低電圧差動式ヘッドホンアンプ 第3弾・DC(v4)の完成

製作中のDCヘッドホンアンプが完成しました。

何と! 電圧昇圧型が本命かと考えていたのに、電池2個の低電圧でも立派に動作します。
これは驚きです。 むしろ、電池2個バージョンがお勧めです。

2012.03.26 追記 : 動作の波形を掲載
2012.04.01 追記 : エネループ電池寿命特性を掲載
2012.04.02 追記 : 電池電圧と歪率特性を掲載
2012.04.16 追記 : 2段目と終段のインバーテッド・ダーリントン接続


【外観】
HPA_v4_DC_6
外観はv2.1と同じように右側ボリュームに戻りました。
入出力ジャックの離隔や電源スイッチの操作性も向上しました。
こんな大きなボリュームノブ(白タイプは大きい)でも入力プラグが楽々挿せます。

にも関わらず、とてもコンパクトな筐体に戻りました。
(幅60×奥行90×厚22mm、電池含む重量110g)

【内部・電池2個そのままバージョン】
HPA_v4_DC_7
電源コンデンサ2個だけで、入・出力カップリングコンデンサが無いDC仕様です。
コンデンサの音を聴かされずに済みます。

【内部・5V昇圧バージョン】
HPA_v4_DC_16_5V
下の中央右寄りに見えるのがDC5Vに昇圧するコンバータです。ノイズも無く優秀です。
昇圧後にトランジスタを使ったレールスプリッタに入れるので、電池の中点は相互に接続します(基板に繋いではダメです)

【歪率と出力】
HPA_v4_DC_11_THD
青線が電池2個そのまま仕様、赤線が5V昇圧バージョンです。

歪率は電池2個も昇圧でも同じです。
試作時の最低歪率0.045%から0.024%とかなり良くなりました。
若干ですがクリップ電圧も上がりました。

【周波数特性】
HPA_v4_DC_12_Hz
電池2個そのままバージョンをお勧めの理由は周波数特性にもあります。
低域は、私所有機器の測定限界5Hzまでフラットに下がります。
高域も、100kHzまでほぼフラットなので十分でしょう。

むしろ、本命と思っていた5V昇圧バージョンの低域の下がりが気になります。

【回路図】
HPA_v4_DC_9
基本的な回路は金田先生のDCアンプと同様、2段差動増幅と対称型終段増幅(NPNかPNP何れかのトランジスタを使用)を組み合わせたものですが、基本的に以下の点が異なります。

1.初段差動増幅は低電圧対応のためFETを使用せずNPNトランジスタを使用。

2.この初段定電流はこれも低電圧と電池の電圧変動に対応するため、FETとトランジスタを組み合わせたオリジナル定電流回路を採用しました。

3.最も特異なのは2段目差動増幅です。ここには何と、負荷抵抗がありません。
一般的な回路ではここに1k程度の負荷抵抗を繋ぎ、その電圧を終段増幅のベースに入れるのですが、この回路はコレクタ出力を直接、終段増幅のベースに繋いでいます。よって、ここに流れる電流は数十μAです。

まことに不思議な回路なのですが、これで十分作動します。しかも電池2個の低電圧でね!

--------- 2012.04.16 追記 ----------------------------------------------------
この2段目と終段Trの接続であるが、回路に長けた友人によれば「インバーテッド・ダーリントン接続(の類)」に当たるそうだ。
この接続により、2個のトランジスタが1個のトランジスタと同じ0.6Vbeで動作するということで、この低電圧HPAには打ってつけだ ということだ。

NETを調べてみたのだが、この回路と全く同じような組み合わせ例は見つからなかった。
しかし、発振しやすい回路なので上流側Trの(コレクタ)に電流制御抵抗を付ければよいとあった。確かに私の回路では100+100Ωの抵抗が付いているので発振しなかったのか?


HPA_v4_pnp_npn
このようなトランジスタ接続なのだが、意外に回路例にも載っていないです。

以上のことを踏まえると、このアンプの回路構成の呼び方は

・初段はDualトランジスタの差動増幅
・2段目と終段をpnp-npnインバーテッド・ダーリントン接続による対称型増幅

とでも言うのだろうか?な。
いや、とても勉強になりました。

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【作ってみて】
バランス型はともかく、v3に比較しても部品点数が大分少なくなったので作りやすいです。
なんと言っても、アイドル電流やDCバランスの調整が一発でスパッと決まってくれるのがとても気持ちが良いですね。
定電流用FETは選別してもややバラツキが残るので歩留まり向上を考え、負荷抵抗や調整半固定抵抗の定数を変更したので、調整がややピーキーですが慎重にやれば左右とも同じようなボリューム位置で決まります。
今まで散々苦労していたDCバランスは、楽々と0.1mVレベルまで調整ができるほどです。


【音質】(これは私の評価ですのでご参考まで)

作ってから、調整を繰り返したり、特性を取ったり、聞き込んだりしているので20時間以上経過してます。まあ、音を評価しても良いでしょうね。

電池2個そのままバージョン

・全体的なイメージは、「高音が明るい、キラキラしてる」というのが第一印象です。
ギターの音がより一層光って聴こえます。高音をベースに圧してくる感じです。
v3と同じDualトランジスタ、同じ終段トランジスタを使っていても、回路の構成により音質が変わっているのが面白いです。多分、歪率カーブに依存しているのだと思います。

・ボーカルはとてもフラットです。歌声でも話し声でも中抜けのない綺麗な響きです。
 どちらかといえば、高音がキラキラしてる歌声はやや強調されます。

・低域は締った感じの鳴りです。強調されることが無く素直に伸びています。
 エミリー・クレア・バーロウの「明るい表通りで」のベースの音が素晴らしいです。

・でも、決してドンシャリではありません。(ドンシャリご希望の方には不満かも)

・音量はATH-PRO700(36Ω,105dB/mW)で十分です。出力電圧が比較的高い拙作USB-DACからの入力ですが、ボリューム位置は9時半程度で動作してます。

昇圧5Vバージョン

・そのままバージョンと基本的に同じような音質です。

・変わったのは、「押しの強さ」と「ボリューム上げていったときの崩れがない」ことである。
 私は持っていないが、高インピーダンスのヘッドホンにはどうだろうか?

【消費電流】
電池2個からそのまま仕様は±1.5V接続、昇圧仕様は直列3Vを接続し5Vへ昇圧し、終段アイドル電流を10mAに合わせた状態です。そのまま仕様の消費電流は約20mA、昇圧仕様は約50mAであった。
多分、そのまま仕様はv3並みの100時間近い電池寿命かなと思われます。


・・・・製作マニュアルを完成させて頒布を急ぎましょう。こうご期待です。

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2012.3.26 追記
動作の波形を掲載します

【電池そのまま・1kHzサイン波】
HPA_v4_DC_13_3v_1k_s
クリップ始まる寸前の波形です。0.7Vp-p/75Ωです。
(波形の小さなギザギザは発振器からのものです)

【電池そのまま・10kHz矩形波】
HPA_v4_DC_14_3v_10k_k
10kHz矩形波は立ち上がりの揺れがありますがまずまずの収束です。
下がりに少々のダレが見えますが及第点でしょう。

【昇圧5V・10kHz矩形波】
HPA_v4_DC_15_5v_10k_k
立ち上がりの揺れは昇圧バージョンが良いですね。
但し、立ち上がりにダレがあります。

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2012.04.01 エネループ電池の寿命特性です
HPA_v4_DC_17_battery2  
アイドル電流は、初期電圧3.2Vのアルカリ電池で10mAに合わせておいた状態で充電完了したエネループ電池に変えました。
初期電圧2.86V、アイドル電流7.4mAでした。
電圧が2.5V代の安定域で、長い時間5mA弱程度のアイドル電流を維持します。
80時間を過ぎたら少し下がりが早くなったようですが、まだまだ元気で鳴ってます。
この領域にあっても低音、高温共にしっかりとした感じです。

---- 2012.04.01 追記 ----
100時間を経過しました。85時間近辺でカクッと落ちたのですが、持ち直しています。
ボリューム位置は9時半で変わらずです。
私の愛用ヘッドホンATH-PRO700からは、NETラジオのJAZZが綺麗に響いています。

ここで計測を止めようかなと思ってますが・・・ でも限界も知りたいな。

---- 2012.04.02 追記 ----
120時間になりました。流石に音にも荒れが出てきたように思います。
HPA_v4_DC_19_battery3
でも、凄いですよ! 
単三電池2本で動き、100時間を越えてドライブできるヘッドホンアンプです。

---- 2012.04.04 ----
(130時間経過、電圧2.30V、アイドル電流1.6&1.7mA、まだしっかりと鳴ってます)

こんなこと書いてると、音はどうなんじゃい! という突込みが入るといけないので(笑)
電池電圧と歪率のデータを採りましたので掲載します。

HPA_v4_DC_18_THD_v

85時間
を経過した電圧±1.25V(でもクリップポイントが下がったものの、歪率は0.01%程度の上昇だけで頑張ってますね。

流石に、120時間を経過し疲れきったアンプの特性()は見るも無残・・・なのですが、常用域電圧の0.2Vrmsまでは1%以下なのです。(通常ノイズが感じられないレベル)

・・・このアンプ、面白いです。







テーマ : オーディオ
ジャンル : 趣味・実用

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