7.1ch対応バランス型DCパワーアンプの製作

私のアンプを大分以前から使って頂いている方から、7.1ch対応のバランス型DCパワーアンプを作って欲しいとの依頼がある。

ニーズを良くお聞きすると、YAMAHA・CX-A5100という11.2ch・3次元音場創生のAVプリアンプを使い、これに接続する「バランス型入出力パワーアンプが欲しい」とのことである。

参考までにCX-A5100の筐体写真をYAMAHAカタログから引用させていただいた(AAS1704.pdfより転載)。

【フロント】
CX-A5100_1.jpg

【リア】
CX-A5100_2.jpg

下側に11個のXLR3Pのバランス出力コネクタが見える。ここから3Dサラウンド信号が出力される。

この信号を受け最大11chのバランス型入力パワーアンプが必要になるが、YAMAHAにもこれに対応したMX-A5000という11chパワーアンプが用意されているのだが、先方のこれまでの経験から「バランス出力DCパワーアンプ」を使いたいとのことです。

これまでにも私が作ったバランス型DCパワーアンプをお使い頂いているので、今回作るのは7ch分で良いとのこと。
音質や音感面を考えて、「金田式対称型アンプ改バランス型パワーアンプ」を作ることにしました。

ベースとなる最近の作例、バッテリードライブ式バランス型DCパワーアンプ(AC電源化)です。

さて、7chものアンプとなると相当な物量となるので一つの筐体に収めるのには無理がある。
幸いチャンネル出力が2~3W、センターアンプでも5W程度で良いということなので、サイズの揃った4つのケースに分割させて作らせて頂くことにしました。
電源、3chアンプ、2chアンプ、2chアンプの4ケースです。今回の記事は、電源と3chアンプです。

【外観】

【前面パネル】

PowerFor3chAmp6.jpg

下が電源ケース、上が3chアンプで、左のボリュームがCENTER 1ch用2連ボリューム、右が SURROUND HIGH (通常はSURROUNDと言う)のL,R用のバランス型4連ボリュームです。
ケースに使っているのは、タカチ・YM-300アルミケース(300x200x50mm)。お手頃価格で加工も楽です。

【背面パネル】

PowerFor3chAmp7.jpg

下が電源ケースですが、2ch用アンプ2台に使う電源コネクタは未取付です。この電源コネクタを選ぶのに苦労しました。トロイダルトランスを2個入れねばならず、コネクタ取り付け可能なエリアは写真の範囲しかありません。よって電源コネクタも小型が必要になるので、+、GND、=の3端子を小型6ピンコネクタに2ピンづつ使い、接続電源容量を確保しました。

上が3chアンプで、左が3ch分のバランス型XLR3入力信号コネクタ、隣が電源コネクタ、そしてスピーカー端子(バランス型)です。
それにしてもこのスピーカー端子、使い勝手が良いのですが価格も相当の物です。セット2個でケースが買えます。

後述しますが、DCアンプに保護回路が無いので±両方の電源供給ラインにヒューズを入れてます。

【電源内部】

PowerFor3chAmp11.jpg

電源回路は3ch用と2ch+2ch用の2系統になっています。
トロイダル・トランスはHDB-40(L)で±9V・2A仕様で、3chアンプでは定格1.8A、2ch+2chアンプでは定格2Aです。あまり余裕はありませんが、実運用を考えればOKでしょう。
ブリッジ整流器で整流後、4700uF×正負3個ずつの汎用電解コンデンサで平滑後、実DC電圧±13.5Vになりました。
これを安定化電源回路に入れて供給します。

PowerFor7chAmp2.jpg

【安定化電源回路】
PowerSup_11V_11V_sch.jpg
これは私が愛読しているメルマガの参考回路からいただきました。
供給電圧13.5Vで2A流すシミュレーションしても、必要な最大電流2Aを確保できます。この時の電圧は約10Vです。
2SB1383/2SD2083はダーリントン・トランジスタでレギュレータに用いられるものです。

【安定化電源基板】
PowerSup_11V_11V_brd.jpg

【アンプ部】
PowerFor3chAmp14.jpg

3chのバランス型アンプ基板を詰め込んでいるので、このような配置になってしまいます。よってボリュームが真ん中付近になってしまいました。デザイン的には右側が良かったのですがね・・・

基板中央がCENTER用、両端がSURROUNDのL、R用です。
各基板の上に瞬発的な電流に備え電解コンデンサを載せたかったのですが別置きになっています。

放熱は小さなヒートシンクとケース放熱です。最大2W、5W程度のアンプで音楽再生時の実用時はケースがほんのり暖かくなる程度でした。

PowerFor3chAmp15.jpg

前作では基板上面の配線はジャンパー線で行いましたが、今回は両面基板を使いました。プロが作る両面基板は部品の足が通るスルーホールを使い裏表の配線を繋ぎますが、私の場合はスルーの穴あけを行い、そこに部品足の残材を使って表から裏への接続を行います。

また、基板の右側表面に見える抵抗ですが、これは金田式オリジナル回路で指定している温度補償サーミスタ200D5Aの代わりに200D5を使っているのでそれの補償抵抗です。このアンプのように小パワーしか出さず、トランジスタ温度があまり上がらないものならば大きな影響がないかもしれないが、気になるので付けてみました。詳しくはこちらの記事(屋根裏の電気実験室)を参照願います。

今回のアイドル電流はノミナルで65mAです。各トランジスタ毎には30%程度の差が出るようだが、音楽再生中はほぼ安定していました。
下の写真はそのテスト風景です。

PowerFor3chAmp5.jpg

左のテスターで14mV(右は11.1mV)と示しているのが0.22Ω抵抗での電圧差で電流値に換算すると約64mA(50mA)になります。この状態で30分ほど大きな音量で音楽を流しましたが、平均値的には大きく変化が出ませんでした。

但し、金田式の定電流調整は、調整ボリューム回転角に対してかなりピーキーですので、ゆっくりと確認しながらの調整が肝要です。

実はこのアンプにはDCバランスが崩れた時の保護回路が入っていません。

【アンプ回路図】
PowerFor3chAmp8.jpg
金田さんのバッテリードライブDCパワーアンプをベースに、2段目とドライバ段、終段増幅を1セット増やし、バランス型回路に変更したのが大きな違いですが、その他変更したところは以下です。(前作でも同じですが)

1.初段差動増幅のFETを2SK117から2SK170に変更(部品入手性)
2.同上の定電流回路を、オリジナルのFET+抵抗一本からカレントミラー方式+調整ボリューム式に変更(安定度向上)
3.2段目差動条幅からドライバ段増幅につなげる部分の負荷抵抗を削除(歪率の低減)

例によってバランスアンプの歪率は、私のアンバランス計測機器では計測できないのだが、LTSpiceのシミュレーション結果では、0.9Vp-p入力で各チャンネル4.3W(8Ω負荷)の出力が出ます。

ちなみに以下のグラフは現回路と同等のバッテリードライブDCパワーアンプを作った際に、バランス-アンバランス変換アンプを間に挟んで計測できた歪率である。参考までに掲載します。この時は5W出力を確認しました。
AMP_kane_DC_BAL2_1.jpg

【音感】

低音が締まって良く出てます。中域から高域にかけての抜けも素晴らしく、きらめきを感ずる音感です。


尤も、この音が出ているスピーカーの良さにも助けられていると思います。
私が使っているSPシステムの左側です。

左がZ600、右がZ701modena_BHBSminiです。これを単独またはパラで切り替えて使用してます。
いずれもとても気に入っている、音工房Zさんの組み立てキットです。

mySPsystem_2.jpg

キットを組み立てたばかりでMDF板材そのままですので、きれいに仕上げて使っている方の写真も載せます。

Z701modena-BHBSmini.jpg

この写真は、こちらの音工房zさんのHPから転載してます。

【防備録・失敗談】

これだけの物を作ると失敗も発生します。忘れないように「べからず調」で記載します。

・使用するトランジスタ類は必ず単体でチェックしたものを使うこと。hFE計やIdss計で測ればOK。
 理由:12個使っているドライバ段の2SC1815の1個が不良でした。多分内部断線です。
     原因調査でTrを5個も交換しました。

・組み立てた基板は単体で電気的特性調整を行うこと。±電源が無ければ抵抗2本の簡易分圧でも可能
 理由:半田付け漏れが2か所、接続不良が3か所もあった。自己過信は禁物

・ボリューム部分のGNDが接触不良を起こすと、負帰還が途絶え終段回路にDCバランス異常が発生する。
 初めての経験だったので原因発見に何と2日を費やしました。



さて、次は2chアンプの2台の製作です。






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電気オンチが始めた自作オーディオです
2010/3/17 電子工作をプラスしました。

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