2Win 差動式 低電圧バランス型 DCヘッドフォンアンプの検討(2回目)

バッテリードライブDCパワーアンプの製作がやっと終わったので、HPAに戻ってきました。

先のブログ記事で作ったDC HPAですが、どうにもならない歪率で悩まされています。
シミュレーションのトランジスタhFEをDualトランジスタと同じ300に合わせたり、回路内や出力にコンデンサ負荷等を付けてみても、異常な高歪率が再現しません。

散々あれやこれやとやってみた結果、ある朝思いついたのが、試作中のHPA基板に替えて、以前作ったNJU7043D バランス型HPAの歪率を計測してみることでした。

何と! 完成品のこのアンプでもとんでもない歪率です。波形も崩れてます。何ということでしょうか!!!
これは変です。

・・・・ はい、原因は、バランス to アンバランス変換計測アンプの故障でした。

HPA_OPAMP_22.jpg

入力・出力に後で取り付けたコンデンサ配線のハンダ・パターン部分がぐらぐらだったり、錆が発生したりしてることが原因のようです。
このアンプも疑ったのでしたが、導通チェックでは異常が無かったのが原因特定を長引かせました。

変換アンプを作り替えました。
HPA_v7_BAL_13.jpg

HPA_v6_BAL_13.jpg

回路は以前と同じ簡単なものです。オペアンプの+と-入力にHot、Coldを入力する差動入力基本回路です。
オペアンプはFETタイプのOPA2134にしました。ゲイン1倍です。
写真上側に見えるのはレールスプリッタ分圧電源です。電源ノイズを嫌って単三電池8本の電池駆動です。

計測時に無用なDCの回り込みが嫌なので、無極性電解コンデンサを入出力部に入れた回路です。
計測は片チャンネルなので1ch分だけ作っています(ユニバーサル基板の手配線が面倒なので)

【試作中のアンプ基板】 再掲載します
HPA_v7_BAL_10.jpg
コンデンサは電源用です。入出力にコンデンサが無いDCアンプ構成です。
左側に飛び出した基板には、アイドル電流調整用のFETとトリマが載っています。

【回路図】 再掲載です
HPA_v7_BAL_11.jpg

【変換アンプを作り替え、再計測した歪率】
HPA_v7_BAL_12.jpg
赤い実線が、アルカリ電池1.5Vを使った歪率です。
ピンクの破線が、Li-ion電池4Vを使った歪率です。
参考に、青線がアルカリ電池1.5Vを使っている v3 HPA 完成品基板でのデータです。

バランス型になったことで、従来のアンバランス型の v3 に比較し、最大出力が 0.8Vrmsから2.3Vrmsと4倍になってます。
±1.5V電池でこれだけの出力が得られる高性能です。ほぼフル・スイングしてると見て良いでしょう。
ワットに直すと約77mWもあるので十二分でしょう。
(参考:一般にヘッドホンアンプの出力は30~100mWで必要十分と言われてます。経験上10mWでも十分です)

Li-ion電池を使えば更に高出力になりますが、それほどの伸びはありません。

低出力側の歪率がv3に比較し10倍大きいのですが、これまで数々のHPAを製作してきた経験から考えると、小さなDualトランジスタを変換基板に取り付けたことによって配線長がかなり延長され、それによる内部ノイズが出ているのではないでしょうか。v6 バランス型とほぼ同じ回路なので、その歪率特性はv3と同等です。

【参考:HPA v6 BAL の歪率】
HPA_v7_BAL_18.jpg


以上の結果から、アルカリ乾電池、またはエネループを使った、「低電圧バランス型DCヘッドホンアンプ」の製作が可能になりましたが、一つ考えることがあります。
それは、定電流調整(アイドル電流)構成部品のロバスト性確保です。

【定電流(アイドル電流)調整回路】
HPA_v7_BAL_17.jpg

この図は2Way差動定電流回路のカレントミラー回路(R4,R5,Q7,Q8)を示し、上下にあるカレントミラーの電流を調整するのがFET(J1)と半固定抵抗トリマ(R3)です。
FETがJ2SK30_100となっていますが、これはきっちり1.00mAのIdssに合わせたシミュレーション用素子なのですが、実際に使われるFETは2SK208-Oです。このIdss値によって定電流が大きく変わるので、この値が変わってもトリマ抵抗で調整可能なことが望ましいです。また、電池電圧が下がっても大きく定電流値が下がらないことが性能上望ましいです。

それをLTSpiceのエミュレータを用いてパラメータ計算した計算指示が上図のSPICE directiveで、結果が下図です。
IdssパラメータのJ2SK30を0.80mAから1.15mAの6段階に都度交換して計算しています。

【FETのIdssが変わってもトリマ抵抗でアイドル電流が調整ができるか】
HPA_v7_BAL_15.jpg

2SK208-Oの手持ち品 Idss は、0.80mAから1.15mAの範囲です。
上図はアイドル電流10±2mA 範囲にトリマ抵抗0-500Ωで調整可能なことを示しています。

【電池電圧でアイドル電流はどれくらい変わるか】
HPA_v7_BAL_16.jpg

アルカリ電池では電圧は初期1.5V(新品は1.6V)から1.2Vまで変化します。エネループでは1.25Vから1.1Vです。
上図から、例えば、1.5V電池でトリマ抵抗≒130Ωにより約10mAのアイドル電流に調整したとすると、電池電圧が1.2Vまで下がってもアイドル電流は9mA程度を維持することが判ります。
そのままのセットでエネループ電池に交換し、放電限界を超えた1.1Vまで電圧が下がってもアイドル電流は8mA以上を維持できます。

この特性にするため、カレントミラーのR4(対向も)110Ωから130Ωに変更し、R5はオフセット調整の半固定抵抗ですが、対向の抵抗は82Ωを組み合わせます。

【基板図】
HPA_v7_BAL_14_brd.jpg

少々気が早いのですが、基板図を作ってみました。

特徴を表す長い名前を付けるならば
「2Win差動式 低電圧バランス型ディスクリートDCヘッドホンアンプ」でしょうか。

リチウムイオン電池の保護回路や充電回路が無くなるので、基板上にかなり隙間ができました。
特性確保は難しいのですが(歪率0.5%程度か?)、アンバランス出力端子も併設してみました。

【出音】
それなりの歪率が計測できたので、改めて試作基板で出音の確認です。

低音はドンドンと響くほど強くありませんが、程ほどの強さで響いています。
エミリー・クレア・バーロウの「明るい表通りで」の強烈なバスの響きがしっかりと再生されてます。
高域のギター弦の響きや余韻、管楽器の高い音の響きが綺麗です。
中域は金田式のような癖はありません。優等生的な出音と思います。

YouTubeで様々な音楽を聴きながら3時間程度使ってみましたが、聴き疲れしないバランスの取れた音です。

【電池寿命の推定】
10mAのアイドル電流を流すと、電池電流は約33mA程度流れます(実測)
アルカリ電池容量が2000mAhとすると、電池寿命は約60時間程度と推測します。
エネループは1900mAhですので、同程度の時間になるでしょう。(2400mAh品も有り)

--------- 2015/9/15 追記 ----------

アンバランス出力では電荷を逃がす150Ω抵抗を付けない方が良いので、アンバランス用ステレオジャックに内蔵されているスイッチ機能を利用して、Hot側の150Ω抵抗ON-OFF機構を付けました。
アンバランス用ジャックが不要の(付けない)場合はジャンパーできるようにもしました。

【部分回路図】

HPA_v7_BAL_20_sch.jpg


【基板パターン】
HPA_v7_BAL_19_brd.jpg





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2010/3/17 電子工作をプラスしました。

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