金田式ベースの低電圧バランス型DCヘッドホンアンプ(検討)

役目を終えた 2Win差動式低電圧バランス型DC HPA テスト基板から、変換基板に貼り付けた Dual トランジスタ類が取り外されています。

HPA_kane_DC_BAL_1.jpg

取り外した Dual トランジスタ類は別のテスト基板に載せられています。
実は当初からこれも作りたかったので、取り外し可能にしておいたのです。

HPA_kane_DC_BAL_2.jpg

基板の左上側に黒いトランジスタが2個ずつ載っています。2SK170BL FET なんです。
多量に買い込んでおいた 2SK170BL を使おうという考えです。

駆動する電池は右側、単三電池2個の低電圧バージョンです。

はい、金田式もどき DC HPA回路をベースした、低電圧バージョン・バランス型ヘッドホンアンプです。

LTSpice回路図はこちらです。
HPA_kane_DC_BAL_5.jpg

この回路構成は一朝一夕に生まれたものではなく、実は2012年3月のHPA v4に端を発しています。
この記事を読まれれば判りますが、金田式の特徴である初段FET差動と終段同極性増幅回路を考えています。

低電圧なので初段FETは断念し、2段目から終段に繋がる部分を、「インバーテッド・ダーリントン接続見做し回路」を使っています。
よって上図の回路は、断念していた初段FET増幅回路を低電圧バージョンに持ち込んだものなのです。

昨今LTSPiceの結果を見て、やってみようという気になったのです。

LTSPiceの動作波形です。バランス出力ができてます。

HPA_kane_DC_BAL_6.jpg

ここでFETをよくご存じの方からは当然の疑問がでます。

「1.5V程度の電圧ではFETは正常動作しないでしょう」 とね。

そうなんです。実は私も最大の心配事がそれでした。

ここに示すのは2SK170のVDS (ドレイン-ソース間電圧)特性です。

HPA_kane_DC_BAL_7.jpg

3V近傍 (緑線) から直線領域になるので、それ以上の領域が作動推奨範囲です。
私が使おうとしている1.5V (実際には1.2V程度以下) は全くの曲線エリアです。これではリニアな増幅ができません。

FET差動ヘッドホンアンプで傑作を作られているぺるけさんのブログ記事でのロードラインでも

HPA_kane_DC_BAL_8.jpg
このように3V以上をお使いなので (青線)、私が考えている電池電圧でのロードライン(左下隅の赤線領域)は全くお話にならない領域になることは必定なのです。

しかし、何と、先のLTSPiceでの歪率計算結果は、0.077%程度 (入力0.5Vp-p、出力1.0Vp-p、75Ω負荷) です。
実際に作ってみた基板でも同様出力点で 0.08% 歪率でしたので結果を再現しています。

しかし、どうしてこんな結果オーライ特性が出るのでしょうか。LTSPiceの波形と出力でチェックしてみました。

【電池電圧 5.6V = FETロードライン 4V 近傍での特性】
ぺるけさんのFET差動増幅のロードライン近くになるように電池電圧を合わせてシミュレーションしてみます。

これはFETのVds電圧(緑、差動領域3.7-4.2V)と、バランス出力(赤)です。
HPA_kane_DC_BAL_9_40V.jpg

Vds間電圧特性はキレイなSin波です。

これはバランス出力の片側(out1)、片側(out2)出力です。
HPA_kane_DC_BAL_11_40V2.jpg

これもキレイなSin波です。

【電池電圧1.5V での特性】
同様にVds特性(緑)です。
HPA_kane_DC_BAL_10_15V.jpg

ロードラインは、上側1.3V-下側0.9V ですが、大分歪んでいます。でもバランス出力(赤)はかなりキレイなSin波です。

同様に、out1、out2出力とバランス出力です
HPA_kane_DC_BAL_12_15V2.jpg

out1,out2はSin波とはとても言えませんが、「位相が180度ずれた相似形」です。

バランス型の特性である相互出力が補間することで、結果的に歪率が良くなっている という解釈です。
即ち、バランス型なので成し得た結果と言えます。

こうなってくると、更にFETペア特性が重要になってきますね。VgsやIdssで合わせていますが、同一ロットも必須条件として考える必要があるでしょう。

【出音】

こんなイレギュラーなアンプですが、
最大の目的は、「金田式(とは既に言えないかな)系列の音」 がするのかという確認なのです。
・・・ほぼ一晩YouTubeでエージング後の再試聴です。電池電圧は1.4Vに下がってます。

金田式に近いメリハリのある出音です。パンチがありキラメキ感があります。
ゆったりとした朝には元気になる音、まったりとした夜には妖艶なキラキラ音 といった感じです。

長時間駆動(下記)できるので電池ライフを気にせず、自宅での音楽鑑賞にも十分使えるのではないでしょうか。

【回路図・片側】
HPA_kane_DC_BAL_3.jpg

定電流調整抵抗R107の82Ωは大きい方向に変わる可能性があります。

アイドル電流を半分5mA程度にしたバッテリー消費電流は20mA程度です。これならば電池ライフは100時間近くになります。
規定の10mA流しても電池ライフが50時間もありそうなので Good と思います。

【基板】
HPA_kane_DC_BAL_4.jpg

電源コンデンサ1つを左に配置し、バランスコネクタ位置を大きく開けました。

バランス型を一般の方はあまり作らないので小ロットで準備しようかと考えてます。

---------  2015/10/27 追記  ----------
基板を発注すべく準備をしていたが、スカスカ状態のバランスコネクタ取り付けエリアを見ていて思いつきました。

せっかくの金田式もどき構成のバランス型HPAなのであるのだから、単三乾電池の低電圧だけではなく Li-ion電池も搭載できればどうだろうか、という欲が出ました。

しかし充電回路やUSBコネクタはスペース的にとても無理なので、せめてLi-ion電池保護回路だけは付けてみました。
このHPAでは保護回路付き単三型Li-ion電池取り付けが厳しいので、最低保護回路が必要です。これが無いと過放電でLi-ion電池が壊れます。HPAで自己充電ができませんが、安価な充電器が売っていますので、それを使って頂こうと思います。

低電圧電池を使う場合は保護回路をジャンパーします。小型のスイッチを付ければ電池の交互使用も可能にできるのですが、スペース面やニーズ面を考えて止めました。

HPA_kane_DC_BAL_13.jpg

右下に青く見えているのが保護回路基板取り付け部で裏面に取り付けます。ジャンパーは表側です。
電池電圧が上がった場合でも、今の回路定数で動作するはずです。替えるのはLED用のチップ抵抗だけでOKのはずです。







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