駆動するためのスイッチとなるトランジスタをONさせることができます。しかし、そうやって作ってみた単動作回路では、「リレーが発振するように動く」というトラブルが出ました。
即ち、光の強弱や、リレーON-OFF時の電圧減増によりON-OFFを繰り返すのです。これではリレーが壊れます。

・・・色々調べてみると、このような比例制御によってON-OFFする場合は、「ヒステリシスを付ける」必要があるということです。
即ち、ONする時の電圧よりもOFFする時の電圧をある程度低く設定すれば、その範囲にある場合はON-OFFしないという不感帯が設けられるということです。

更に調べてみると、これを実現するには、「シュミット・トリガー」という回路が良いらしいですが、「ディスクリート」で勉強して作ってみたい小生としてはトランジスタで構成する回路を選びました。

・・・勉強し、シミュレーションして達成したのが以下の回路と、LTSpiceシミュレーション結果です。

MotionSensorLight_9.jpg

一番左が入力電圧で、光センサーの負荷抵抗から、10 Lux + α 時点で約100mVが入力される前提です。0~500mVまで変化するように設定しています。
これがOPAMPで10倍に増幅されます。
これ以降にある、Q1、Q2トランジスタと周辺の抵抗で構成された回路が、「シュミット・トリガー」です。その後にあるQ3トランジスタはR6というリレーコイルを駆動するものです。

詳しい回路の動作は「シュミット・トリガー」を参照願いたいのですが、結果的に上側のシミュレーション図に示すように、光センサーからの出力V(in)が110mV になるとリレーがONします。その状態から、光センサーからの出力が下がり、65mV程度になった時点でリレーがOFFします。即ち、光センサー出力が 65~110mV範囲の時には、リレーはON-OFFどちらかの状態から動かないということになります。

このような検討から、【シュミットリガー回路+光センサーONでリレーOFF(暗くなるとON)】 回路を設けました。
光センサーが受光して、OPOUT電圧が0.7V以上に上がると、K1リレーが切れます(=明るいと動作しない)

まとめを書いてみると簡単ですが、シュミットトリガー回路の抵抗定数設定はトライ&エラーなので時間がかかりました。

MotionSensorLight_7.jpg

2)人感センサーで動作させる

使ったセンサーは、「動体センサー」なので人体が近くにあっても動かなければONしません。
即ちこれは、「動いた時にだけONする」仕様なので、後述するオフディレイ・タイマーのパルス起動要件には合っています。

MotionSensorLight_14.jpg

モーション・センサー(人感センサー)は、電源、GND、内部TTL回路(ONでLOW)のコネクタで接合されます。
このLOW信号をPNPトランジスタで受け、K2リレーをONします。
当初5Vで動作させようとしていましたが、内部に5VのDC-DCコンバータがあり動作が安定しないようなので、電源を12Vに変更しました。
リレーは5V用しか無かったので、動作コイルに直列に230Ω(実際は220Ω)を入れました。

3)点灯時間を遅延させるオフディレイ・タイマー

MotionSensorLight_8.jpg

点灯させたLEDをある時間以降に消灯を遅延させるOFF Delay Timer です。
定番の555タイマーICを使っていますので、特段の説明は省きます。10uFコンデンサと1M+1M=2MΩ抵抗を使っていますので、計算動作時間は 22sec ですが、作ったものは 29sec 動作でした。抵抗値が大きいか、コンデンサが大きいかですが、31%もの偏差ですので、多分コンデンサの容量が実際に大きいのではないかと推測されます。


4)番外編:ユニバーサル基板製作を容易にするためには

一品料理である今回の基板を製作するに当たり、どうやって確実に正確にユニバーサル基板で作るか という課題です。

簡単な回路であれば、PasSという基板回路エディタを使って来たが、これは回路を最初から実体配線図で描く必要があるので、特殊な部品も登録しそのリソーセスが使え、回路図ベースで設計し、そこから基板図が作成できるEAGLEのようなツールが良い。

ここで一計を案じました。

1.EAGLEの回路図で設計する
2.基板図の設定を以下のようにする
  1)グリッドは0.1inchに設定する(ディフォルト)
  2)グリッドを線で表示させる。グリッドの交差点がユニバーサル基板の穴位置になる
  3)使用するユニバーサル基板サイズや、目印となる番号・記号などを記載する
3.部品配置はグリッド交差ポイントに合わせるようにする。
4.配線もグリッド線、グリッド好転をベースに配置する。

このようにすると、EAGLEで作った回路図をベースにしてユニバーサル基板図が容易に作成できます。

【今回作成したユニバーサル基板図】

MotionSensorLight_10.jpg

周囲にある数値やアルファベットは、使用したユニバーサル基板に銘打たれたものです。
これを記載し、EAGLEの表、裏印刷機能を使って印刷して置けば、部品配置が容易、裏面の配線も容易になります。

最後に参考までにEAGLEの回路図全体を載せておきます。

MotionSensorLight_18.jpg

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一晩使ってみての結果です。

良かったこと
・人感センサーの感度は問題ありません。ちょうど良い距離でセンシングしてくれます。
・昼光色LEDライトの質感もOK、もうちょっと暗くても良いかもとの意見もあり
・OFFディレイ時間29秒もちょうど良い長さです

不満なこと
・周囲が明るくなって、廊下もほんのりと明るいのに点灯する。OFF感度をもう少し暗めにしたい
 ⇒光センサーの負荷抵抗を低くすれば簡単に調整ができそうだ。いっそ可変抵抗にするか?
・意外に人感センサー・リレーの音が大きい。特に深夜になると周囲騒音が下がるので気になる
 ⇒機械式リレーを止めて電子リレーにしようか。
 秋月に安いリレーがあるようだが、制御信号ONでリレー接点ON回路しかないので、信号側で反転回路が必要かも

MotionSensorLight_20.jpg

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調べてみると、この電子リレーはAC電圧専用のようです。

・・・考えてみると、ここにはリレーではなくフォトカプラを入れても良いことに気が付きました。
明るさでON-OFFしているリレーコイルに直列に入れてあげればOKでしょう。

MotionSensorLight_21.jpg

リレーが入っていた赤丸部分をTLP521-1フォトカプラに交換しました。
注意すべきはこのフォトカプラは5V用なので、感度の問題で12V で使っている人感センサー回路では、一次側に1.2k の抵抗を入れLED電流を抑えています。2次側回路はタイマー・トリガーが5Vなのでそのまま接続します。

ついでに光センサー負荷抵抗を可変抵抗に交換しました。

MotionSensorLight_22.jpg

人感センサーのリレーが無くなり、豆粒大のフォトカプラになりました。カチカチ音がしないのでGoodです。

廊下がほんのり明るい時には点灯しないように半固定抵抗で調整を試みましたがダメのようです。
人間の目の感度が相当良いのでしょうね。




金田式もどきDCヘッドホンアンプ・リニューアル版(その4:頒布)

リチウム・イオン電池回りをリニューアルしたバージョンの頒布を致します。手待ち部品の関係で現有限定6台ですが、ご要望が多ければ追加も検討します。

【完成品外観】
HPA_kane_DC_New_Bat_23.jpg

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前作とほぼ同じ外観です。充電用 microUSB コネクタが左面前寄りから後寄りになりました。

【内部】
HPA_kane_DC_New_Bat_25.jpg

角型で薄いリチウムイオン電池を2個重ねて使用します。これで約19時間動作します。充電時間は2~3時間程度です。

【基本回路図】
HPA_kane_DC_New_Bat_11.jpg

構成を簡単に説明します。
・J-FET2個(J1,J2)の差動増幅回路が初段です。オリジナルでは2SK246BLが使われていますが、部品ストックの都合で2SK170BLに替えています。
・J4,R17,Q8,Q7,R18,R1 で構成されるのがこの差動増幅回路に電流を供給する定電流回路です。金田式オリジナルでは、ここにJ-FETと抵抗1個だけで構成されていますが、熱安定度等の観点でカレントミラー方式に変えています。
・Q1,Q2,R19,R20が2段目増幅回路です。
・Q3,R10,Q4,R11がドライバー段です。
・Q5,R12,Q6,R13が終段増幅回路です。

この金田式の回路は対称型と言われ、ドライバー段、終段が上下に同じNPNトランジスタを組み合わせた回路構成をしており、即ち特性の揃った同じトランジスタが使えるので、汎用トランジスタの入手が難しく、NPN,PNPの組み合わせが難しい昨今、私が好んで使っている回路構成です。
「金田式」と言うと、金田さんオリジナル部品を組み合わせるのが正道らしく、回路だけが似ているので「金田式もどき」と称しています。

【放電試験データ】
HPA_kane_DC_New_Bat_3.jpg

これは実機と同じ程度の50mAを放電させて試験した結果です。約20時間、900mAhの実容量を持っています。

【充電試験データ】
HPA_kane_DC_New_Bat_12.jpg

充電電流800mAとなっていますが、実際は500mA程度のはずです。1.8時間程度で充電が終わりました。実機では2個のリチウムイオン電池を同時に充電しますので、供給側の電流制限なども加味すれば、2~3時間程度の充電時間になるものと推測します。

【歪率と周波数特性実測値】
HPA_kane_DC_New_Bat_15.jpg

最低歪率は0.029% THD+N at 0.28Vrms(0.4Vp-p)、最大出力 1.6Vrms(2.2Vp-p、71mW at 36Ω)です。

HPA_kane_DC_New_Bat_16.jpg

低域は5Hzで2.5dB程度下がる傾向にあります。高域は問題ありません。100KHzまでフラットです。

【基板】
HPA_kane_DC_New_Bat_17.jpg

この基板には数多くの表面実装部品が使われておりますが、これらは全て当方で実装します。手ハンダで付けられる範囲の部品だけをキットで提供します。

【基板:部品番号】
HPA_kane_DC_New_Bat_27.jpg

【基板:部品定数】
HPA_kane_DC_New_Bat_26.jpg

【出音】
金田式もどきDCヘッドホンアンプをあんなに沢山作って頒布したのに手元に一台も残ってなく、久しぶりに音を聴きました。
なるほど、なるほど、この音色です。バランス型ヘッドホンアンプに迫るものがあります。そして、「妖艶」なのです。

低域の膨らみのある響き、高域の澄んだ中にもふくよかさが残っているような、そんな感じがする音です。

【部品リスト】
部品番号 部品名 型番、値 個数 備考
・表面実装部品付き基板 
  専用基板   1  
・トランジスタ 
Q102,103 中段、終段増幅
NPNデュアルTr
BC846DS 4 基板実装
Q202,203
Q101 2段目差動
PNPデュアルTr
BCM856DS 2
Q201
FET101,102
FET201,202
初段差動FET 2SK170BL(246代替) 4  
FET103,203 定電流FET 2SK208-O(117代替) 2  基板実装
・初段、中段チップ部品    
R103,R104
R203,R204
チップ抵抗 2012 差動負荷 1.5K 4 基板実装
R105,R205 チップ抵抗 2012 300Ω 2
C101,C201 チップコン 2012 1000P 2
R106,R206 チップ抵抗 2012 120Ω 2
R107,R108
R207,R208
チップ抵抗 2012 2段目負荷 1.5K 4
R109,R110
R209,R210
チップ抵抗 2012 中段増幅負荷 150 4
C102,C203 チップコン 2012 位相補償100P 2
・電源コンデンサ 
C1,C2 表面実装コンデンサ 1000u 2  
C4,C5 チップコン 2012 0.1u 2 基板実装
・LEDチップ抵抗    
R001 チップ抵抗 2012 27k 1 基板実装
・充電用パーツ   
IC1,IC2 Li-ion電池過放電防止IC   2 基板実装
IC3,IC4 充電用IC XC6802 2
C6,C10 チップコン 1u 2
R003,R005 チップ抵抗 2012 2k (充電電流500mAセット) 2
LED2,LED3 チップLED 赤、1608 2
・入出力、負帰還 金属皮膜抵抗  
R111,R112
R211,R212
金属皮膜抵抗1/4W 10 4  
R101
R201
金属皮膜抵抗1/4W 22k(利久RO抵抗) 2  
R102
R202
金属皮膜抵抗1/4W 33k(利久RO抵抗) 2  
・機構部品    
ST_JACK1 φ3.5ステレオジャック AJ-1780 2  
ST_JACK2
SW 2系統スイッチ  (ON-OFF-ON) 1  
VOL 2連ボリューム A50k(またはA20k),LINKMAN、RD925G 1  
R102,R202 定電流半固定VOL 500Ω 2  
R101,R201 バランス半固定VOL 100Ω 2  
  ボリュームノブ黒 φ6 1  
LED1 LED 高輝度青色φ3 1  
  収納ケース タカチ,GHA7-2-9DB(黒) 1  
U_USB microUSBジャック ZX62R 1 基板実装

【頒布について】
今のところ、限定6セットで頒布します。

・キット合計:7,850円
・角型リチウムイオン電池2個:2,400円
・オプション電源コンデンサ1500uF,2個:差額400円

※リチウムイオン電池はこちらから購入していますので、皆さんでも好きなサイズ(コスト)が選択できます。
 私が使っているサイズは、51x34x4mmですが、これ以下の寸法ならば使えます。

・自作が不得手だが聴いてみたいという方には完成品を頒布します。
 頒布費用は、本体15,000円+リチウムイオン電池2,400円=17,400円(送料込み)です。

・ご希望の方は、このブログのコメント欄に匿名で記載願います(匿名でなくともOKですが)
 メルアドの記載漏れ、ミスコピーにお気をつけください。
 当方からメールで連絡いたします。

・送付は私の都合で、ヤマト宅配便コンパクトになります。
 セットでの送料は下記URLの金額-35円(持ち込み-100円、箱+65円)になります。
 http://www.kuronekoyamato.co.jp/compact/

・製作マニュアルは本品に対してまだ作っておりません
 オリジナルのこちらと、半田付けが参考になるこちらを参照ください。
・今更ですが、簡単なマニュアルを作成しました。
 http://higa284.cyokopa.com/HPA_kane_DC_NewLiion_MAN.pdf


*ご注意:頒布部品が欠品する場合もあります。既にオーダー頂いている方はお待ちいただくことになります。オーダー前の方は頒布が中止になる場合もあります。よろしくお願いいたします。

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2018/9/25 追記

FETのペア計測に関しての一考・・・FET選別はVgsを推奨します

金田式HPAやバッテリー駆動Ampの初段差動増幅のFETは、2SK117BLが指定だったのですが、早くもディスコンでの市場供給が無くなり、ぺるけ式指定の2SK170BLを使っていました。
この2SK170BLはgmが高いので増幅率が素晴らしく良いので使いやすいFETですが、これも同じくディスコンで、小生の手持ちも150個を切りました。

このJ-FETを初段差動増幅に使うに当たり、ぺるけさんはVgsを±6mV以下に指定し、同じFETではないですが金田さんはIdssを0.1mA以内にして使うように指定しています。
以前よりVgsでもIdssでも選別する基準は良かろうと思っておりましたが、このVgsが12mV以内と、Idssが0.1mA以内の違い(厳しさ)はどうなんだろうという関心がありました。

そこで、残り少ない2SK170BLのIdssとVgsを同時に計測し、その相関を求めてみました。

【計測した2SK170BL、約50個】
HPA_kane_DC_New_Bat_30.jpg

【IdssとVgsの相関】
HPA_kane_DC_New_Bat_31.jpg

2SK170BLのIdss規格値は7~12mVですが、50個のサンプルは6~11mV内にあり良好です。

今回注目の、Idssに対するVgsの係数は-0.0279でした。
これはIdssが1mA変化すると、Vgsは0.0279V=27.9mV 変化するという相関です。

この相関から言うと、金田さんが指定のIdss 0.1mA範囲を相関式に見立てると、Vgs 2.79mV範囲 となるので、ぺるけさん指定の12mV範囲からはかなり厳しい指定となります。

いずれのアンプ回路も差動増幅のFET特性が偏った場合のオフセット調整VOLを備えているので問題は発生しないのですが、金田さんの基準は少し厳しすぎるというか、実用的ではないと思います。(計測回路は簡単ですが)

実は、Idssを計測時の熱的ドリフトで数値が大きく変わって推移することも考える0.1mVはあっという間に変わります。安定するまでには熱的安定時間を考慮すると長時間を要します。よってこの0.1mA以内を計測し、選別を実践するには厳しすぎる値です。

一方、Vgs計測は計測回路の安定を考慮したぺるけ式計測器ではかなり安定して計測が可能です。

尚、このグラフに掲載したIdssの値は、Vgs計測からIdss計測に替えた時の瞬時の数値を使ってます。

よって、頒布する2SK170BLの選別はVgsで行っています。実際は12mV以内ではなく、数mV以内です。






7.1ch対応バランス型DCパワーアンプの製作(その3:完成)

6月から、いや着手は4月から製作中の 7.1ch対応 SURROUND システム用のパワーアンプ製作が完了しました。

7chものバランス型アンプを作るにはその物量と製作時間が必要でしたが、やっとのことで完成です。

【前面】
PowerFor3chAmp17.jpg

下から、7chを駆動する電源ユニットです。
2段目はセンター・ウーファ駆動とHIGH用の2chステレオアンプが入った、3chアンプです。
3段目、4段目は SURROUND用とSURROUND BACK用 2chステレオアンプです。

【背面】
PowerFor3chAmp18.jpg

一番下の電源ユニットから、専用電源ケーブルで接続します。
信号入力は各アンプ共に左に並べた XLR3端子からのバランス入力です。

小生は7.1chの、しかもバランス型信号出力ができる機器を所有していません。
然るにアンプの差動テストは、ステレオのアンバランス入力で2chずつしか行えませんでした。

このアンプをお使いになる方は、この機器 YAMAHA・CX-A5100 3次元音場創生AVプリアンプを音源にするとのことです。

CX-A5100_1.jpg

機器背面

CX-A5100_2.jpg

ずらりと11chものバランス出力が準備されています。

参考までに電源や各アンプの内面画像を列挙します。

【電源】
PowerFor3chAmp12.jpg

【1chウーファ+2chアンプ】 配線前
PowerFor3chAmp3.jpg  

【2chアンプ】
AMP_kane_DC_BAL_11.jpg

3~5W程度の出力なので、放熱はアンプケースの下面で行います。実使用時にはやや暖かくなる程度で収まります。

フルバランス入力なので4連ボリュームを使います。



手塩にかけたこれらのアンプ群は明後日にお嫁に行きます。





金田式もどきDCヘッドホンアンプ・リニューアル(その3:製作)

角型のリチウム・イオン電池に換装する、金田式もどきDCヘッドホンアンプ基板ができてきました。
今回もseeedで作り、Fedexで送ってもらったので、8月1週には到着していたのですが、トラ技HPAで遊んでいたので製作するのが遅れておりました。

【基板表】
HPA_kane_DC_New_Bat_17.jpg

基板上部を延長させ、そこに角型Li-ion電池2個を貼り付けるエリアを設けています。
その左側にバッテリ端子接合穴と充電用microUSB端子が付きます。

【基板裏】
HPA_kane_DC_New_Bat_18.jpg

Li-ion電池の裏側に、その過放電保護ICと充電IC回路が付きます。高さが1.5mm程度なので裏でもOKです。

【完成して充電中です】
HPA_kane_DC_New_Bat_21.jpg

今回最も確認したかったのが、充電LEDを高輝度品から通常品に替えたことによって、充電ON-OFFの点灯状態が明瞭に変わるかどうかです。上の写真が充電中です。電池電圧3.8Vの50%程度放電した状態から充電しています。赤いチップLEDが明るく点灯しています。

【片方の充電が終わりました】
HPA_kane_DC_New_Bat_22.jpg

1時間半程度経過して片側(上側)の充電が終わった状態です。うっすらと点灯していますが、明度はしっかり下がっています。高輝度LEDを使うとこれほど明度に差が付きませんでした。これでOKでしょう。

【歪率計測結果】
HPA_kane_DC_New_Bat_15.jpg

金田式はアンバランス型出力なので、WaveSpectraで計測できます。
最低歪率 0.029% THD+N at 0.25Vrms(1.7mW)、最大出力 1.6Vrms(=2.2Vp-p、71mW at 36Ω) です。

私の歪率計測機器の限界は0.03% THD のようなので、上のグラフの0.04% 以下に下がらないのは、この金田式もどきアンプの特徴のような気がします。0.3Vrms 近辺からじわじわと上がって行く傾向は、この金田式もどきだけではなく、本家の金田式でも同じような特性だったのを思い出しました。

【周波数特性】
HPA_kane_DC_New_Bat_16.jpg

低域は5Hzで2.5dB程度下がる傾向にあります。高域は問題ありません。100KHzまでフラットです。

【出音】
金田式もどきDCヘッドホンアンプをあんなに沢山作って頒布したのに手元に一台も残ってなく、久しぶりに音を聴きました。Li-ion電池の充電試験をしたかったので、昨夜10時間程度放電動作させておきました。よって、初期エージングは終了しています。

なるほど、なるほど、この音色です。バランス型ヘッドホンアンプに迫るものがあります。そして、「妖艶」なのです。

低域の膨らみのある響き、高域の澄んだ中にもふくよかさが残っているような、そんな感じがする音です。



【久しぶりの失敗談】

左側のアイドル電流が出ません。 ・・・いや、対称型の出力段で片方が流れると片方が流れなくなります。不安定です。加熱します。
・・・小さなDualトランジスタを全部交換しても治りません。・・・丸一日経過しました。

・・・あろうことか、パターンミスでした。

HPA_kane_DC_New_Bat_19.jpg

実体顕微鏡で覗いたパターンです。黒丸印点で 横に走る太い出力ラインに、上から来たGND結線がショートしてます。乗り越えなければならない部分のホール位置を間違えてショートさせてしまったようです。

HPA_kane_DC_New_Bat_20.jpg

パターンカットしジャンパー線を飛ばしました。0.6mmのリード線が異様に太く見えます(笑)


基板は10枚作りました。おまけが1枚付いてました。

在庫部品を当たってみたら、充電ICが6台分あります。ケースも6個あります。他は沢山あります。
リチウムイオン電池は国内通販で購入可能です。

欲しい方がおられましたらコメント欄に書込みください。こちらと同等費用で頒布を検討します。





トラ技SPECIAL掲載のHPA(その2:1.5V電池2本で超エコ&素晴らしい音)

2017/9/2 追記:小型基板を作ってみました。ページ下段をご覧ください
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前回の記事に続き、トラ技SPECIAL 2017Sumer No.139 に掲載のヘッドホンアンプの2例目を作ってみたので、LTspiceと製作したものの計測結果を載せます。

例によって回路の姿は載せますが、部品定数をブラインドしますので、作ってみようと思われる方は本を参照してください。

このHPAもフル・ディスクリートです。記事は第4章 強力ドライブ!ポータブル・ヘッドホン・アンプ(小川敦 氏) です。

私がとても興味が沸いたのは、拙作HPAシリーズが初期のころに作っていた、1.5V電池2本で動くということです。このアンプも1.5V電池2本で動き、実用的には0.9Vになっても動作するという点です。

【LTSpiceに載せた回路図】
HPA_discrete_2.jpg

この回路をマクロに見てみると、カレントミラー負荷の差動増幅の出力を上下対称のカレントミラータイプの終段増幅回路で増幅すると見て取れる。この差動増幅と終段増幅の間にレール・ツー・レール出力段を設けた構成とあります。

回路構成の機微に関しては記事本文を参照願いたいが、上下対称増幅回路+レール・ツー・レール出力段の組み合わせが1.5V電池2個の低電圧でも素晴らしい性能になっているようです。

記事にもLTSpiceシミュレーション結果がTHD 0.02% とありますが、上図で私が行ったのシミュレーションでも、THD 0.024%(入力0.4Vp-p、出力 0.93Vrms at 36Ω)となり、24mWの十分な出力があります。

HPA_discrete_1_2.jpg  

この図は0.4Vp-p入力を行って波形を表示させたものです。黄緑の波形が出力で±1.3Vp-p程度あり、赤の線が1.5V電池から流れる電流波形で、ピークは38mAありますが、平均では何と2.7mA程度しか無く、相当な省エネHPAであることが示されます。記事でも2.7mAとあったので半信半疑でシミュレーションしたものです。アイドル電流を流さない回路なので省エネなのですね。

それでは早速作ってみました。
【基板図・eagle】
HPA_discrete_3.jpg
トランジスタを32個も使うので、100x75mmの eagle std サイズ基板を使うことにしました。スペースに余裕があるので入出力ジャックや2連ボリュームも付けます。
トランジスタのペア特性選定方法について、元記事にも説明がありますが、私はhFEで選定しました。使用したトランジスタ 2SA1015GR も 2SC1815GR もhFEが260~280のロットからhFEを計測して並べます。差動増幅のペア特性が重要な部分は最大偏差5以内のものを使いました。その他は±5以内にしました。

【試作品】
HPA_discrete_6.jpg

手持ちの抵抗を使ったので、炭素、金皮、サイズがバラバラです。
入力にコンデンサが入っていますが、多分不要でしょう。

単三アルカリ電池を2個付けました。電流を計測したいので40mΩ±1%のチップ抵抗を電源線内に挿入しています(赤〇部

1kHzサイン波を入力してチップ抵抗電位差を計測しました。私のテスターでやっと計測できる 0.1mV でした。電流に換算すると 2.5mA です。シミュレーション結果を再現しています。
消費電流が2.7mAということは、市販アルカリ電池で700時間とか1000時間の電池ライフになります。これはすごいです。

参考までに出力端子のオフセット電圧は、左0.0mV、右-0.2mV でたいへん良好でした。

【歪率】
HPA_discrete_4.jpg

波形の繋がりが、ややギクシャクしてますが(これは歪率計測のWaveSpectra が示す THD の値がバラツクので、その読み取りバラツキも入っているものです)、最小歪率は 0.023% at 1Vrms です。シミュレーション結果の 0.024% at 0.93Vrms とほぼ同等の結果を示しました。これは素晴らしいことです。

【周波数特性】

HPA_discrete_5.jpg

いやいや、これも素晴らしい結果です。何と、5Hz~100kHz 間が全くのフラットです。
(500kHzが少し上がっているのは位相補償コンデンサが330pに対して部品入手の都合で390pになっているせいかもしれません)


素晴らしい結果ですが、エージングのために一晩放置しました(こんな低電流でエージングなるのかな?サイン信号入れておけば良いのかな?とりあえず無信号です)
電池電圧は、1.559V が一晩経って 1.543V でした。

【出音】

エージングが進んだのか判然としませんが、その1:スーパーエミッタ に比較して、元気で活性の高い音色というのが第一の感想です。

何か気持ちが良い音がします。
ビブラフォンとベースが混在した楽曲は、綺麗に響くビブラフォンを中心に、かなり低域まで引っ張るベースが支えるワクワク感と広がり感があります。
女性ボーカルでは、歌う姿が目の前にあるような錯覚があります。
フル・オーケストラの様々な楽器が広がって定位している感覚があります。

多分ですが、ぺるけさんのFET差動HPAの歪カーブにあるように、出力レベルが上がってくると歪レベルが下がる傾向に似ています。もしかするとこのカーブが影響しているかもです。

尚、入力カップリングコンデンサの影響を排除するため直結してみてもこの音色感は不変でした。

いや、これは久々の大ヒットHPA と言えるでしょう。
是非、作ってみることをお勧めします。

HPA_discrete_7.jpg

あまりにも素晴らしい音なので、しばらくは使ってみたい。とりあえず簡単な透明プラスチックケースに入れました。電池は残念ながらケース内には収まりません。電源スイッチやLEDも付いてませんが・・・


------------- 2017/08/13 追記 -------------------
【基板をデザインしてみました】

「是非作ってみては」とは言ったものの、32個ものトランジスタをユニバーサル基板で配線するには相当の根性が要ります。自分でもそれを思うと挫けてしまいますね。

と思って、EAGLEで基板レイアウトをしてみました。

いつも使っているプラスチックケース・タカチ GHA7-2-9では、とても無理のようです。厚みは同じで単三電池2個のスペースも同じですが、基板の奥行きが20mmも長くなるケースがあります(GHA7-2-11)。ケースサイズの奥行きが9cm から 11cm に増えますが、ポータブル可能なサイズと思います。

HPA_discrete_8.jpg

手前が入出力と電源系です。電源と言っても、電池2本の接続端子と電源コンデンサ、そしてON-OFFスイッチと電源LEDがあるだけです。Li-ion電池を使うとすると、保護や充電ICが場所を取るので、乾電池2本というのはGoodです。

参考までに、電源コンデンサを付けなくとも、電池だけでかなりの性能が出ます。このブログの試作器には付いていません。

今回の配置では、できるだけチップ抵抗を使わず、音に影響がないところは1/6W炭素抵抗、入力や負帰還抵抗、Zebelフィルタ抵抗には1/4W金属皮膜抵抗が使えるようにしました。(なけなしの利休抵抗使おうかと・・・)
これならば簡単に半田付けができるので、「自分で作った感」が出るのでは思います。

良く見ると、今までは必ずあった可変抵抗器がありません。A級動作のHPAではアイドル電流調整のため必須の部品でしたが、このHPAには必要ありません。ペアトランジスタのhFE選別をしっかりやれば、再現性の良いHPAができると思います。

意外に場所を取るのがZobelフィルターのコンデンサーです。少し幅の広いものが付けられるスペースを確保しました。

---------------------- 2017・8・19 追記 ----------------------

【従来ケース用基板サイズに押し込みました】

HPA_discrete_9.jpg

やはり縦寸法が11cmに増えるのはコンパクトが身上の私としては抵抗があるので・・・、従来のケース・タカチ・GHA7-2-9 が使える基板に押し込んでみました。

これを行うためのスペース縮小には以下の2つが必要でした。
・電源用電解コンデンサを外す。試作器にも付いてませんが電気的特性や音感に不足ありません。
・抵抗は縦置きに装着する。

かなり苦しい配置ですが、設計上は収まりました。

この図の部品番号を、トラ技SPECIAL 2017 Summer No.139 の元記事 P49 図28 の回路図に記載されている部品番号に合わせたものがこの基板図になります。

HPA_discrete_10.jpg

但し元図に於いて、抵抗の場合 「R番号」となっているものが基板図では左右chあるので、左chは 「RL番号」、右chは「RR番号」としてます。
トランジスタも同様に「Tr番号」を、「TL番号」「TR番号」としています。
コンデンサは「C番号」が「CL番号」「CR番号」です。

トランジスタのTr1とTr2 (上図では、TL1とTL2、TR1とTR2) は熱接合ですのでぴったり合わせていますが、他はケース装着の大きなホールを避けるので、左右chの配置がかなり違っています。

こんな基板があれば、元記事を参照しながら作ってみることが楽になるのではないでしょうか?

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【小型基板を製作】
小型基板が出来上がってきました。
HPA_discrete_13.jpg

seeed fusion ではレジスト色を変えても基本料金の$4.9/10枚(日本語ページ設置キャンペーン価格)でOKなので白くしてみました。部品番号が見やすいです。(でも、送料が3倍かかります)

HPA_discrete_12.jpg

部品を取り付けてみると、さすがに超密集状態ですね。あまり美しくないかな・・・ しょうがないか。

このアンプの良いところ一つに調整するところが全く無い、だれが作っても同じものが作れる再現性の良さがあります。
DCバランスも20mV程度ありますが無調整でこれだけならば問題無しでしょう。

特に今回使った2SC1815 と 2SA1015トランジスタですが、同じロットの物を使えばそれぞれのhFEはかなり良く合ってます。しかし、1815と1015間のhFEを合わせることが難しい場合が多いので、今回はそれを意識して、1815のhFE は300程度、1015の hFE は240程度の物を使ってみました。顕在化した問題は起こらないようです。

音に直接係らない抵抗は、1本1円の秋月カーボン抵抗です(茶色)
入力と負帰還抵抗は、今は生産停止した利休RO金属皮膜抵抗です(青)。秋月の残り在庫も種類が無くなりましたね。

zobelフィルタに使っているフィルム・コンデンサは、元回路では0.047uFですが、手持ちの関係で0.1uFです。
原設計カットオフ周波数は100kHz程度ですが、0.1uFに替えると480kHz程度になりますが、まあOKとしましょう。

HPA_discrete_11.jpg

試作器から単三アルカリ電池2本の電源を回して早速の試聴です。

・・・あれっ? 全く音が出ないよ。 ・・・何と信号線が繋がっていないとこがありました。またまたミスでした。
細いジャンパーを繋げて修正です。

HPA_discrete_14.jpg

白い基板の悪いところは、フラックスの黄色い汚れが目立ちますね。

音は試作器と同じ元気で活性の高い音ながらも、細やかな部分の音も再生してくれます。
更に特徴的なのは素直に伸びながらも締まった低域です。ベースの音色が素晴らしいです。

増幅率は約3倍なのですが、私のPC楽曲再生器からの入力ではボリュームが9時方向でもかなり大きな音になります。もう少し(1.5倍程度)に増幅度を下げてみました。幸い入力抵抗も2倍の値の利休RO抵抗がありました。この増幅度は金田式もどきHPAと同じになります。

まだ少し増幅度が高いように感じますが、私のヘッドフォンは能率が良いのでこれくらいの増幅度にしておいた方が良いと考えます。9時方向で音楽を楽しむ音量Max位です。

それにしても良い音です。
ケースに入れてあげたほうがよいですね。

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2017/9/6 本器の音を再評価

この数日、今までに沢山作って来たHPAで、「音の良さ」で残している5機種の音を比べました。
この結果の詳細は別のブログで紹介したいと思いますが、特筆すべきは本器の音でした。

高域の音色に特徴があると思っていたのですが、こうして聴き比べをするとその特徴が明確になります。

シンバルが鳴って、その響きがキーンと鳴って終わるくらいまでの高域再生が、他のアンプよりも秀でています。
この特性からでしょうか、音楽の「襞(ひだ)」のような、繊細さと言う表現を超える、「何か」を感じます

このアンプ、魔性かもしれません。




トラ技SPECIAL掲載のHPA(その1)

トランジスタ技術SPECIAL誌 2017 Summer(No.139) 版に、面白そうなヘッドホンアンプの記事が掲載されています。

いずれもディスクリート構成なので、本誌のメインテーマ 「トランジスタ回路の読み解き方&組合せ方入門」の勉強には最適の例題になっています。CQ出版社で販売していますので是非お読みになってください。

私なりに遊んでみた結果を中心に記載します。回路も掲載しますがその定数はブラインドします。

その1は、「無帰還でひずみ0.003%以下!フルディスクリート・ヘッドホン・アンプ」(加藤大 氏)です。無帰還、0.003%に惹かれ、シミュレーション、ユニバーサル基板で製作、歪率の計測、基板設計までやってしまいました。

【回路】
記事を書くのに回路図が無くては説明ができないので、本誌掲載の回路でLTSpiceの検証を行った回路図を掲載します。但し、抵抗定数はブラインドしています。元記事を参照願います。

HPA_mukikan_1.jpg

この回路の最大の特徴は、Q5、Q12のトランジスタとQ4の定電流を組み合わせた「スーパー・エミッタ・フォロア」という回路の部分です。記事によればこの回路の素は、MOSトランジスタの回路技術にあるスーパー・ソース・フォロアをMOSをバイポーラ・トランジスタに置き換えたものと言うことです。詳細(その仕組みと性能)は元記事を参照ください。

その基本回路に対し、定電流回路の追加、インバーテッド・ダーリントンTrの追加、更にこれらを上下に完全対称とした回路が上図となる との説明です。

これらの回路を構成するトランジスタの総数は、左右チャンネル合計で 何と!26個にもなります(12+12+定電流2)

LTSpiceでのシミュレーション、試作を行うに当たり、記事掲載の回路を一部変更しています。回路左は定電流回路ですが、元記事ではここに300μAのCRDを入れていますが、CRDは過去にノイズがあった記憶があり、今回はJFET(Idss0.95mA)と抵抗の組み合わせで300μA流れるようにしています。尚、この定電流回路は左ch、右chに共用できます。

Q12,Q13 及び Q2,Q7 は安定した定電流特性を得るため熱接合させる必要があります。

【シミュレーションの歪率計算結果】
LTSPiceの計算結果は素晴らしいものです。最大入力1Vp-pで出力1Vp-pです(バッファアンプです)。最大歪量は入力レベルで大きく変動しません。入力1Vp-pで歪率は何と! 0.00048%でした


備忘録2件:

1.
使用しているトランジスタは、一般的で私も多数所有している 2SC1815、2SA1015 にしましたが、元記事では 2N3904、2N3906 が使用されています。前者は東芝オリジナルですが、最近は東芝製は入手が難しくなって来たようで、セカンドソース品が売られています。但し、留意すべき点は2SC1815 と、2N3904 ではピン・アサインが異なります

2.
私は 2SC1815、2SA1015 でシミュレーションしましたが、当初使っていたモデルでは猛烈な発振が起こりました。成すべきなく、トラ技のモデルを使ったところピタリと発振が止まりました。

(発振あり)
.model Q2SC1815 NPN(Is=2.04f Bf=160 Br=3.377 Xti=3 Eg=1.11 Vaf=6 Ne=1.5 Ise=0 Ikf=20m Xtb=1.5 Nc=2 Isc=0 Ikr=0 Rc=1 Cjc=1p Mjc=.3333 Vjc=.75 Fc=.5 Cje=25p Mje=.
(発振無し)
.MODEL QC1815 NPN  (IS=4E-14 BF=170 BR=3.6   VA=100 IK=0.25 RB=50 RC=0.76 CJC=4.8p CJE=12p TF=0.63n TR=25n)

私のスキルではどこが問題なのか判りません。実際に試作してみると、(発振無し)を使っても良いようです。

【試作】
トラ技の記事にもユニバーサル基板で組んだ写真が掲載されていますが、ここでは配置と配線図を記載します。
PasS というツールで構成した基板図の画像です。

HPA_mukikan_9.jpg
赤い線は部品面の配線、青い線はハンダ面の配線です。
注意:これはトランジスタに2SC1815、2SA1015 を使った場合の配線図です。2N3904、2N3906 ではベースとコレクタ位置が入れ替わっています。

HPA_mukikan_4.jpg

ユニバーサル基板に設置した回路です。

【音出し1】
やはり、何といっても一番先にやってみたいのは、その音出しです。
リチウムイオン電池2個を使って音出ししました。

HPA_mukikan_3.jpg

エージングもしてない初期の音ですが、何かとても素直な音感です。素直と言うと低音も高音も出ないような響きですが、そうではありません。低音、高音をチェックすべき楽曲でテストしてみましたが、いずれもパフォーマンス豊かで綺麗な発音です。

この音に惚れました。早速ケースに実装してみます。

HPA_mukikan_5.jpg

いつも使っているケースに実装してみました。この薄さですのでリチウムイオン電池は内部に入れられません。
入出力端子やボリューム、そして充電回路やリチウム電池保護回路はV6-2の基板を切り出して流用しました(実はこの改造が大変でした)

HPA_mukikan_6.jpg

充電LEDの点灯もOKです。充電中は高輝度に点灯します。

HPA_mukikan_7.jpg

充電が終了すると減灯します。問題の改善ができました。
標準電圧LED(1.8-2.0V)が適切で、高輝度LEDは充電ICと特性が合いません。

【音出し2】
充放電テストを兼ねて1昼夜近くエージングした音出しテストをしました。

HPA_mukikan_10.jpg

エージングと共に明瞭度が増しました。これはエージングで経験する最大の変化です。
全体的な音の感じは落ち着きがあります。長時間聴いていても疲れない感じです。
しかしながら、低音や高音の伸びにも不足感は全くありません。

【実測歪率】
アンバランス出力ならば WaveSpectra を用いて歪率の計測ができます。

HPA_mukikan_11.jpg

シミュレーションしたのは1Vp-p入力まででした。
ここでは1.1Vp-pまでテストしました。最大出力は0.8Vrms(18mW at 36Ω)です。
最低歪率は 0.04% 程度を示していますが、私の歪率計測システムのノイズ系が0.03%程度あるのでかなりの低歪であるのは納得できます。

【周波数特性】
HPA_mukikan_12.jpg

0dB領域が、20Hz~40KHzです。-3dB範囲ならば、5Hz~108kHz範囲と良好な特性を示します。


【基板の検討】
出音の素晴らしさに感動して、いつものケースに実装できるか、基板の成立性を検討してみました。

HPA_mukikan_8.jpg

先に採用を考えている角型Li-ion電池 850mAh (50x34x5t)では部品エリアが狭く、少しサイズの小さい 650mAh (40x30x5t) にすれば基板上下で4mmのエリアが増えるので、それで設計が成立しました。
Li-ion電池使用を前提にしているので、供給電圧は±4Vです。 Li-ion電池は内部抵抗が低いので瞬発的な電力供給ができます。よって作例と同じように電源コンデンサを排除しています。



金田式もどきDCヘッドホンアンプ・リニューアル(その2:基板デザイン)

どのケースに入れようかと様々に悩みましたが、それらにはそれぞれ一長一短があり、結局のところ今までと同じタカチ・GHA7-2-9Dシリーズを使うことにしました。

【回路図・一部分】
先のブログで述べた、初段定電流回路をカレントミラーにする回路は、このアルミケース・バージョンで既に採用しているので実績があります。
このアルミケース・バージョンでは、「金田式回路に」対して
・2段目差動出力の負荷抵抗を削除して、「インバーテッド・ダーリン接続の変形」回路にしていた
(言い訳になりますが、インバーテッド・ダーリントン変形回路の方が、14%ほど高出力)
・終段増幅前のドライバー段を割愛していた。

即ち、金田式もどき回路から遠く離れてしまっていました。歪率のLTSpiceシミュレーションや実測特性では良好だったのですが、「音色」となると変わっていた可能性があります

そこで、「オリジナルの金田式DCヘッドホンアンプ回路に近づける」 (定電流はカレントミラーに変更する)
となると、こちらで大ヒットした回路カレントミラー定電流ロングライフLi-ion電池となります。

HPA_kane_DC_New_Bat_10.jpg

【基板図1】
今回も赤い基板で作ってみようと思います。

HPA_kane_DC_New_Bat_8.jpg

これまで電池ケースにLi-ion電池を収納していた部分へ基板を延長し、この部分に下側にLi-ion電池保護ICと充電IC回路を付けます。上側のフラットスペースに5mm厚さの角型Li-ion電池を重ねて2個貼り付けます。
左側に8mm程のスペースがあるので、そこに microUSB 充電端子、充電LED、Li-ion電池接続端子を設けました。

HPA_kane_DC_New_Bat_9.jpg

基板のパターン図です。かなり複雑です。

GNDラインを真ん中に通せばすっきりするのですが、動作時と充電時に左下スイッチがGNDラインとの切り替えを介するのと、中央を通すための障害物が多いので、左側を通して電池端子とスイッチを接続しています。

電源ラインや音響出力パワーラインは0.8mm若しくは1.0mm幅にして十分な瞬時電流に耐えるようにしています。

【回路定数の検討】
2段目差動増幅からドライバー段への接続を、インバーテッド・ダーリントンの変形回路を止めて、負荷抵抗方式にしたので、差動増幅へ流れる定電流値の見直しが必要になる。
カレントミラー定電流回路の良いところは、定電流に使うFETのIdssに制約があっても、カレントミラーの抵抗値比を変えることで定電流値の大きな調整ができることにあります。 (最も良いところは0.7V程度の低い電圧で動作することにありますが)

今回使用する定電流用FETは2SK208-Oで、そのIdssは約0.95mA程度です。これは最大流せる電流なので、調整余裕度を割引き、その8割程度の0.78mAが定電流値になります。この電流値で初段差動増幅回路の定電流値0.59mAx2倍=1.18mAを流すために、カレントミラーの抵抗比 150Ω/90Ωで増幅します。

LTSpiceでシミュレーション
HPA_kane_DC_New_Bat_11.jpg

J4 J2SK30_095とあるのが 2SK208-O の 0.95mA Idss 相当品です。カレントミラー Q8 Q7 R18 R1 の組み合わせで構成し、R17(実際は半固定抵抗)で定電流レベルを調整します。この回路ではR17を140Ωにすると終段増幅回路のアイドル電流が約11mAになります。
(注:最初に掲載した回路図はシミュレーション前のものです)

この回路定数で歪率計算すると、通常使用されると思える 10mW出力での歪率は 0.006144%、最大出力は 59mW (1%歪率、36Ωインピーダンス)になります。

今回も seeed.comのFusin に発注しました。今もディスカウントの4.9$(通常9.9$、100x100mm、10枚)ですので、送料を+500円奮発し、EMSからFedex 便にしました。


次の課題は最も苦手な、「ケースをデザイン・シールで飾る」ことです・・・
具体的な内容は
1.どんなデザインにするか、これが最も大変
2.黒いケースに透明シールで鮮やかな発色を得るためには、塗色部ベースに白塗りをする技法修得
3.複数レイヤーで描いた画像を、複数個所に位置合わせしたコピーをすること

これらは Photoshop 6.0 を使って描くのですが、何せ古いソフト故に全く同じ操作例がWEBに載ってません。
こちらのHPAでシールを作ったのですが、あれから2年ぶりで行うことなのですっかり忘れてます・・・

シールの例
HPA_opamp_11.jpg

ヘッドホンの小さな絵を描いているのですが、黒バックに青色画像だったのでかすかにしか見えない失敗作でした。
文字も、もっとデザイン調でカラフルなものが良いですよね。




7.1ch対応バランス型DCパワーアンプの製作(その2:2chアンプ)

先に記載した7.1ch対応バランス型DCパワーアンプの2chバージョンを作りました。これで5ch作ったことになります。

アンプ基板の基本回路はこちらの記事と同じですので割愛します。

【内部配置】

AMP_kane_DC_BAL_11.jpg

先の3ch内蔵アンプに比較すれば収納余裕度は十分です。

右上がXLR3コネクタによるバランス入力で、手前の4連ボリュームに接続され、そこから左右アンプ基板のHot,Cold端子に接続されています。
前作と同じで、アンプ側にも電解コンデンサ 9900uF x ±2セットを備えています。
トランジスタの放熱は小さなヒートシンクとアンプケース下面で行っています。チャンネル当たり最大6Wですが、ハーフボリューム(それ以上は音が大きすぎて6畳部屋では限界)でケースがほんのりと温かくなる程度です。

【電圧とアイドル電流】

AMP_kane_DC_BAL_10.jpg

テスト動作させながら電源電圧(左)とアイドル電流(右:表示の4.5倍)を表示しています。
電源電圧は±両端で21.7V程度なので想定通りです。
アイドル電流は 64mA相当を示しています(中心で65mAセット、負荷によって若干変わるが50~75mA程度にある)

【3筐体セットの状態】

AMP_kane_DC_BAL_12.jpg

下から電源ユニット、3chアンプ(HIGH:2ch、CENTER:1ch)、2chアンプ(SURROUND)が重なっています。

AMP_kane_DC_BAL_13.jpg

更にこの上に2chアンプ(SURROUND BACK)が載る予定です。(電源出力コネクタ2個は未設置)




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電気オンチが始めた自作オーディオです
2010/3/17 電子工作をプラスしました。

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