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据置き型バランスDCヘッドホン(ライン)アンプの3回目の製作

本年8月に本タイトルと同じバランス型のDCヘッドホンアンプを作ったのですが、ラインアンプとしても本格的に使用したいというご要望があり、前面にXLR3の出力端子を増設した3作目を作りました。

【前面】
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_1.jpg

XLR3のバランス出力端子がLEFT、RIGHTと2個並んでいるのが今回アンプの変更点です。
隣には従来と同じ、XLR5のヘッドホン出力(XLR3とパラ出力)が並んでいます。

前面のフラットエリアが少なくなって、ロゴシールが張れなくなったので、天板に大きなロゴシールを貼りました。今回使ったシールは透明度が高いのでシール地が目立ちません。

【背面】
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_2.jpg

背面は1作目と変わりません。

左からバランス入力のXLR3端子がL・Rと並び、中央部にはアンバランス入力のRCA端子があり、間にあるSWでCOLD入力をGNDに落とすか落とさないかの切り替えを行うことで、バランスとアンバランスの入力切り替えを行っています。
詳細はこちらの記事を参照願います。

DC15V電源入力端子、ヒューズを挟んだ右側にアンバランス出力のRCA端子があります。後述するようにHOT出力部にDCカットのカップリングコンデンサ入れて出力しています。

【内部配置】
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_3.jpg

この図は前面方向から内部配置を見たものです。

左手前側にオペアンプでDC補正を行うレールスプリッタ電源で、DC15V入力を仮想±7.5Vに分圧しています。コンデンサ(4700uF/25V)が3個あるのは、プラスとマイナス間、プラスとゼロ電位間、ゼロ電位とマイナス間の3か所に入れているからです。

後側に2枚並んでいるのがメイン基板です。後ろから見てL・Rの並びにして配線ミスを防止しています。

白いケーブルは、音質で定評の高い立井マイクロホンケーブルから芯線を取り出したものです。バランスの入力および出力に捩って使っています。

【基板図】
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_9.jpg

赤いジャンパー線は8本程と少ないので、この基板には片面感光基板を使っています。
右側の上下中央に見えるコンデンサが、HOT出力からのカップリングコンデンサで先に記したRCA端子からアンバランス出力を出しています。

【回路図・EAGLE】
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_7.jpg

【回路図・LTSpice】
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_6.jpg

LTSpiceで回路定数を決めたり、最終的な歪率をシミュレートするために使っています。
私の歪率計測機器はバランス出力の計測ができないので、これが頼りになります。
画面に見えるSpice Directiveの左は、一定レベルのSin波を入力させ出力波形を描くもので、主に各部の電圧や電流の状態を見ながら回路定数を決めていくときに使います。
右側の
Spice Directiveは、定数がFixした回路に対して、入力電圧をパラメータにして出力波形の歪率と出力を計算させるものです。

【LTSpiceによる計算結果】
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_8.jpg

1Vp-p入力で2.75Vrmsの出力が出ます。75Ω負荷抵抗で計算させていますので、出力としては、2.75 x 2.75 ÷ 75 = 0.1008 w ですので、約100mWの出力で、その時の歪率は0.018%THDということになります。
ヘッドホーンで100mW出力はまずありえない轟音ですので、通常使うと思える最大出力の16mWでの歪率は、0.0017%THDと一桁少ない歪率でした。

回路の説明や基板製作の注意点などは、2作目であるこちらの記事に書きましたので、本3作目になるこの記事ではケースの加工手順に少し詳しく記載しようと思います(2作目でも少しは記載してますが、写真がありませんでした)

【基本的な加工ツール】
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_18.jpg

2作目にも載せたツールですが、右が1mmドリルのハンドツール。穴あけ位置をマーキングしたり、1mm程度の薄いアルミ板位なら手で穴を開ける際に使います。

右から2つ目がφ4.5、6、8、10、12のステップドリルです。今回の場合はスイッチの取付穴(約6mm)、ボリューム取付穴(約8mm)、RCA端子(約10mm)、DCジャック&ヒューズホルダ(約12mm)はこれを使います。

同3つ目がホールドリルです。私が持っているのはφ18、19、20、21、22の5種です。XLR端子などの大きな穴開けに使います。

この他にφ1.5~6.5mmまで0.5mmピッチのドリルセット、加工用の電動ハンドドリルです。

【ケーズ穴加工手順】
1.CAD図を使って加工位置をマーキング
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_10.jpg

JW CADで1:1の端子配置図を作って印刷します。タカチ製ケースを使っていますので、ケースのDXFデータをダウンロードし、その上に端子図を配置します。上の図はケース背面の印刷を貼り付けて加工しているもので、加工位置をφ1mmのハンドドリルでマーキング後に、電動ドリルでφ1mmの下穴加工をしているところです。
手間はかかりますが、こうしておけばφ1mm穴が次の加工の案内になるので、加工位置ズレを起こすことが殆どありません。

またCADを使って部品配置を行うもう一つの目的は、部品相互の干渉をチェックすることにあります。

HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_19.jpg

2.下穴加工が終わりました
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_11.jpg

φ1mm穴加工後に、その位置にφ2mmドリルで下穴サイズを大きくしています。φ1mm穴加工は1か所に30秒ほど掛かりますが、φ2mm加工は下穴があるので数秒で終わります。

3.φ2mmの下穴加工が終わったところです
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_12.jpg

この段階になればCADの下図は不要です。外すと青い保護シールが現れます。

4.XLR端子などの3mmビス止め穴をφ3.2mmドリルで加工します
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_13.jpg

LED穴だけはφ3mmドリルで加工します。
この後は大きな穴サイズになるので、青い保護シールは剥がします(シールと部材の隙間に切り粉が入る)。表面に傷を付けないように慎重な加工が必要です。

5.大きな穴の加工
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_14.jpg

XLR端子などの大きな穴はホールドリルで加工します。

HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_15.jpg

中心にセンター穴加工ドリル、ガイドドリルが付いており、2mm幅程度のカッターが付いています。

HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_16.jpg

こんな感じで加工されていきます。ハンド式電動ドリルでも十分に加工できます。トルクの高いドライバー兼用電動ドリルがお勧めです。

6.加工が完了しました
HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_17.jpg

穴あけ後のバリ取りや少々のサイズアップには加工ツールで示した左端の工具を使います。これはHOZAN製のK-35というバリ取りツールなのですが、切れ味が素晴らしいのと、斜め部分でコーナーのバリ取り、先端のストレート部分で穴のサイズアップ加工ができます。
XLRコネクタ加工のホールドリルがφ22で、XLRコネクタがφ23だったのですが、このツールでサイズアップ加工ができました。また今回使ったXLR3コネクタは周囲に凸がある形状だったので、ヤスリを使って部分的な加工をしています。

以上の手順で加工すれば、3mm肉厚のアルミ板でも綺麗に加工ができます。

使用したアルミケースは、タカチOD49-20-23(高さ49mm、幅230mm、奥行き200mm)です。
このケースの使い方は幅方向と奥行き方向が私とは逆に使うような想定で、1.5mm厚さの板部分に部品を取り付けるようなのだが、フラット面が前後にある方が見栄えが良いので、あえて板厚が厚い部分にコネクタ加工をしています。


以上、今回3作目のバランス型DCヘッドホン&ライン・アンプでしたが、ケースの加工手順を少し詳しく記載しました。

それにしてもバランス型ヘッドホンアンプの音は、分解能・定置・彫りの深さなど素晴らしいものがあるのは確かです。

「紺屋の白袴」という例えがあります。私の場合、こんなスケールのバランス型ヘッドホンアンプは使えないのですが、バランス型の音の素晴らしさには敵わず、下図の自作アンプを愛用しています。

HPA_kane_BAL_DC_HeadLINE_20.jpg

私の工作台に置かれたバランス型ヘッドホンアンプです。NJU7043Dというオペアンプで作ったバランス型ヘッドホンアンプです。単三電池2本で100時間以上動作すると思われます。久しく電池交換してませんがずっと動いています。
深夜にYoutubeを見るときでも使ってます。

作例は、こちらこちら、そしてこちらです。頒布した時の記事にまとめがあります。

バランス型アンプにどっぷりと浸かっていますね。




据置き型バランスDCヘッドホン(ライン)アンプの再製作

この5月に作った同じタイトルのバランス型DCヘッドホンアンプなのですが、性能というか音の素晴らしさで、是非ラインアンプとして2台増設したいというご要望が出ました。

【2台を前後向きに並べた外観・レタリング前】
HPA_kane_DC_BAL_No2_1.jpg

2台を同時に製作したので加工の作業量が凄かったです。
アンプ基板には1枚当たり約140個の穴加工が必要です。0.8mmドリルでの加工なのと、穴位置が少しでもズレると基板パターンから外れるので気を使います。
集中して作業をしないと位置合わせの感覚が狂うので、一気に加工を行いましたが半日かかりました。

【外観・前側】
HPA_kane_DC_BAL_No2_5.jpg

前作から変わったのはバランス出力のXLR5メス端子が2個から1個になりました。
前作はバランス型ヘッドホンアンプ用途だったので端子を2個並列に設置しましたが、今回はラインアンプ用途なので1個です。
大型のプラスチック製ボリュームノブは、4連ボリュームと同じ三栄電波ドットコムから入手できます。

【外観・後側】
HPA_kane_DC_BAL_No2_6.jpg

左からバランス入力のXLR3コネクタ、バランス/アンバランス入力切換スイッチ、アンバランス入力のRCAコネクタ、2Aヒューズホルダ、DC入力コネクタの順に並びます。
前作ではアンバランス出力も設けましたが今回は廃止です。

【内部の配置】
HPA_kane_DC_BAL_No2_2.jpg

ケース内部への基板配置は、左下にOPアンプでセンター電圧を合わせる機能を持ったトランジスタを使ったレールスプリッタ電源回路です。左右にバランス型DCアンプ基板を配置してます。LRを間違えないように後ろ側から見てLRを配置してます。
尚、やや太く見えるネジった白い線は入力信号線です。マイク用コードとして定評の高い立井マイクコードの芯線を使って配線しています。

【ケースへの端子配置】
HPA_kane_DC_BAL_No2_12.jpg

コネクタ配置はケース図面をダウンロードし、JW-CADで原寸図を印刷して加工位置をマーキングします。
こうすれば手早く正確に加工位置が決められます。

使用したアルミケースは、タカチOD49-20-23(高さ49mm、幅230mm、奥行き200mm)です。
このケースの使い方はタカチの製品ページ写真(下図)のように、幅方向と奥行き方向が私とは逆に使うような想定なのだが、フラット面が前後にある方が見栄えが良いので、あえて板厚が厚い部分にコネクタ加工をしています。
HPA_kane_DC_BAL_No2_15.jpg

【加工ツール】
HPA_kane_DC_BAL_No2_14.jpg

私が使っている加工ツールを使ったケース加工方法を紹介します。

一番右にあるφ1mmドリルで先に示した加工位置にマーキングします。その後、このφ1mmドリルを電動ドリルに付け替えて穴開けを行います。面倒でも必ず1mm穴を開けてから大きな穴加工に移ります。こうすれば穴位置がずれることはほぼありません。

次にφ4、φ6、φ8、φ10、φ12のステップドリル(右から2個目)で加工をします。
私が使っている部品では、スイッチ穴はφ6、RCA穴はφ10、DCジャックやヒューズホルダはφ12です。
(固定ネジ穴はφ3.5、LED穴はφ3.0のドリルを使います)

XLR端子の穴は大きいので右から3個目のホルソーを使います。加工には少々時間がかかりますが、電動ドリル(高トルク型)で4mm板厚のアルミでも加工が可能です。

穴あけ後のバリ取りや少々のサイズアップには左端の工具を使います。これはHOZAN製のK-35というバリ取りツールなのですが、切れ味が素晴らしいのと、斜め部分でコーナーのバリ取り、先端のストレート部分で穴のサイズアップ加工ができます。
XLRコネクタ加工のホルソーがφ22で、XLRコネクタがφ23だったのですが、このツールでサイズアップ加工ができました。

【回路図】
HPA_kane_DC_BAL_No2_13.jpg

前作と基本的に変更ありません。
細かいことですが、2段目差動増幅からドライバー段に繋がる負荷抵抗が手持ち部品の関係で620Ωから680Ωになったのと、カレントミラー定電流回路に使っているFET、2SK30AのIdssが2mAから1.8mAになるので、差動増幅2SK170BL直下のカレントミラー抵抗を110Ωから100Ωに変更しました。
シミュレーションでは2SK30A直下の抵抗(実回路では0-500Ωの可変抵抗)値が180Ωでアイドル電流が15mAになるのですが、実際作ってみると、可変抵抗値は200~220Ω程度でアイドル電流が15mA程度になりました。

【バランス/アンバランス入力の切換回路】
HPA_kane_BAL_DC_4_18.jpg

前作と全く同じですが掲載しておきます。

【アンプ基板図】
HPA_kane_DC_BAL_No2_16.jpg

部品を実装した基板図です。
青の線が基板パターン線です。片面基板なので赤が部品面のジャンパー線です。
pdfの実パターン基板図も掲載しておきます。HPA_kane_BAL_DC_4_2_brd.pdf です。

【製作に当たる留意事項】
・基板図には終段トランジスタが2SA1428になっていますが、私が実際に使ったのは2SA1358Yでした。
 ここにはコレクタ損失が1000mW以上程度のものを使ってください。上下のhFE差は20以内をメドにしてください。
・初段差動増幅の2SK170BLはVgsで選別しています。Vgs -0.130 ~ -0.300V内から偏差±0.004Vのものをペアとします。
・定電流用2SK30AのIdssが1.8 ~ 2.0mAのものを選びます。
・第2差動増幅の2SA1015、及びドライバー段上下の2SC1815はhFE偏差が7以内のものをペアとして使います。
・500Ωの可変抵抗はボリューム位置を右一杯にしておいてください。
 電源が正常に入ってから10Ω抵抗両端電圧を測りながら徐々に左に回していくと、0mVから急に上がります。
 適正値はアイドル電流15mAの両端電圧150mVです。±50mV程度が調整範囲です。
・100Ωの可変抵抗はボリュームを中央にしておいてください。
 ボリュームをゼロにした状態で、バランス出力端子間DC電圧が 0±5mVになるように調整します。

【製作後記】
5月の前作以来、3か月ぶりに本器の音を堪能しました。
前作では様々なトラブル(と言っても私の失敗)のために試聴時間が十分取れなかったのですが、
今回は調整を兼ねてかなりの時間、音楽を楽しまさせてもらいました。
バランス型特有の音の分解能と定位性の優れた音ですが、かなり締まった低域の音感がハッとさせます。
十分なパワーがあるので、音量を上げて行っても音割れ等の破綻がありません。




据置き型バランスDC/アンバランス・ヘッドホンアンプの製作

久々に記事を書きます。1月頃にバランス型DCパワーアンプを作ったのですが、予定と違った仕様になってしまい記事にできませんでした。

今回はそれのリベンジとも言える、バランス型DCヘッドホンアンプの製作です。
私のバランス型アンプを多数使って頂いている方からの依頼品です。

【外観・前】
HPA_kane_BAL_DC_4_17.jpg

左からパワースイッチとLED青、XLR5のバランス型ヘッドホン出力端子2個並列、4連ボリュームのノブです。
使用したアルミケースは、タカチOS49-20-23(高さ49mm、幅230mm、奥行き200mm)です。

【外観・後】
HPA_kane_BAL_DC_4_2.jpg

同じく左から、バランス入力端子XLR3、バランス/アンバランス入力切換スイッチ、アンバランス入力RCA端子、ヒューズ及びDC15入力ジャック、アンバランス出力RCA端子

即ち、入力/出力共にアンバランス/バランスが使えるヘッドホンアンプになります。

【内部の配置】
HPA_kane_BAL_DC_4_4.jpg

手前左がオペアンプで中点電圧ゼロを修正するレールスプリッタ電源基板です。35V/4700μFの電解コンデンサをプラス側、マイナス側、そして±両極を跨いだ部分に入れています。

奥側左右に若干オフセットしてアンプ基板がL,R分並んでいます。

外寸高さが49mmのケースなのですが、内寸高さは37mmしかありませんでした。よって電解コンデンサが寝ています。

【ケースへ端子配置の設計図】
HPA_kane_BAL_DC_4_20.jpg

外寸の割に内寸がかなり狭くなるケースです。高さ49mmの上サイズが70mmと21mmも大きくなるので、プロポーションから考えてこれを選択しました。結果、内部のコンデンサは横置きになりましたが、アンプケースとしてはバランスの取れたプロポーションになっていると思います。


【回路図】
HPA_kane_BAL_DC_4_15.jpg

LTSpiceの回路図です。
この回路の基本は金田さんのインバーテッド・ダーリントン接続のヘッドホンアンプをベースにバランス化したものです。

金田さんの基本回路と大きく異なるのは、初段差動増幅に使っている定電流回路です。
金田式の場合、ここにはJ-FET1個と抵抗1個を組み合わせたもので、FETのIDSSに依存(選別?)します。

HPA_kane_BAL_DC_4_16.jpg

上図回路は定電流用FETに調整抵抗を付け、それをカレントミラー回路で分流しています。
そうすることで、持っている定電流用FETに合わせたカレントミラー抵抗選択でかなり楽に終段のアイドル電流調整が可能になります。上図の例では定電流用2SK30のIDSSが約2mAなので、カレントミラー抵抗を110Ω、100Ωを組み合わせて、R26の500Ω半固定抵抗を180Ωに調整すれば、アイドル電流が10~15mA程度になりました。

【入力のバランス/アンバランスの切換え】
通常はバランス入力で使っていても、アンバランス出力機器からの入力で使いたい時が生じます。
そのためRCA端子からアンバランス入力もできるような切換を付けました。

HPA_kane_BAL_DC_4_18.jpg

XLR3端子のCOLDである3ピンを切換スイッチに配線し、RCAのGND側と切り替えた出力をCOLD側の4連ボリュームに繋ぎます。

完成したヘッドホンアンプを、アンバランス入力、バランス出力で出音の確認をしました。
とても明るい音です。
高橋真梨子さんが若い時のfor youを聴きましたが、鳥肌が立つくらいの雰囲気感です。
JAZZライブの臨場感も素晴らしいと思います。ベースの迫力、ボーカルの粒々が生々しく響きます。
ピアノの弾け具合も逸品です。

・失敗談1

バランス型アンプの歪率計測は私のアンバランス型入出力機器では計測できません。
今回のヘッドホン(ライン)アンプは出力電圧が低いので、入力をアンバランス型発振器出力をバランスに変更するアンプ、アンプからの出力をバランスからアンバランスに変換するアンプを用意してみました。

HPA_kane_BAL_DC_4_19.jpg

オペアンプを使い自作するのも良いのですが時間がかかるので、共立エレショップが販売しているキット基板2種を使ってみました。
アンバランスtoバランス変換はこちらのものでTI社のラインドライバIC「DRV134PA」を使ったものです。
バランスtoアンバランス変換はこちらのもので同様にTI社 INA2134PAを使ったものです。

さて計測を・・・ と始めましたが、歪率がが10~20倍も高い値を示します。色々調べてみると電源(ACアダプタからのDC12Vを分圧して±電源としている)から何かが回り込んでいるような低周波系のノイズがあります。
電源に電池を使ってみるのも一考ですが、今回の計測には間に合いませんでした。

そんな訳で歪率データはLTSpiceでの計算結果です。
.step vin=1(1V入力)
Fourier components of V(out1,out2)
DC component:0.000208369

Harmonic    Frequency     Fourier     Normalized     Phase      Normalized
 Number       [Hz]       Component     Component    [degree]    Phase [deg]
    1       1.000e+03    3.882e+00    1.000e+00      179.94ー        0.00ー
    2       2.000e+03    2.425e-04    6.246e-05      -96.33ー     -276.27ー
    3       3.000e+03    9.837e-04    2.534e-04      178.18ー       -1.76ー
    4       4.000e+03    1.661e-05    4.280e-06      -37.69ー     -217.63ー
    5       5.000e+03    1.004e-04    2.586e-05     -124.17ー     -304.11ー
    6       6.000e+03    3.157e-05    8.132e-06       68.02ー     -111.93ー
    7       7.000e+03    7.451e-05    1.919e-05       -7.74ー     -187.68ー
Total Harmonic Distortion: 0.026314% (歪率THD-Nは0.0263%)

Measurement: result
  step    RMS(v(out1,out2))    FROM    TO
    11    2.7449    0    0.1  (出力は2.74Vrms = 100mW at 75Ω)

・失敗談2
このアンプは当初、ダーリントン接続方式で好成績だった、2段目差動出力の負荷抵抗を廃止する回路でシミュレーションしていました。シミュレーションでは何ともなかったのですが、実機を作ってみるとアイドル電流の再現性が乏しい、過大電流が流れる等のトラブルが出ました。
よって急遽、負荷抵抗を取り付けました。

HPA_kane_BAL_DC_4_13.jpg

薄赤く塗ったところが追加した負荷抵抗620Ωです。これに対応して初段差動増幅の電流も約2倍に増やしてます(と言うよりも、負荷抵抗を外したことで初段差動増幅の電流値が少なくなっていた。作動ラインがかなり寝ていて不安定だった?)

冒頭の回路図は修正後のものです。

・・・色々ありましたが、本器は本日嫁入りです。


代替FET・2SK2145 でぺるけ式もどきヘッドホンアンプの製作(基板完成)

FET 2SK170-BLの代わりに使えそうな 2SK2145-BL で、ぺるけ式もどきHPA回路を 7.4V定格電圧の Li-ion電池用に定数を変更したHPAを設計しました

このモックアップしたユニバーサル基板でもそこそこの性能だったので専用基板を作ってみました。

【回路図】 再掲載

HPA_pe_2sk2145_1.jpg


【基板図】 定数部分の拡大図です

HPA_pe_2sk2145_14.jpg


【できてきた基板】 表面実装部品を搭載済み、頒布予定の状態です。

HPA_pe_2sk2145_11.jpg

お遊びで青いレジストにしてみました。元々、少しくすんだような青色でしたが、リフローの熱で更に深い青になったように思えます。

回路図ではダイヤモンド・バッファでNPN、PNPトランジスタを2個ずつ、計4個使いますが、基板ではDualトランジスタを使うので、かなりシンプルな構成に見えます。

【部品を実装した基板】

HPA_pe_2sk2145_12.jpg

入・出力:各2本、負帰還:2本の抵抗はチップ抵抗ではなく、1/4W金属皮膜抵抗を使います。
見えてるコンデンサは電源用では無く出力のDCカット用です。表面実装型ですが、普通の差し込み式も使えます。
電池から直接給電しますので電源コンデンサは割愛します。
入力・出力ジャック、2連ボリューム、2回路2動作スイッチ、電源パイロット用LEDを付ければ完成です。
尚、使用したLi-ion電池は850mAh品が欠品しているので、500mAh品を載せています。

【回路動作のチェック】

このHPAは調整するところが全くありません。
チェックするとすれば、出力抵抗10Ω両端の電圧差=アイドル電流を計測することです。
LI-ion電池の標準電圧7.4Vで10.6mA程度になるよう設計してあります。満充電の8.4Vでは14mA程度流れるでしょう。
(差分電圧は、*mAx10倍(mV)です)


【完成品の歪率、出力】

HPA_pe_2sk2145_13.jpg 

凡例の上から
・青 実線:ぺるけ式オリジナル回路の 2SK170-BL を使い、規定の12V電圧で試作した機器
・橙 破線:このオリジナル回路の 2SK170-BLを、2SK2145-BL に換装したもの(電源12V)
・赤 実線:本器= 2SK2145-BL を使い、電源を Li-ion電池(7.4V)にしたもの
・水 実線:私の計測器の歪率を計測したもの (これが計測機器のゼロレベルに相当します)

本器(赤)を他のデータに比較することで説明します。
1.出力電圧 0.13Vrmsまでは ぺるけ式オリジナルと同等の歪率です。
2.それ以上は出力アップと共に暫時増加しますが、1%歪率で 0.95Vrmsの出力がありシミュレーション通りです。
  この出力電圧をパワーに換算すると12mWあり、ヘッドホンアンプとして十分な出力です。
3.ぺるけ式の歪率カーブは、0.1~0.2Vrms近辺で 0.015% 程度まで下がるのですが、
  本器は0.03%が下限です。
  この原因は私の計測器の最低計測値が水色線のような特性になっていることに起因しているようです。

【出音】

いつも思うのですが、ぺるけ式は全体のバランスが良く心地よい音ですね。

決してどこかを誇張することは無く、繊細なところまでしっかりと鳴ってくれます。
これがスタジオマスター機器に採用されている所以なのでしょうね。

聴き込めば聴き込むほどに、音楽の楽しさ、嬉しさ、陶酔感が感じられるます。やはり逸品です。
素晴らしいです。








代替FET・2SK2145 でぺるけ式もどきヘッドホンアンプの製作

前回の記事で、ディスコンとなったJ-FET・2K170BLの代替として、Dual FETの2SK2145がまずまずの特性を示してくれることを述べました。また、久しぶりに聴いたぺるけ式ヘッドホンアンプver2の音色に再感動しました。

そこで今回はこの2SK2145と、いつも愛用している Dual トランジスタ BC846DSとBCM856DS、そしてリチウムイオン電池を組み合わせた、「ぺるけ式もどきHPA」の製作です。
前作ではリチウムイオン電池換装への引き合いが多々あったのですが、充電や電池本体の信頼性への心配があったので踏み切れませんでした。

最初はLTSpiceで電源電圧が下がってもまずまずの特性になる、回路各部の最適な抵抗定数を求めます。

【LTSpiceの回路図】 2SK2145のLTSpiceモデルが無いので2SK170BLで代用してます

HPA_pe_2sk2145_1.jpg

何度も歪率を見ながら回路定数を変えていきます。

・定電流回路の抵抗:10k→6.8k、220→195 (この抵抗値は微妙に歪率に影響します)
・差動増幅FETの負荷抵抗:2.2k→1.5k
・ダイヤモンド・バッファ段:1.5k→1k、82→75 (これは手持ちの関係で変更)
・負帰還部:51→75 (3倍増幅から2倍に下げました)
・入力部4.7k、出力部10Ω、電源分圧抵抗は不変です。

これでシミュレーションすると、歪率1%点で出力が約0.95Vrmsです。まずまずでしょう。

【回路図】 片チャンネル分です

HPA_pe_2sk2145_2.jpg

【基板の製作】

HPA_pe_2sk2145_3.jpg

今回もユニバーサル基板を使うので、EAGLEで0.1 inch ピッチのマス目に部品を置いて実態配線図を作ります。
FETやトランジスタも表面実装品から変換基板を使って 0.1 inch ピッチ基板に合わせます。

【製作したHPA基板】

HPA_pe_2sk2145_5.jpg

95mm x 72mm のユニバーサル基板に楽々収まります。リチウムイオン電池から直接供給します。電源用コンデンサは付けません。

シミュレーション通り、アイドル電流は12mA きっちり流れます。10Ω抵抗が左右チャンネルで4個ありますが、いずれもきっちり12mA流れています。再現性もばっちりで、これがぺるけ式HPA回路の素晴らしいところです。

【歪率】
HPA_pe_2sk2145_6.jpg

橙色の線が本品「ぺるけ式もどき」の歪率です。
シミュレーションでは約0.95Vrms at 1%THDだったのですが、実機は0.9Vで若干目減りしています。

12V電源のぺるけ式に比較すると見劣りしますが、なかなか立派なものです(自画自賛、笑)
0.9Vという値だけ見れば小さいですが、11mWの出力でありヘッドホン駆動用として十分な出力です。

【周波数特性】

HPA_pe_2sk2145_7.jpg

本家ぺるけ式は5Hzまでフラットなのですが、10Hzから5Hzにかけて-3dB程度下がります。
高域は全く同特性です。

------ 2017/10/8 記事を修正
ぺるけ式は再現性が良い筈なのに、20Hz 以下が 3dB程度 も下がるのが不可解でした。周波数に影響ある出力コンデンサは同値です。
そこで、HPAを通さず周波数発生器(KIKUSUI ORC11)から、計測器(KIKUSUI AVM23) に直接入れて、低周波域をチェックしてみました。その結果、20Hz で -0.18dB、10Hz で -0.72dB、5Hz で -2.38dB 程のAC電圧の出力低下が認められました。

これを修正して再作図した周波数特性が以下です。

HPA_pe_2sk2145_10.jpg

このように低域までフラットであることが確認できました。
------- 追記はここまで



肝心の音ですが、もう少しエージングしてから評価したいと思います。


・・・10時間以上通電していましたので少しは初期の粗さが取れたと思います。

ぺるけ式のバランスが良い心地よい音ですね。
決してどこかを誇張することは無く、全体的にバランスが取れながら繊細なところまでしっかりと鳴ってくれます。
やはり素晴らしいです。

------ 2017/10/7 追記

基板を起こしてしまいました。

HPA_pe_2sk2145_8.jpg


・・・その後、発注前に細かなところを修正した基板図です。

・電源配線の取り回し位置、線幅、出力配線の幅や接続ドリル径を最適化しました。
・調整はしませんが10Ω抵抗でのアイドル電流を計測するための計測ホール(四角)を追加しました。
・6個のDualトランジスタの輪郭線が何故かガーバーデータに反映されないので上書きしました。

・この基板は配置エリアに余裕があるので、いつもは付けない名称を印字しました。

HPA_pe_2sk2145_9.jpg


2週間程すれば届くでしょう。






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2010/3/17 電子工作をプラスしました。

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